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一石二鳥の得策
─学園長室に呼ばれた、その夜。
俺はいつものようにイヴィルゲートで
橘と共に訓練をしていた。
休憩時間、橘に
非能力使用者の前で
瞬間移動をしたこと、
それについて田沼総司から
一応の注意を受けたこと、を話した。
すると、橘が簡潔な対策を
述べた。
「見てた人たちを能力使用者サイドにする。
これが一番簡単な対策ですよ。」
なるほど。非能力使用者に
能力使用者の能力を見られては
ダメなのなら、その非能力使用者を
能力使用者にしてしまえば
いい、といったところか。
まぁ、そうだな。
笹塚学園正式防衛委員に選ばれたのだから、
どの道強くなってもらわないと困るし。
仲間に秘密なんて、やだしな。
「じゃあ明日、誘ってきますよ。」
「そうしてください。
学園を守るためには、
防衛委員を全員連れてきた方が
いいとは思うのですが、僕一人では
全員同時に教えられる自信はないですし。
ここしばらくは、悠介君の仲間だけ、
教えることにしましょう。」
「お願いします!」
こうして事態は、
防衛に向けて本格的に動き出した。
「よし!学園を守るぞ!」




