赤8話 牡羊座の異形
レオンはもう一度あの異形を探していた。
「確かこのあたりにって、、なっ!?」
レオンは驚き思わず声をあげた
レオンの視線の先には人の形(正確には人間の姿そっくりに変わったと思われる)の魔物がいたのだ
分裂したように見えたのは、この形になるためだったのか
「おまえは何なんだ!ここには何の目的で来たんだ!?」
ヒトの形をしているため、言葉が通じるか試すレオン
「.........」
人の形をした化け物は沈黙している
だがその目はレオンの方に向けられている
やはりダメか、いくらヒトの形をしていると言っても言葉までは通じないか?
レオンが一人剣を向けたまま考えていると
「ア、ア、」
しゃべった!
レオンは身を固くした
「、、ワタシ、アリ、エス」
「....え?」
「あはははは!!ワタシ、、マダ....足りない、モット、大きなエネルギーホシイ!!」
「うわッ」
ザザザーッ!!
ヒトの形をした異形はすごい速さでこちらへ向かってきた
レオンはとっさに臨戦態勢に入る
(その魔物は危険だ、気をつけて)
「え?」
目の前にあの不思議な少年が現れてそう言う
「ちょ、お前どいてろ!怪我するぞ!」
(あの魔物に有効な力をその剣に分けてあげる)
「おおおい!今のんきに話してる暇ないんだ!マジで邪魔だからァアアア!」
魔物の爪が一瞬にして伸び、レオンの体をひきさこうとしたその時、レオンの剣は眩しい光を放ち、魔物を怯ませた
(あとは自分で何とかして....)
「お、おう?なんか知らんがその力とやらのおかげで助かったぜ!」
少年は又しても虚空に消えていった
意味深な言葉を残して....
(あと12体いる)
見ると魔物は目を抑えて苦しんでいるようだった
少年の残した言葉が気になったが、今はそれどころではなかった
「お前自身に恨みはないけどよ!こっちはお前らに一族皆殺しにされてるんだ!仇はとらせてもらうぜ!」
レオンの脳裏にあの時の記憶が蘇る!
「うおおおお!!」
そのレオンの凄まじい咆哮と
激情に驚き、魔物は逃げようとした
「逃すか!」
ザシュッ!
咆哮と共に、レオンはそのまま異形を一刀両断した
「イヤァァアアア!!」
魔物は悲鳴を上げそのまま絶命した
露姫が来る頃にはレオンには魔物を殺す時の激情はなく、いつものレオンに戻っていた
「レオン殿!一体何が!」
レオンは何も答えず、魔物の遺骸の腹に描かれたマークを静かに指差した
「これは....星座のマーク?」
「アリエス....牡羊座だ」
(あと12体いる)
レオンは少年が去り際に呟いた言葉を思い出していた
前回から半年近く経ちましたが私は元気です