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魔龍石(いし)  作者: 雷田十字郎
19/46

瞬間移動理論

悠介が眠りについた頃には、もうすでに

日付は変わっていた。

夢の中で、悠介はイヴィルゲートが

夢である事をただひたすらに

願っていた。

─────────────────


翌日?日付変わってるけど。

まぁ、どっちでもいいや。

悠介は目が覚めると、イヴィルゲートが

夢ではなかったことを、ただひたすらに

悔やんでいた。

─学校にも行きたい(行かなきゃいけない)し、部活にも行きたい。

抜け出したい。悠介は思った。

でもこの人、唱えるの面倒っちいけど、

俺より強い。それは確実。

多分この人が来ていたら、

怪物も難なく倒せただろう。

正直、訓練がこんなにキツいとは。

まあでも、強くなると決めた以上、

そのくらいの覚悟は必要なのかもな。

─なら、早く学校に行きたいなら、

早く瞬間移動ワープを覚えるしか、

方法はない。

そうと決まれば!

「おーい、橘さん。」

「ん…わ、も、も、もう、こ、こ、こ、

こんな時間!や、や、やばい!

叱られる!君!来て!」

…や、やばい。完全にパニクってる。

「早く!」

「あ、はい。」

「準備は?」

「OKです。」

「よろしい。では早速、訓練開始!」

「はい!」

とりあえず言っといた。

答え方が分っかりにくいなー、この人。

「ではまず基礎からいきましょう。

長い話ですから、しっかり聞かないと、

瞬間移動ワープが出来ないのは、

魔龍石いしの持ち主として、

これ程恥ずかしいことはありませんよ。

瞬間移動ワープには、基本的に

3つの方法があります。

1つめは、場所を強くイメージすること。

基本的な配置として、

どこに何がある、等を覚えていれば

そこに瞬間移動ワープできます。

2つめは、時間を強くイメージすること。

主に、「自分がいついた場所」です。

細かい配置などを覚えていなくても、

「この日ここにいた」で瞬間移動ワープできます。

3つめは、自分の見える範囲で

「あそこに行きたい」です。

これは、主に実戦向きで、

戦いながら相手の背後を取りたいときに

使われます。

簡単なのは、1>2>3です。

1は、配置を覚えている、という点で

イメージが強いからです。

2と3は、単に精神状態の問題です。

戦闘中でも、冷静であれば

3の方が簡単です。

ただ、そうである人が少ないため、

一般的には2の方が簡単とされています。

怪物は強いですからね。

でも理論上は、細かい場所を覚えていない〔時間〕での瞬間移動ワープより、

実際に今見えている場所に移動する

〔視覚〕での瞬間移動ワープの方が

簡単とされています。

まあ、家に帰るためには、

最低1を覚えれば、

自宅にくらい帰れるでしょう。」

長い。本人も言っていたが、

まさかこれ程とは。

一体、俺はいつになったら

自宅うちに帰れるのだろうか。

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