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野巫の祭  作者: 凡栄
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野巫の祭 11

野巫の祭 11



さてと⋯

これから先は長い長い予定の無い時間の始まりだ。

今日は日比谷の演奏会も無いしな。

とりあえず昨日帰ってから流していない汗がベトベトするのでシャワーを浴びようか。

風呂場に行き、服を脱ぐ前にバスタオルの匂いを嗅ぐ。

やもめ暮らしでバスタオルは毎日洗うわけではなく何度か使ってからなので、臭うとせっかくシャワーを浴びたのに酢えたバスタオルの匂いが身体についてしまうから風呂場に入る前に確認をして臭っていたら新しいのと替えないとビショビショの身体でバスタオルを取りに行くことになるのだ。

風呂場と離れているわけではないが数10cmとはいえ床を濡らしてしまう事になるので毎回この作業をする。

人が見たら何と思うかな。

バカバカしくみえるかな。

無精者と思われるかな。

ま、どうせ気ままな一人暮らしさ。

今日は少し臭うので取り替えよう。

「あっ⋯」

声が出てしまった。

昨日の夜に確認すれば今朝の洗濯で洗えたのにな⋯。

失敗失敗。

着ている服とバスタオルを洗濯カゴに入れて風呂場に入る。

ノブを回してお湯が出るまでしばしボーっと待ち、お湯になったら身体に当てる。

すでに「水を弾く」身体ではないのでシャワーのお湯は肌に水の膜を張るかのように身体を流れていく。

石鹸で身体を洗うとようやく少し水を弾くかな。

身体を洗った泡があるうちに髭も剃る。

泡が足りなくなれば頭の毛についた泡を移動させて足らす。

最後に髭を剃った剃刀を洗いながら全身を流してお終い。

ノブを回してシャワーを止めて鏡に写った自分を見ると、残り少なくなった毛が力無く頭にへばり付き、どこから見ても老人然とした姿だなぁ。

バスタオルを風呂場に引っ張り込み水気を取ると外の壁のタオル掛けに吊るす。

この時期は二回が限度かな⋯。

そんなことを思いつつ下着を履いて肌着を着て、冷蔵庫から麦茶を出してコップに入れ、ちゃぶ台の前にもどる。

出しっ放しになっていたパソコンの電源を入れて昨日の続きをするか。





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