楽しい楽しい中学校 其の2
その日一日中、休み時間は先頭の話で
持ちきりだった。
「すごいなー。雷田君。」
「?何が?」
「あの怪物を一撃で倒すなんて。」
一撃?何の話だろう。
200~300発くらい食らわせただろうか。
「私見てたけど、窓から外に出た
次の瞬間には、もう光の粒が!」
ああ、そうかもしれない。
たぶん普通の人には、そう見えたのだろう。
早すぎて攻撃が見えず、勝手に頭のなかで
〔一撃〕と思い込んでいたのだろう。
瞬間移動の〔唱〕ver.も
時間がかかると言っても一秒もかからない。
攻撃だって最小限の時間で
済むようにしている。
だが幸いなことに、瞬間移動の事を
『窓から出た』という勘違い。
瞬間移動がばれないで済んだ。
「なに言ってんだ、海月。」
ギクッ!!雄大だ!
こいつ、近くで見てたし、何より、
口止めまだだったー!
「15発だぞ。」
いやそこかよ!俺の心配は杞憂か!
「すごーい!あんな一瞬で、そんな数の
攻撃を入れるなんて!」
「それに外に出たのだって…」
ヤバい!言われる前に手を打たねば!
「まぁ実際、足も使ったから、
そんなに大変でもなかったけどな。」
「あぁ、そうだな。」
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
キター!
秘密を守りきった!
─授業後。
「雄大!」
「何だ!」
「外に出た方法、他言無用だからな。」
「何故?」
「秘密だから。」
「OK。」
ふと透也を見ると、沈んでいる。
『ついで』とはいえ、
笹塚学園正式防衛委員に選ばれたのに
いざという時何も出来なかったかららしい。
─その点、同じように唖然としてた
雄大は、なんともない。
雄大が強いのか、透也が弱いのか。
─俺的には、後者だと思うのだが。




