イヴィルゲート 歓迎
─翌日。
我々は、イヴィルゲートの前にいた。
「悠介が毎日修行積んでるのって、
まさかここかよ?」
「ああ、そうだけど。」
「ホントにホントか?
もしそうだとしたら幻滅だぞ。
あの有名なイヴィルゲートが、
まさかこれだなんて。」
どの有名なイヴィルゲートだよ。
こいつホントに何でも知ってんな。
駄弁っていると、
ひゅん!
「やあ、君たちが悠介の友達かい。
歓迎するよ。ようこそ!
我らがイヴィルゲートへ!」
歓迎された当の本人達は、腰を抜かしている。
きっと瞬間移動してきて
いきなり話しかけてきたので、
驚いたのだろう。
俺だって、
『今までそこにいなかった人間が、
いきなり出てきていきなり話しかけてきた』
とかいうシチュエーションになったら、
瞬間移動を知らない昔は、
さぞかし驚いていただろう。
今は能力使用者にとっての
基本的な移動手段となっているし、
仲間達に見せたところで、
今から能力使用者側になるのだから
特に変わらない、と思ったのだろう。
考えていると、建物の中に入り、
橘さんがイヴィルゲートに入る準備を
進めていた。
「~§¢£ゞ~」
やはり聞き取れない。
毎日聞いている俺でも、やはり無理だ。
〔唱〕ってのは、言ってる内容が
分かってても、それを念頭において
聞いても、聞き取れないものなのである。
気がつくと、
もうイヴィルゲートについていた。
橘がわざとらしく咳き込む。
「ん、うん。」
みんな振り向く。
「改めて言いましょう。
ようこそ、イヴィルゲートへ!
われわれは君達を歓迎します!」




