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楽しい楽しい中学校 其の1
─校庭。
誰もいない。
ひゅん!
─下駄箱。
誰もいない。
ひゅん!
─廊下。
誰もいない。
─悠介は走った。
「ギリギリセーフ!」
クラス全員が声をあげた。
本当にギリギリセーフだ。
席についた瞬間、チャイムが鳴った。
「で、手応えは?」
透也が問う。
「先に来た爺さんに、倒されてたよ。」
「その爺さんも、魔龍石、
持ってたのか?」
「ああ。魔龍石で鋳られた刀を
持ってたよ。」
まただ。透也があからさまに動揺してる。
「あ…魔龍石で鋳られた…
か…か…刀!?ば…馬鹿な!そ…そんなもの…
余程高度な技術がなければ…」
おーい。
こいつ、頭脳はいいのに。
精神、弱すぎだろ。
「ほら、そこ!静かにしなさい!」
先生にまで怒られた。
朝会中だからって、気を遣ってんのは
俺だけかよ。
まあ、喋る方が悪いんだけど。
「北野透也!後で先生の所に来なさい!
分かったら返事!」
「は…はい!」
俺、しーらねっと。
「雷田悠介!あなたもです!
知らんぷりをしない!」
そこまでばれたか。くそー。




