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野巫の祭  作者: 凡栄
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野巫の祭 3

野巫の祭 3




恐れることで人は努力をし、未知なるものへ備えもしたのだろう。

今の自分が恐れるものは何だろう。さっきの女の子達が首塚でパワーをもらったように自分もパワーをもらったとしたら(笑)それでも恐れるものは何だろう。

ん・・・時間・・・だな。

毎日毎日続くこの時間の流れが一番恐いのかもしれない。

だから今日も飲みに行かねばならんな。

さて今日はどうするか。

素直に浅草に帰るか、有楽町ガード沿いの横丁にするか。

ふむ、ガードと言えば新宿にもずいぶんと行っていないな。遠回りになってしまうが新宿ガードの横丁に行ってみるかな。

いやいや今日は新宿を越えてみるとしよう。

そうなると横丁の流れとしては吉祥寺のハモニカ横丁か。

あそこも自分が通っていた頃とはずいぶんと変わってしまった場所だな。

行き始めた頃はまだ「ちょんの間」の雰囲気を色濃く残していた。

その怪しい空気が酒と相まって何とも言えない高揚感を覚えたものだが、最近のハモニカ横丁は(まぁハモニカ横丁だけに限らないが)怪しい空気は全く無くなって明るく楽しい、そしてお洒落さまで漂う場所になった。

でも、あの細く入り組んだ横丁は今でもワクワクさせてくれるのだが。

そうだ。横丁と言えば東中野にも「臭う横丁」があったな。

名前は・・・忘れた。

もうずいぶんと行っていないが、今はどうなっているのだろう。

思い出したら気になって仕方がない。

電車を乗り継いで東中野にやってくると駅はまるで違う場所の様になっていた。

おぼろになっている記憶を頼りに線路沿いを歩くと、あったあった。

周りの景色は変わっていたが横丁は今でも飲み屋が並ぶ怪しい空気を残している。

横丁の名前は・・・

上を見上げると入口のアーチに「MOON ROAD」と書いてある。

(違うだろぉ~)

心の中でそう言いながらも嬉しくて頬がほころぶ。

前と比べるとゴチャゴチャした感じは無くなったがまだまだ魅力的な横丁だ。

今日は時間が早いから選択の余地はないので開いている店に入る。

焼き鳥とお新香。それにビール。

今日は暑かったからおおいに喉を鳴らしたいと思ったので生ビールにした。

その思いを果たすため始めの一口で大量のビールを流し込んだ。

「うまい!」

思わず声が出る。

お店の人と目があったら笑っていた。

「すみません」

これも思わず声が出てしまった。

照れ笑いをしていたら笑いが収まらないうちにお新香が目の前に置かれた。

そのお新香に箸を付けようとしたら開けっ放しだった店の扉の外から声がした

「作さん!」

誰だ・・・と思って外を見ると私よりも早くに会社を辞めた同期の山口だった。





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