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eスポーツとは

ゲーミングPCの前にヘッドフォンをつけて、ゲームの中でスーパープレイを決める。

近年のeスポーツを知っているが経験したことのない者なら、そういうばく然とした印象を抱いているだろう。

だが、そもそもeスポーツとは何なのか、思い返せばその意味もまた、ばく然としたものではないか?


現在2025年、eスポーツは一般的にコンピュータゲームを通じて行う競技を指すのだが、その定義で大丈夫なのだろうか?

そもそも何を持ってゲームとするのだろうか?ゲームはどこからが競技だろうか?

ネットゲームのランダムマッチングはeスポーツに入るだろうか?

ゲーセンで友たちと対戦するのはeスポーツに入るだろうか?

ここまで来たら「大会」という条件を付けたくなりそうだ。


じゃぁ、ネットカフェで開催された十数人の大会はeスポーツだろうか?

地方のゲーセンで開催された格ゲー大会はeスポーツだろうか?

クラスメイトが集まって1位を決めるのはeスポーツだろうか?

正直、飛行機に乗って、アジアのオフライン大会に出たこともあって、間違いなくeスポーツ経験者と言える俺でも、その答えを持ち合わせていない。


だが、まだ終わりじゃない、ここからはもっと拡げてみよう。



一般的なeスポーツの印象とは離れているかものしれないが、間違いなくコンピュータゲームで競技を行い、世界大会まである種目が存在する。


テトリス。

1989年に発売されたゲームソフトで、2010年に始まったゲーム大会。

ゲームであり、競技であり、大会もあるが、一般的なeスポーツの印象とは違う。

その理由は何だったのか?


ジオゲッサー。

ストリートビューを使った、ゲームと言えなくもないが、一風変わったもの。

2013年にリリースして、2023年に世界大会が開催される。

一般的に言うゲームとはかけ離れたものだが、テトリスよりもeスポーツに近い印象を受ける人は少なくないだろう。

その理由は何だったのか?


この2つのゲームを胸に留めてもらって、後で振り返って、その理由を探ろう。



eスポーツをスポーツと認めない人は数多くいる。

eスポーツにゲーミングPCの前でゲームをしている印象があって、身体を鍛える普通のスポーツとの違いがありすぎたから、それは仕方ない、

無論、eスポーツでもスケージュールによっては体力が問題になる場合もあるし、練習をしている時はほぼ必然的に座りっぱなしになるので、選手の中でもジムに通う人は少なくない。

だが、eスポーツと普通のスポーツとの最大の違いは、まさしく「身体を鍛える」の有無から来ている。


競技において、体を動かすかどうか以外に、eスポーツと普通のスポーツの最大の違いはそのスタートラインだ。

普通のスポーツは何年も身体を鍛え、技を磨き、己が鍛え上げたすべてを持って競技の場に立つ。

だが、eスポーツのスタートラインは違う。

eスポーツのスタートラインは、殆どの場合、あまりにもイーブンだったからだ。

初プレイの初心者でも、数年やったベテランでも、プロの選手でも、eスポーツの場に立てば、システムに許された範囲内だけでスタート、いくら鍛えても持ち込めるものは何一つない。

あるのはゲームに対する理解、動かし方に対する習熟、そして一瞬の閃き、それがeスポーツにおいて、選手がeスポーツに持ち込めるすべてだ。


そしてeスポーツ、この言葉はあまりにも広すぎる。

普通のスポーツも色々あるが、eスポーツの形態、求められる能力は多岐に渡る。

FPSに格ゲー、RTSにMOBA、カードゲームにパズル、ジャンルが変われば、求められる能力は野球と棒高跳とカーリングぐらいか、それ以上離れたものになる。

反射神経、思考力、戦略眼、精神力、心理戦、チーム戦の種目であればコミュニケーション能力とチームワークに語学力、そして種目への理解とその種目のゲームスキル...、それらを種目に合わせて高水準に纏まった者、もしくはそんな者を無理矢理にねじ伏せる程に一芸に秀でた者こそがeスポーツのプロ選手だ。


だが、競技だけを言うと、eスポーツは場に立つ瞬間がスタートラインで、自分の内にあるもの以外、鍛えて持ち込めるものは何もない、そういう世界だ。



ここまではeスポーツの一部の定義と特徴を述べたが、ここからはeスポーツの印象問題をざっくりと説明しよう。


どんな種目でも人並み以上の身体能力が求められる普通のスポーツと違い、eスポーツの間では求められる能力の共通点がそんなに鮮明なものがなく、印象付けが難しい。

ただ、スポーツというものは、参加人数が複数人で、対抗がルールの中心となるものが競争心を煽り、白熱しやすく、観客を集めやすい。その点において、eスポーツも同じである。


距離を無視してプレイでき、同じく距離を無視して観戦可能、対抗を中心とした、そんなゲームが本当の意味で今のeスポーツの波を生み出した。

オンラインの対戦ゲームだ。

RTAやり方が似ているテトリスのような種目以外のeスポーツ種目は、ほとんどオンラインの対戦ゲームなのはこの特性が大きいだろう。


だがeスポーツがゲームを種目とする特性上、ゲームの運営とゲーム会社に縛られることが多い。

ゲーム会社の許可なく大会はやりにくく、eスポーツを意識してゲームの調整をしないと、eスポーツのバランスは簡単に崩れ去っていく。

そうすると、大規模なeスポーツ大会を主催する者は自ずと、実績豊富で許可を取りやすく、観客を集めやすい大手か、該当ゲームの情報を拡散しやすく、プレイヤーたちと繋げやすいそのゲームを運営している会社自身となってくる。


こうなるとeスポーツのボトルネックは現れてくる。それはeスポーツがプレイヤーの輪から出られない点だ。

プレイヤーの輪は大会をやる側からしたらあまりにも小さすぎた。ここから出られないと拡散力に乏しく、大会をやる意味はない。

こうなるとeスポーツ大会で利益を獲得できる方法が必要になって来る。


eスポーツ大会を通してプレイヤーを増やす、eスポーツの熱でプレイヤーが金を出す意欲を高める、視聴数と話題性を活用して広告で金を取る。

会社側は色々とやり方があるが、その中に一つ、選手たちと密接に関わっており、競技の特性を活かして、一般人からの印象を改善し、ポジティブな印象つけをする方法がある。

スターを作ることだ。


eスポーツに参加する選手たちをゲームのプレイヤーから昇華させ、スターになってもらう。

そうすれば選手がただのプレイヤーから脱却し、eスポーツの看板となり、イメージを改善し、eスポーツとゲームの認知度を上げ、プレイヤーの目標を立てることが出来るようになる。


企業は金儲けを考えるだろうが、打算ではなく、eスポーツを愛し、eスポーツを広めたいだけの者もいるだろう。

だがeスポーツの運営はタダではなく、ゲームを運営する会社が関わっている以上、その会社の利益からは逃れられない。

だから、今のeスポーツの印象はオンライン対戦ゲームが形作ったものであり、各ゲーム会社も自分傘下のゲームの大会を開くことが一般的で、形を似せても各々で戦っているのが現状である。


ここでテトリスとジオゲッサーを思い返していただこう。

テトリスは何十年も前に発売されたゲームで、ソフトを売ったらそれっきり、今さらeスポーツで盛り上げたところで、ゲーム会社にとっては流れに乗って大会を主催するか新作でも出さない限りあまり関係のない話になる。

対するジオゲッサーはオンラインの対戦ゲームと同じく、運営中で、ゲーム会社主導でeスポーツ化を進み、競技に適した形に調整していった。

ええ、同じく会社がゲームを運営していて、そのゲームで利益を得る必要があり、eスポーツでさらなる発展を図り、eスポーツ化の途中で似たような問題を克服する必要があるから、その形、その印象が似てくるわけだ。




ここ数年、eスポーツがかなりの発展を見せ、いくらeスポーツと普通のスポーツがかけ離れているといえど、オリンピックの種目にも選ばれるそうだ。

だが、実はここまで語っていたeスポーツの特性によって、オリンピックのようなスポーツ大会の種目になるにあたって、大変な問題が存在するのだ。


その問題は何なのか、需要がありそうならまた今度語るとしよう。


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