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Blue:code  作者: 十英
2/2

Act.2『始まりのイミテーション』

おれが一番最初にいたのは街の中だった。

何故か空き屋のベットの上で寝ていて、目が覚めると不思議な服装に変わっていた。


「……頭いてぇ…ここどこだよ…」

確かさっきまで白い部屋に、そう言おうとした所でなんとなくため息が出た。

これは…例のゲームが始まったってことで良いんだろうか。

となると宝玉を探すしかないな…

死んだというのはまだにわかに信じがたいが、記憶が無いのも事実。探すしか道は無いだろう。


にしてもRPGなんだからクエストとかラスボスとかあるのか?

そうなると話はかなり違う、ラスボス的なのがいるなら一人では少々厄介だ。

まぁどちらにせよ仲間になってくれる奴も探さなきゃだな。

「…まず物揃えるか…ここ街っぽいし回復アイテムくらい売ってるだろ」


そう呟いた時だった。

あの白い部屋以上に街がやたら騒がしい。

何かあったのかと外に出ると明らかにザコなモンスターが目に入る。

何やら上にある文字は[HP340 Monster name:人喰いラビット]

いやあれどう見てもウサギじゃない。

ウサギの形をほんの少し(ここ重要)だけ残した片耳がないゾンビ。

まだおれ自身のHPを見てないから340は雑魚な方なのか分からないが、こいつからは明らかな雑魚臭がする

という以前に気持ち悪い。


[モンスターが現れた為戦闘モードに移行します]


その声と共に表示されるおれのHP。

330…まぁ少しアレより弱いくらいか、やっぱりあのモンスターただの雑魚じゃねぇか

「一発いけるかねぇ……おら、かかってこいよゾンビ!!!」

武器は持っていなかったから適当に左足を少し後ろに引き、構えを取ると自然に拳に力が入る。

敵もようやくこちらに気付いたのか勢い良く襲いかかってきたがさっと避けて踵落としを当てる。どうやら瞬発力は有り得ないくらいになっているようだ。

急所だったのか一発で消えてくれたし想定外の雑魚だった。

「……そこの御方」

「え?な、なんだよ」

初老の男が後ろに立っていたのに全然気付かなくてつい驚いてしまった。

「モンスターを追い払ってくださりありがとうございます。」

「いや、なんてことないよ」

「…御礼になるものは持っていないのですが、代わりに何でも質問してください。無理な話でも答えましょう」

「本当か!?じゃあ…宝玉のありかって分かったりする?」

「…片岡涼輝を探しなさい」

「かたおか…りょーき?そいつが持ってるのか?」

「…はい」

「分かった!ありがとう!ついでに近場でアイテム売ってるとこ教えてくれないか?」

「その二番目の角を右に曲がってすぐです。」

「ありがとう!じゃあな、じいさん!」

手を振りながら走り去る。

少しつっかかる物があったから途中で振り向くともうそこに老人はいなかった。


*


「片岡リョーキはどこにいる~!!」

おれは絶対宝玉手に入れて生き返ってみせるんだからな。

それで知ってみせる。『Blue:code』の真実を




「……ってあれ、Blue:codeってなんだ……?」

軽く頭を捻る。Blue:codeなんて聞いたこと無い単語、なんで出てきたんだ?

まぁ良い、そんなこと気にしてたら拉致があかない。先を急ごう


「おいそこの奴!」

「…」

「おいってば、そこの紫の髪の奴」

「…紫……?私のことか」

紫で長い髪をポニーテールにした人物が一人で何かを探していたので話しかけたは良いが、

不機嫌そうに振り向いたのでかなり気まずくなる。

「か…片岡涼輝って奴、知らないか?」

「片岡涼輝……?知らんな、他を当たれ」

「…そっか……すいません、ありがとうございました」


どうも人探しは慣れない。

こればっかしは聞いて回るしか無いし、何より世界は広い。

その片岡涼輝というのがこの世界の住人なのか、それともプレイヤーなのかそれすら分かっていないし見た目も分からないのに探すのなんて馬鹿げてる。

まぁそれだからこそ生き返る宝玉は簡単には見つからないんだろうが…


「ヘルプになんか書かれてねぇの?」

「…そこの赤髪」

「赤髪言うな!ってお前さっきの紫髪じゃねぇか…」

「貴様も紫髪と呼んでいるではないか、おあいこだ。」

「…で、何の用?」

「ヘルプ、と言ったな。プレイヤー探しならメニュー画面から出来るぞ」

「えっ。あ、ありがとうございます」

「じゃあな」


この人もプレイヤーだったのか…と思いながらメニュー画面を出す。

確かに左端に小さく[プレイヤー検索]とあったのに気付かなかった自分が恥ずかしい。

プレイヤー検索、とはあるか見た感じ近場にいるプレイヤーしか見れないみたいだ。つまりは片岡涼輝の名を探しながらいけと…

気が遠くなる。でもないよりマシな機能だ。

近場にいるのは3人、おれに一番近いのはHiyoruというプレイヤーネーム。

タップしてみるとそいつの姿、レベル、名前、ステータスが表示されていた。

Hiyoru Sakiada Lv.9

外見はさっきの紫の奴だ。ヒヨルって言うのか、あいつ。

……いや、ちょっと待て

今「Ryoki」の文字が目に入った。

まさか、と思いタップしてみると確かに名前は[Ryoki Kataoka Lv.4]

「………!!!見つけた……!」


黒い髪の青年。

黒髪で、同い年で、同じくらいの背丈の青年。

それがおれが探し回っていた男の姿だった。


彼がいる場所まで走り、高い所へ先回り。

これだけ探したんだ、登場はハデにしたいよな。

そして片岡涼輝が通りそうだというところでひとっ飛びしながら拳を振る。

「____片岡涼輝覚悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!」











この出会いがおれらの運命を大きく変えることになるなんて、

この時はまだ考えもしなかった。

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