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野巫の祭  作者: 凡栄
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野巫の祭 24

野巫の祭 24



エレベーターを降りて菊水通りに出て国際通りへ向かう。

見られているのではないか⋯という気持ちは消せないが、気にしても仕方がないと自分に言い聞かせるようにして足を進めていく。

国際通りまででると、なるほど人の流れがいつもと違うようだ。

さっきは気付かなかったが、この辺りでもずいぶんと人が出ている。

このまま進んで雷門から仲見世へと入ったら混んでいて身動きができなさそうだな。

「裏から行くか⋯」

境内に近づけばきっと混み合うのだろうが、まともに仲見世を進んだら身動きが取れなくなりそうだ。

すでに8時半。

観光客が通らない場所を通って行くことにしよう。

こういう点でも浅草は裏路地が多いので浅草寺本堂の横までは何とか近付くことができる。

まぁ、さすがに本堂が見えてくるとほおずき市に集まった人達が溢れていて動けなくなった。

先ほどからまた違和感は感じているが、それが誰で、どこからかも分からないが、この混みようでは考えてもどうしようもない。

人の流れに任せるようにして進んでいく。

本堂の脇まで来て山口に電話をするのを忘れていたのに気が付いた。

落とさないように気を付けながら携帯電話を取り出して山口へと電話する。

人混みで呼び出し音が聞こえないのか、しばらく出なかったがつながった。

「もしもし作さんか?悪い悪い電話が鳴ってるのに気付かなかったよ」

「いやいや、いいんだがどこにいるんだい?」

「え〜っと、どう言えばいいのかな。あぁそうだ、浅草寺の本堂から仲見世に向かって左側にある屋台に入っているよ。」

「そうか、わかった。いま探していくよ。」

「もう近くなのかい」

「あぁ、もうすぐだ。」

「わかった、待ってるぞ〜。」

電話を切って本堂の前を横切るときに真似事だけ本堂に向かって手を合わせる。

しかしすごい人出だな。

どれ、ちょっと様子を見てみるか。

本堂の階段を途中まで上り後ろを振り返ると、こりゃすごい!

浅草寺の境内が隙間なくびっしりと人で埋め尽くされている。

人が多すぎて頭しか見えず、こうやって上から見ると黒い絨毯が敷き詰められているようだ。

本堂の周りだけでなく仲見世まで続き、それが雷門までつなかっている。

どうりで身動きができないはずだな。

階段の端まで横切って手すりを伝って何とか下まで下りられた。

やれやれ、まるで台風の時のつづら折れの波に襲われているようだ。

この街はすごいな。

ついこの前、五月には三社祭があってその時も街中が神輿と人で溢れかえっていた。

今月の末には花火大会があり、その時も同じようになるのだろう。

全くもってすごい。

何がこんなに人を集めるのだろうか。

人が集まる中心にはいつもこの浅草寺がある。

あぁ、三社祭は隣の三社神社だったな。

進む方向の左側、浅草寺本堂と三社神社の間にはほおずきの屋台が並び、盛んに売り子が声を上げている。

右側には食べ物を扱う屋台が並び、こちらも呼び込みの声を上げている。

何とも賑やかで楽しげだ。

浅草はこんな行事が一年中あるんだな。

いかんいかん、山口を見つけないといけないな。

それらしい屋台の中を一軒ずつ覗き込んでいると、入口に大きな煮込み鍋とおでん鍋が並んでいる屋台があり、その店のテントの中に山口がこちらを向いて座っていた。

「山さんよう」

「おぅい、来たかぁ!こっちだこっちだ。」

右手を上げて呼んでいる。





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