考え、駄弁る
二人が瞬間移動理論の講義を受けている間、
俺は突きをするよう、橘に言われた。
俺は今、魔龍石なしでの
肉体のトレーニングをしている。
魔龍石は、特殊な布に包み、
ポケットの中だ。
魔龍石は、握らなくても
効果を発揮する。衣服や体に触れていれば。
だが、イヴィルゲートの中とはいえ、
魔龍石には希少価値がある。
念のためポケットには入れておきたい。
というわけで、効果を発揮しないための
コーティングのなされた布で包み、
ポケットに入れている。
「では、休憩後、実践訓練です!」
どうやら講義は終わったようだ。
透也は普通の顔をしているが、
今度ばかりは雄大がヤバい。
「~¢§〆仝~」
ハッ、そうだった。
二人とも、魔龍石がないぶん、
持ってる俺より大変なんだ。
俺だって瞬間移動の呪文は
暗唱できるけど、雄大の頭には
入りきらないらしい。
─それにしてもあいつ。精神的には
超弱いくせに、暗記関係になると得意気だな。
どうやら透也と雄大の性格は、正反対らしい。
「お疲れ。」
「そっちこそ。」
「どうだい、調子は。」
「もう疲れた。」
「そうか。でも頑張んないとな。」
「そうだな。なにしろ俺達、防衛委員だし。」
「強くなって、
今度はみんなでヒーローになろうぜ!」
「できれば今後怪物が出てこないことを
願いたいが。」
「ごもっともなご意見でございます。」
はははははははははははははははははは…
─そうだ。そうだな。
強くなって、みんなでヒーローか。
「よし、まだまだ訓練、頑張るぞ!」
「オーッ!」




