連れてこられた、その先
橘行雄が俺に触れた瞬間。
俺は古くて大きな倉庫っぽい所にいた。
「ここで訓練を?」
「いえ、違いますよ。そこには
瞬間移動じゃ入れなくて。」
ワープ?この人が何を言っているのか、
俺にはさっぱり分からなかった。
橘行雄は何故か建物の中にある、
普通より大きなマンホールに手を翳し、
意味の分からない事を言った。
すると、マンホールが消え、
中を覗くと滑り台のようになっていた。
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「あれは『唱』と言いましてね。
声に出さなければなりませんが、
魔龍石と同等の力を得られます。」
魔龍石と同等の力か……………………
魔龍石には、そんな力が……………
「ちなみに今は、直訳すれば
『我の眼を塞ぐ虚偽の板よ、失せよ』
と唱えました。君も勉強してみて、
損はないと思いますよ。
使う必要はありませんが、
怪物に使われたとき、
何をしてくるか予め予測できます。」
確かに彼の言うことにも一理ある。
だが今現在俺に必要なのは、
強くなることだ。本格的な実戦は、
この前のレベルの奴くらいには、
少なくとも余裕で勝てる実力だ。
考えていると、一番下まで降りてきた。
「ここは…?」
「魔龍石や、『唱』を持つ者を
鍛えるための施設、イヴィルゲートです!」




