こんな最高神ありえない!
時間が無かったのでとても短めです。
ゼウスの金ぴかで巨大な王宮を前にして、俺はポセイドンと話し合った
「この国って、メヤガンド・ゼーアよりも財力があるんじゃないですか?」
「ああぁ、技術力なら上回ってるんじゃが、何故かこいつの国には金が集まるんじゃよ……」
それはまた、最高神の名に相応しいようで……。
そんな話をしていると、空から白く大きな翼を生やした人間が降りて来た。
「ななな!これは!?何ですか!?」
「心配するでない、彼らは天使じゃ」
「天使っていうと、あの天使ですか?」
「どの天使じゃ!?」
天使達はゆっくり歩いて、軽く一礼するとニッコリと笑う。
こうゆう爽やか系は何考えてるか分からないから少し苦手なんだけど、何しに来たんだ?
「お待ちしておりました。ポセイドン様、カナタ様」
「えぇ〜と、案内さん?」
「あぁ、私はゼウス様の下部の一人、ラファエルで御座います。御二人を王宮へと案内するべく遣って参りました」
ラファエルね、確かに天使なのか。
「それはどうも、御苦労様です」
「いえいえ滅相な、私の仕事ですので」
「そうですか……」
やっぱり、何考えてるか分からないんだよな。
俺達はラファエルに案内され、大きな王宮の中に入って行く。
中は外から見たよりも広く見えたが、何でかと聞いてみると、ラファエルは『ゼウス様の権能御陰です』と答えた。
何でも、どんなに小さな空間であっても、そのゼウスの力を使うと無限の空間になるのだそうだ。
何か、神という存在はポセイドンも含め出鱈目な存在達なんだと改めて感じた。
「もう少しですよ」
「あの、こんなに広くて迷わないんですか?」
「それも、ゼウス様の権能で……」
「はあぁ……」
もう何でも有りだな。
俺が少し歩き疲れた所で、ラファエルは遂に一つのドアの前で足を止めた。
やっとか……こいつ、本当は迷ってたんじゃ無いですか?
「ここ、ですか?」
「えぇ」
てか、さっきからポセイドンが一言も喋ってないのは何故だろうか。
「あの、ポセイドン?」
とても小さな声で声を掛けてみた。
「なんじゃ?」
「何でさっきから一言も喋ってないのですか?」
「実は……いや、御主からしたら、其れ程驚く事では無いが、直に分かる……」
困惑する俺、嬉しそうにドアを開けるラファエル、じっとしたポセイドン……何かありそうだ。
ドアが開かれそこに見えたのは、恐らく金で出来てる金ぴかで大きな椅子に、偉そうに座ってるおじさんと、その人に繋がるかのような道を作る、羽の生えた多くの天使達。
何だか、すごい持て成しをされてるのだろうか?
「おぉ、こないだぶりだな、ポセイドン!」
「あぁ、ゼウスよ!」
偉そうなのは恐らくゼウスだろう。
ゼウスはポセイドンに挨拶を終えた後に俺に向かって歩いて来た。
「やあ、君がカナタ君だね?」
「えぇ、そうですけど……」
「素晴らしい、これなら……おぉっと、そうだ向こうの部屋で話そう」
ゼウスはそう言ってポセイドンと俺を連れて何処から現れたのかこれまた金ぴかの扉の中に入れた。
ポセイドンは普通の顔をして着いて行く。
中の部屋は、俺がポセイドンと作戦とかを考えた部屋に似た構造だった。
「前の部屋もゼウスが作ってくれたのじゃ」
ポセイドンはそう教えてくれながら席に着く。
俺もすぐに隣に座る。
「さて、まず聞くが、カナタ君のその力は何処で手に入れたのだ?」
ゼウスはその渋い感じの顔に似合わないような流暢な喋り方だ。
「どこって言われても、ポセイドンに……」
「そんな筈がない。ポセイドンにはその力を与える事の出来る権限なんてないんだ」
ゼウスは俺の言葉に割り込んでまで言ってくる。
本当にこんな奴がポセイドンの友達なのか?ポセイドンなら嫌がりそうなのに。
ていうか、正直に言うべきだろうか。
「俺には……」
「あと!もう一つ、どうやって私の『心眼』を阻害しているんだ!?」
ゼウスはめっちゃ焦った顔をして聞いて来た。
「ゼウスよっ!何を焦っている、大人げない」
俺からしたらそれを言って良いのか分からないポセイドンがゼウスを宥めた。
「あ、あぁ、すまない。こんなの初めて……いや、二度目だからね」
「二度目?」
「私の心眼はポセイドンの心眼よりも強く、対象の心まで覗けるのだ。倫理に反するがね、だが、それによって戦いの時は常に有利だったのだ。だが、150年前、突如現れた神話の大悪魔サタンの心は覗けなかったのだ。それがちょっとトラウマでしてね……」
案外優しい感じだったし、この事に関しては嘘を言う必要は無いかな。
「そうだったんですか……それで俺の力を教えますと……」
俺はそうしてバフは抜群、デバフは完全無効なことを教えると、ゼウスは疑ったような顔をしてこっちを見てくる。
きっと今までは自分で考えなくとも相手が自分から教えてくれたからか、心理戦を得意としないのだろう。
「ゼウスよ、これは本当じゃ、儂が言うのだから安心せい」
「はい!偽りはありませんとも」
「そうですか……まぁ分かりました。そう言う事なのでしょう」
大変だな、能力が使えないって。
って、本当はそんな事を話す為に来たんじゃないんだった。
まあ、当初はただの挨拶のつもりだったが、此処まで来たら色々とサタンについて知りたいな。
「それで、そのサタンについてですが」
「奴には近づかない方が良い、神話でも度々世界を混乱に陥れていたからな」
そういえば、さっきから神話、神話言ってるけど何でその事を当の神達が知らないんだ?
それにはポセイドンが答えてくれた。
「元々この世界は何度も作り替えられて来た世界なのじゃよ」
「作り替えられた?」
「あぁ、一度世界が誕生したら終焉まで続き、その次はまた新たな世界が生まれ……の繰り返しなのじゃよ」
「その前の世界の歴史を記したのが……」
「その神話という事じゃな。まあ、答えが神話しかない限り、それも本当か分からないんじゃが……」
そして、その神話に悪の根源として多く描かれたのが大悪魔サタンらしい。
そのサタンも恐らくは何人目かのサタンだろうと思うともポセイドンは言っていた。
にしても、そんな世界を壊すレベルの奴を相手に、俺はなんて事しようとしてるのやら……。
「それは、ヤバいっすね」
「そう、ヤバいンだよ。だから奴には触れない方が良い」
「いや、ゼウス。カナタならサタンの呪いだって……いや、それは慢心じゃったかな」
「その慢心はいけないな、ポセイドン」
ポセイドンは何かゼウスに言われている。
ちょっとゼウスがムカついたが確かに人間の慢心は基本死亡フラグだからな……でも。
「俺ならできます。絶対に……」
「その確証は何だと言うのか?」
ゼウスが聞いてくる。
「それは……それは……」
簡単な話だ。
それは俺の神様が言ったから……いや、俺が『神話』にでてくる異世界人だから。
結構設定が増えて来て、どこかで矛盾が生じてないか怖いです……サタン並みに。