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拾った石
─一週間前─
悠介は部活に行くため、狭い道にいた。
「やっべ、遅刻かも。」
走っていると、突然何かが落ちてきて、
コンクリートにめり込んだ。
「?」
なんだろう、これ。
しかも、拾えない。めり込みすぎだ。
やっと拾えたその石は、きれいだった。
見とれていると、自分が遅刻気味なのを
思い出した。再び走り出すと、
1分で学校に着いた。
いつもなら走っても15分はかかるのに。
彼は卓球部である。
同じ部活で物知りの北野透也に
石を見せると、
「こっ、こっ、こっ、これは、
幻の魔龍石じゃないか!」
えええええええええええええええええ!
「そっ、そんなすごいいしだったの!?
まじで!?」
驚きのあまりしっかり喋れない。
「ああ、この石が実在したとは。
TVアニメにもなってるよ!
全部DVDに録ってあるから、
今度貸してやるよ!」
というのがあの1話まるごと粗筋だけの
TVアニメである。