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俺の為の異世界救出  作者: 優しい鼠
一章 冒険準備
11/25

こんな旅立ちありえない!

「まあ、ゆっくり見て行ってくれ」


 そう言いながら、ポセイドンは俺を置いて船から出て行く。

 ゆっくりって言われてもな、多分だがこの船内の設備を使う機会はあまり無さそうだしな。

 それに、食糧なんかは基本買い込んでそのまま次まで取って置く、っていうのが俺的にはベストなんだが。

 ちなみに、お金はポセイドンが船内に積んどいてくれたらしい、『遊ぶなよ?』って金庫の前で言われた。

 ていうかこの世界の通過は、神々間で定められた『ウィーゴ』という不思議な物質で出来た硬貨と言い、質量保存の法則か何なのか、その総量は必ず変わらないらしい。

 例えば、誰かがその『ウィーゴ』を一つでも壊したら、この世界の何処かの『ウィーゴ』が増えるのだとか、言わば、不正が一切禁止になっているという事だ。

 この世界に来てからは驚いてばっかりだが、流石に慣れただろう……前にも……?

 いや、もう何が起きても驚いたりせずに平然と受け止められる気がして来た。


 俺が内部をもう一度見回してから船外に出てみると、そこでは多くの人達が俺の荷造りをしていた……多くの人と言っても、先程よりは少ないが。

 その中にはポセイドンの姿が見えた。

 なんだかんだ言って心配してくるポセイドンは素晴らしいな。

 俺も手伝おうとしてポセイドンに言ったら、『お前は休んでろ!』と言われた。

 何か隠してるようにも見えたが、正直言いなりになるしか無かった。

 だってポセイドン強すぎるんだもん……だもん。

 で、ポセイドンは終わったら合図を出すと言って、無理矢理俺を船内に押し込んだ。

 仕方ないのでじっとしてると、次は数名の腕っ節が、引っ越しみたいに木箱や大きな袋を素早く船内の倉庫に入れ込んで来た。

 それを、面白げに見てると、結構時間が経ったものだ。

 実は俺個人の荷物は全て寝室に入れておいた……ていうか入れられた。

 何時の間に入ったんだよコイツらは!?

 更に時間が経ち、外ではこの船に最終チェックを行ってるのか、トントンと音がして来た。

 お腹も空いたし、軽くご飯を食べに行こうとすると、潜水艦の入り口のハッチを開けて白い格好をした若い男が入って来た。

 何やら、今回の旅の門出を祝ってこの国一番のフルコースを頂けるとか、しかも船内のキッチンで。

 この船は中が水じゃないので、本格的な料理が出来る!!と喜んでたし良いとするか。

 途中でポセイドンが『儂も食べよう!』と言って乱入してきたので、さっきまで静かで落ち着いてたのがうるさくなった……賑やかで良いんだけどね。

 そのフルコースはこの国では結構美味しかった。

 しかし、日本人の舌を持つこの俺からしたら、この世界の食文化なんてまだまだだな。

 俺が食べ終わってからそう考えてると、突然シェフが片付けを始め、その後には帰ってしまった。

 そして、ポセイドンも立ち上がる。


「それではカナタ、儂も途中までは同行する、行くぞ!」

「へ?何か唐突……」

「旅はそんな物じゃ、さあ、操縦室に行け!」


 俺は為すが侭にされ、操縦室に入る。

 

「では魔導灯オンじゃ!!」


 その瞬間、少し暗かった大窓の目の前が明るくなる、ていうか、ライトを付けただけなんだけど。


「行って良いんですか?」

 

 俺はそう言いながら大窓の前の石盤に手を翳し、ポセイドンのマニュアル通りに力を込める。

 すると、さっきまで地面に着いていた感覚が、浮いたようになる。

 凄い、浮いた!

 出発の前に簡単な挨拶位したかったが……。


「出発の前に後ろを向くんじゃ」


 隣のポセイドンが指示して来たので6時の方向に面舵いっぱーい!してみると。

 そこには大量の光を使ってこの世界の言葉で『頑張れ』と書いてあった。

 俺は神様の力で読めたんだ、っていう考えよりも、前の世界では俺なんかには誰も抱かなかった『希望』を託された事に驚きを覚えていた。

 俺はこんな綺麗な話しや言葉には影響されない筈だったんだが、今回は……グッと来た。

 そんな魂の震えに分かると、俺は改めて大きな決心を抱いた。


「どうじゃ?この国の民は優しいじゃろ?こんなのこの国だけだろう」

「そう……なのか……」

「ま、一人も何の事か分かっとらんのじゃがな!!」


 ……打っ飛ばしたい、今すぐこのじじぃを打っ飛ばしたい……が、それでもやっていると言うのが素晴らしいものだ。

 

「いいですよ、別に……」

「えっ?起こらんのかっ?儂怒られると思って言ったのじゃが……」

「じゃあ、何で言ったんですか、ドMですか!!」


 全く……そう思いながら、俺は海図と深海の地形図を基に進んで行く。

 目指す場所は、第一の休憩地点の大国『カイン・ブリッツ』、神『ゼウス』が治める地である。




 ーーーーーーーーーーーーーーー

 



 雑談やら何やらをしていると、思ったよりも早くカイン・ブリッツに着いてしまった。

 ここは最強と言われる神、ゼウスが王となり、気候の影響を一切受けない国。

 そこだけ聞くとあんまピンとこないが、この海ばっかの世界で気候を操れるのは凄い事だ、なんせ、下手すりゃ小さな島一つ位軽く沈むらしいからな。

 俺たちは一番大きな島で、国の中心である島『ハイリヒ』の港の前で船を上昇させ、上手く留めた。

 ちなみにゼウスはポセイドンと仲が良いらしいので、俺の事は前に知らせてたらしい。

 ていうか、この世界には水晶でどこにいても会話が出来るという携帯みたいな物がある事も知った。

 とことん技術の高い世界だこと……。

 港街は結構騒いでた。

 まあ、俺だって潜水艦が突然現れたら驚くだろう……って、驚いたんだった。


 俺は外に出て、潜水艦とは違う久しぶりの空気を吸い込んだ。


「あぁ、美味しい」


 ポセイドンも出て来た。

 ちょっと嫌そうだな……。


「儂は外の世界が苦手なんじゃ……だって儂、海の神じゃよ!?」

「子どもか!!」


 頑張ってポセイドンを説得し、船を港にちゃんと着ける。

 そうしないと、『海賊』の蔓延るこの世界では簡単に物品が盗まれるらしい。

 どこの世界でもそんな奴らは居るもんだな。

 その後、ゼウスの場所へと案内された時、久しぶりにちゃんと大地を踏みしめられて、感激しっぱなしであった。

 何か、今なら生きてるって事をとことん演説出来そうな気分だ!

 俺が陽気に歩いていると、ポセイドンが足を止めた。


「ここが、ゼウスの王宮じゃ」

「ウワァーオ」


 めっちゃデカい、そして眩しい。

 俺はゼウスの強さや力というのを今にしてやっと分かった気がした。

 神ゼウスは、恐るべき強者なのだと……。

 

やっと進みましたね。

さぁ、ここからが冒険の始まりです!

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