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魔龍石(いし)  作者: 雷田十字郎
32/46

楽しい楽しい中学校 其の2

その日一日中、休み時間は先頭の話で

持ちきりだった。

「すごいなー。雷田君。」

「?何が?」

「あの怪物を一撃で倒すなんて。」

一撃?何の話だろう。

200~300発くらい食らわせただろうか。

「私見てたけど、窓から外に出た

次の瞬間には、もう光の粒が!」

ああ、そうかもしれない。

たぶん普通の人には、そう見えたのだろう。

早すぎて攻撃が見えず、勝手に頭のなかで

〔一撃〕と思い込んでいたのだろう。

瞬間移動ワープの〔唱〕ver.も

時間がかかると言っても一秒もかからない。

攻撃だって最小限の時間で

済むようにしている。

だが幸いなことに、瞬間移動ワープの事を

『窓から出た』という勘違い。

瞬間移動ワープがばれないで済んだ。

「なに言ってんだ、海月。」

ギクッ!!雄大だ!

こいつ、近くで見てたし、何より、

口止めまだだったー!

「15発だぞ。」

いやそこかよ!俺の心配は杞憂か!

「すごーい!あんな一瞬で、そんな数の

攻撃を入れるなんて!」

「それに外に出たのだって…」

ヤバい!言われる前に手を打たねば!

「まぁ実際、足も使ったから、

そんなに大変でもなかったけどな。」

「あぁ、そうだな。」

キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン

キター!

秘密を守りきった!


─授業後。

「雄大!」

「何だ!」

「外に出た方法、他言無用だからな。」

「何故?」

「秘密だから。」

「OK。」

ふと透也を見ると、沈んでいる。

『ついで』とはいえ、

笹塚学園正式防衛委員に選ばれたのに

いざという時何も出来なかったかららしい。

─その点、同じように唖然としてた

雄大は、なんともない。

雄大が強いのか、透也が弱いのか。

─俺的には、後者だと思うのだが。

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