戦闘い(たたかい)と雷鳴(ショック)
悠介は、脚に力を集中させた。
一気に脚を伸ばすと、雲に届きそうだ。
そして態勢を変えて急降下し、
敵の頭上から一気に襲いかかった。
魔龍石で強化した拳での
連続攻撃だ。
頭、特に顔を狙ったので
すぐに火は消えた。
だが敵も怪物、すぐに応戦してきた。
恐らく俺無しでは
火を向けられて終いやったな、
と魔龍石は思った。
にしても大したもんや。
最初からこんな早い連続攻撃、
十字郎みたいやで。
ホンマ、親子やな。
そう思いながら、魔龍石は
涙ぐむのであった。
「あああああああああああああああ!」
渾身の一撃。
怪物の顔に穴が空いたと悠介は思った。
─次の瞬間─
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
いつの間にか、周りには野次馬が
いっぱい。
悠介は、自分が何をしたのか、
まだ実感がわいていなかった。
─その日の夜─
外は大雨だった。
悠介は警察に連れていかれ、
長田という警部に長い事情聴取を受け、
帰宅している途中だった。
帰る途中で降ってきた雨になす術もなく
転ばないように走っていると、
突然、魔龍石の声がした。
「危ない!」
ずどーん。
落雷が直撃した。でも何ともなかった。
次の瞬間、魔龍石が喋りだした。
「あ…ぶない…ところやった…なぁ…」
悠介は悟った。
直撃したのは悠介。だがしかし、
ショックは全て、魔龍石が
受けてくれたのだ。
「大丈夫か!」
「ハハ…お前を守らんと、
十字郎に怒られるさかい…」
「あいつって、誰だよ!くそぅ!」
悠介は考えた。どうしよう。
治さなきゃ。でもどうやって?
石を治せる人って、一体誰だよ!
考えろ…考えろ…考えろ…考えろ…考えろ…
そう思いながら、悠介は力尽きた。




