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死にたがりと犬  作者: 芭月
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夜のルーティン

 帰ってきた。

 犬は嬉しくて尻尾を振る。

 お帰り死にたがり。

 寂しかったよ。

 今日もいい子でお留守番できたよ。ほめて。


 今日も上司に叱られ落ち込んで帰ってきた。

 こんな日はいつも以上に死にたくなる。

 居間に入ると犬が尻尾とお尻を振って足元に寄ってきた。

「ただいま犬」

 声をかけると足元で飛び跳ねる犬。

「ダメ、ジャンプすると腰に悪い」

 言うことを聞かない犬は嬉しそうにキャンキャン騒ぐ。

 吐いた跡がないか確認し、犬の頭を撫でた。

 着替えをし犬に胴輪をつけ夜の散歩に出た。

 帰ってくると夕飯の支度。ドックフードにサプリメント。

 毎日文句も言わず食べてくれるので助かる。

 食後に歯磨きブラッシング、皮膚の変化を確認する。

「少し良くなってきたね」

 犬の体臭が臭くなってきた。次の休日はドックランに行ってからシャンプーしよう。

 ドックフードとサプリメント、薬用シャンプーの在庫を確認し必要な物をネット購入する。

 死にたがりが自殺すると残された犬はどうなるのだろう?

 犬の寿命を全うするまで一緒にいたい。それまで耐えられるだろうか?

 今、死にたがりが死ねば犬は保護団体に引き取られるか、殺処分のどちらかしかない。

 できたら前者がいいな。そして新しい飼い主に引き取られかわいがってもらいたい。

 そんな日が来るか来ないかわからないが、その日まで一緒にいよう。

 それでも「犬、いつか一緒に死のう」それは死にたがりのわがまま。

 いつもの日常。いつもの言葉。

「おやすみ犬。愛してるよ」



 死にたがりが部屋の電気を消した。

 今日も死にたがりは生きていた。

 明日も生きている。

 犬は死にたがりと一緒にいたい。

 明日も明後日も「おはよう」って言ってもらいたい。

 おやすみ死にたがり。また明日。

 犬は眠りについた。




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