試すときが来た
集合場所。
雄大はすごく楽しみにしていた。
暫くしてバスが来て、皆乗り込んだ。
「ほら、これが例のモノ。」
「?ゲームよりいいのか、これ。」
「透也に聞いてみな。」
「やだよ、席遠すぎ。お前が言えよ。」
「簡単に言えば、超珍しい石だそうだ。
あの透也が取り乱すくらい。」
「まぢで?あいつが?」
そう聞いた雄大も取り乱している。
〔じ〕が〔ぢ〕になっている。
ゲームよりいいモノとは、
思わなかったのであろう。
「ま、俺もゲーム持ってきたし、
お前もその石、どうにかして隠せよ。」
「石は不要物じゃないしー。」
………………………………「な、な、なに………」
そういえばそうだった。
ゲームは明らかに不要物。
だが石はそうではない。
やばい、と雄大は思った。
「お前、窓は?」
「へ?」
「お前、部屋の窓は開けてきたか?」
「あ、あぁ…」
「ゲーム、カセ。」
「え?」
「ゲーム、カセ。」
「あ、あぁ…」
雄大はゲームを悠介に渡す。
試すときがきた、と悠介は思った。
雄大はいつも自分の部屋に
布団を敷きっぱなしだ。
投げてもゲームは壊れない。
悠介はゲームと石を持って窓を開け、
顧問の谷村にばれないように
ゲームを放り投げた。