瞬間移動理論
悠介が眠りについた頃には、もうすでに
日付は変わっていた。
夢の中で、悠介はイヴィルゲートが
夢である事をただひたすらに
願っていた。
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翌日?日付変わってるけど。
まぁ、どっちでもいいや。
悠介は目が覚めると、イヴィルゲートが
夢ではなかったことを、ただひたすらに
悔やんでいた。
─学校にも行きたい(行かなきゃいけない)し、部活にも行きたい。
抜け出したい。悠介は思った。
でもこの人、唱えるの面倒っちいけど、
俺より強い。それは確実。
多分この人が来ていたら、
怪物も難なく倒せただろう。
正直、訓練がこんなにキツいとは。
まあでも、強くなると決めた以上、
そのくらいの覚悟は必要なのかもな。
─なら、早く学校に行きたいなら、
早く瞬間移動を覚えるしか、
方法はない。
そうと決まれば!
「おーい、橘さん。」
「ん…わ、も、も、もう、こ、こ、こ、
こんな時間!や、や、やばい!
叱られる!君!来て!」
…や、やばい。完全にパニクってる。
「早く!」
「あ、はい。」
「準備は?」
「OKです。」
「よろしい。では早速、訓練開始!」
「はい!」
とりあえず言っといた。
答え方が分っかりにくいなー、この人。
「ではまず基礎からいきましょう。
長い話ですから、しっかり聞かないと、
瞬間移動が出来ないのは、
魔龍石の持ち主として、
これ程恥ずかしいことはありませんよ。
─瞬間移動には、基本的に
3つの方法があります。
1つめは、場所を強くイメージすること。
基本的な配置として、
どこに何がある、等を覚えていれば
そこに瞬間移動できます。
2つめは、時間を強くイメージすること。
主に、「自分がいついた場所」です。
細かい配置などを覚えていなくても、
「この日ここにいた」で瞬間移動できます。
3つめは、自分の見える範囲で
「あそこに行きたい」です。
これは、主に実戦向きで、
戦いながら相手の背後を取りたいときに
使われます。
簡単なのは、1>2>3です。
1は、配置を覚えている、という点で
イメージが強いからです。
2と3は、単に精神状態の問題です。
戦闘中でも、冷静であれば
3の方が簡単です。
ただ、そうである人が少ないため、
一般的には2の方が簡単とされています。
怪物は強いですからね。
でも理論上は、細かい場所を覚えていない〔時間〕での瞬間移動より、
実際に今見えている場所に移動する
〔視覚〕での瞬間移動の方が
簡単とされています。
まあ、家に帰るためには、
最低1を覚えれば、
自宅にくらい帰れるでしょう。」
長い。本人も言っていたが、
まさかこれ程とは。
一体、俺はいつになったら
自宅に帰れるのだろうか。




