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死んでもめげない異世界紀行 ~ドSな女神様のせいで大体死亡オチ~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
簡単なりきり悪役令嬢セットの世界

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17

「天命占い喫茶……」


 そんな名前の店が、俺の目の前にあった。

 あの後ビラを渡されて、美人な客引きさんに引っ張られたのだ。

 確かに、おみくじには天命を知る者がどうのこうのと書いてあった。

 だが、さすがに胡散臭すぎる気がする。

 大体、城下町での用事も済んだし帰って休みたい。

 この身体は妙に肩が凝るのだ。


「え、えっと、私は興味がないので……」

「え~、レイジョ様ぁ~。一生懸命占いますからウィッチ~」


 ウィッチって何だ! 語尾に付けるもんじゃねーだろ!

 この露出度が異常に高い魔女コスの客引きが!

 そんな見え見えの手に引っかかる奴なんかいねーよ!!


「ま、まぁそこまで言うのなら、ちょっとくらいはいいですわよ!」


 ……肌色には勝てなかったよ。

 俺は、客引きに腕をガッツリと掴まれ、その胸の感触を楽しんだ。

 店内に引きずり込まれると、そこはアキバのコスプレ喫茶を思い出す場所だった。

 設置されてる装飾品は中世風だが、店員達は様々なバリエーションの魔法系職業コス。

 いや、ここは魔法が実際にある異世界なのだから、本職の服なのかもしれない。

 とんがり帽子に足下まであるマント。

 そして胴部分は軽装、肌色が多め。

 胸の谷間が見えている子もいる。

 スカートからチラチラ見える太股も素晴らしい。

 ああ、魔法詠唱の邪魔にならないための薄着理論さんアリガトウ!


「それじゃあ、14へ進んでください~。ピッチピチの新人ちゃんが占ってくれま~す。あ、ウィッチ」

「わかりましたわ」


 って、あれ? 14へ進む……?

 何か、その数字に進むと死亡確定になるという伝説があったような……。

 

「こ、ここかしら……」


 頭上に案内板があるため、その場所はすぐ分かった。

 君は……もとい、俺は14へ進んだ。

 対面式のテーブル、奥には1人の女性が座っていた。


「ようこそ。本日のお悩みは……ふむふむ、なるほど」


 いや、まだ何も言ってないが。

 とりあえず、そのまま席に座った。

 占い師らしき女性は、黒いフードで顔を隠しており、どんな人物かは分からなかった。

 だが、パッツンパッツンの魔女服を着ており、そのボディラインとこぼれんばかりの胸の素性は分かった。

 うん、胸の素性が分かれば平気だろう。

 E……いや、アンダーも考慮するとFか?

 重要なところだ、占ってもらうのもいいかもしれない。


「何か、良くない事が立て続けに起こっていますね?」

「いえ、今は最高な事が起こってますわ」

「ふぇ?」


 意表を突かれてあげた声は、占い師風の冷静な声では無かった。

 素の声は意外と可愛い。


「え、えと……靴紐が切れたりとか、13階段で4444人目だったり、カラスとか黒猫に襲撃されたり、合わせ鏡を見たり……。あ、あとその、う、う……」

「う?」

「……ウンコを踏んだりとか」


 聞こえるか聞こえないかくらいの小声だ。

 言うのがちょっと恥ずかしかったのだろうか。

 俺も昔は、学校で言うのが恥ずかしかったな。

 いや、そうじゃない。

 何故、そこまで詳細に知っているのだろう。

 それに、縁起が悪い事ってこの世界でも共通なのか? そこまで異世界同士の交流で伝わっているものなのか?

 俺は、そこらへんを問いただしてみる事にした。


「聞こえなかったわ。もう一度仰ってくださらない。……最後の!」

「ひぇ!? あ、あの……その……う、ううううう!?」


 何かに目覚めそうだ。

 何歳になっても、新しい事に目覚める事は良い事だと思う。

 どんな場所でも学ぶことは出来るのだ。


「と、とにかく! 次は身体の中でよくない事が起きるかもしれません! つまり、お医者さんに行くといいでしょう! 絶対に当たりますから!」

「ほほう。では、その絶対が外れた場合はどうしてくださるのかしら?」

「そ、それはその……」

「ふんふん?」


 フードから見える顔半分が真っ赤に染まり、全身をプルプルと震わせている。

 なかなか可愛い反応だ。

 これなら、この占い喫茶は繁盛するだろう。


「き、キスでも何でもしてあげるわよ!」


 なぜそうなる。

 意味が分からない。

 大体、今は女同士だぞ。

 あ、あれか!

 女同士のフレンドリーなキッス。

 そうか、そういうのあるよな!

 うん!

 うん、そうだ!

 はは!

 俺の思考はマッハとなった。


「ちょっと医者へ行ってきますわ」


 この流れに何もおかしな所は無かった。


* * * * * * * *


 数十分後。

 俺は、ドクターダックワーズに縛られ、荒い鼻息をかけられていた。

 この流れは、何もかもおかしな所だらけだった。

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