病室
目覚めると、天井は白かった。
変だな、悠介は思った。
家の天井はこんなに白かったか?
「起きた?」
何処からか声がした。
聞き覚えのある声だ。
声のする方を見ると、同じクラスの
海月奈々だった。
思い出した。
俺、雷に撃たれたんだ。
「海月…さん?」
「よかったぁ…でもすごいね、雷田君!
あの怪物を倒すし、雷に撃たれても
起きたら何ともないし。」
「ホントよかったよ。誰が気付いてくれたの?」
「あたしには分かんない。だってこれ、
当番制だもん。」
トウバンセイ?あ、なるほど。
「退屈だった?」
「ううん。むしろドキドキだった。
あたしのときに起きてくれたら、
超ラッキーだな、って思ってたから。」
「え、何で?」
「だってヒーローだよ!?
みーんなそう思ってたよ!」
そうか…よかった。
みんなが嫌々言っての当番制だったら、
泣くところだった。
「ありがとな。ってみんなにもいっといてくれ。」
「うん、わかった!どういたしまして!
ヒーローさん!」
「ところで、俺が持ってた石って、今何処にあるか、教えてくんない?」
「あたしが来たときは、ナースの人達が
目を輝かせて見てたよ。大事なもの?」
〔目を輝かせて〕ってことは、壊れてねぇってことだな。
「あぁ、超大事。ありがとな。」
「持ってきてあげようか?」
「いいよ。そこまでさせらんない。」
「でも病院の中をぐるぐる回って、
持って帰られちゃうかもよ。」
それはそれで困る。
俺のせいで瀕死な以上、
俺が治してやんなきゃ。
「じゃ頼む。持ってきてくれ。」
「分かった。」
そう言って、彼女は部屋を後にした。




