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十字郎
「つまり、悠介の親父は…」
「自らの唱能力を…結晶化…?」
「そう。奴は、自らの息子を立派に育てるために、
儂に刀を託した。十年前から、
儂はここの校長じゃったから、
奴は悠介を儂の学校に入れ、
鍛えさせようとしたのじゃ。
じゃが途中、アクシデントが起きた。
十字郎の死じゃ。
そのせいで、奴の中の唱エネルギーが
制御不能になり、
怪物が現れるようになった。
仕方ないから儂は、君達を防衛委員として
悠介と共に成長させるため、
清水先生に御願いして、
そのように計らってもらったのじゃ。」
「な、なるほど…」
「おい総司!!」
「何じゃ、十字郎?」
「喋り過ぎだ。」
「すまんのぉ。知っての通り、
儂ゃあ語り出すと止まらん質で。」
キン、と、田沼のすぐ横に刀が突き刺さる。
「じゃあ黙ってろ。」
『…いかん。暴走が…』
「止めろよ、親父!!」
「何だ今さら。」
「やめろよ、こんなこと。」
「何─」
「俺は…こんなことで心配されても、
成長なんてしない!だからやめろ!
不毛なだけだ!こんなことッ!!!」
……………
グォオォォオオォオォォォ!!!
武士はその殻を破り、
魔物のような本性を、
晒け出した。




