訪問者
そう思った矢先、チャイムが鳴った。
ピンポーン。
「はーい」
ガチャ
ドアを開けると、そこには
見たこともない男が、立っていた。
「あの…どちら様でしょうか。」
「私は、橘行雄という者です。
あなたが、雷田悠介君ですね。」
「あ、はい…そうですが。」
「お噂はかねがね。」
「い…いえ、とんでもない。
そんな誉められるようなこと、
してませんよ。」
「でも、君がいなければ、
この町は既に壊滅状態だったでしょう。
立派なことですよ。」
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「用件をお伝えしましょう。」
「お願いします。」
「僕の見ていた限り、
君はまだまだ未熟者。
だから僕と仲間達で、君を鍛えるため、
わざわざここまで押し掛けてきた、
というわけです。」
未熟者。そう言ってもらえると、
何だか嬉しかった。
俺の心の中を、察しているかのような、
そんな響きの言葉だった。
「で具体的にはどんな?」
「それは来てもらえれば、わかります。
ちょっと来てください。」
…これって、誘拐じゃないだろうな。
でもホントに鍛えてくれるのなら、
超ラッキーだ。
ついていこう。悠介は思った。
何かあっても魔龍石があれば、
最低逃げ遂せるくらいは、出来そうだ。
こんな時だけ使うのも悪いが、
魔龍石には協力してもらおう。




