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第7話

「多分もうちょっと進めば植物の洞窟のほうに出ると思うんだけど」


「そうだね。もう少し……前方から魔物一体」


 後もう少しというとこまで歩いた時、また新しく一体の魔物が現れた。


「あーユズ、見えないとは思うけど目つむってた方がいいよ一応」


「え? わかった」


 目の前から来たのは巨大な蜘蛛の魔物。『デススパイダー Lv.137』。


 ちょっと、控えめに言ってキモイでかい蜘蛛だ。ユズはあまりこういうの好きじゃなさそうだし、見ないようにしてよかったと思う。あまり長く暗いなか目を瞑らせるのもかわいそうだ。


 ここはちょっとMPがもったいないけど……戦闘判定に入る前にシステムを操作、装備を変更する。


「『ネクストブレイク』『テクニカルプラチナ』『星の形骸』『北極星の導き』そして、『超新星爆発(スーパーノヴァ)』!」


 俺は北極星の導きというスキルを発動、周りの時間を止める。北極星の導きは次の攻撃を命中させるまで周りの時間を停止させるスキルだ。時止めの持続時間は15秒と短いうえ攻撃が当たったらそく解除、しかもMP消費も激しいというなかなか扱いずらいスキルだが、必殺技をあてることだけには無類の強力さを誇る。必殺技が直接あたるまで相手は動けないわけだからな。


 そういうわけで一撃で蜘蛛を消し飛ばし、装備をもとに戻した。


「ユズ、もう大丈夫だぞ?」


「もういいの? わかった」


 ユズは目を開くと、周りをきょろきょろして俺をさがした。あ、ユズと目があった。そこそこ離れてるけど目が合うってことは……みえてるなぁ。


「ヴィンセント、結局何があったの?」


 ユズは目が合ってすぐに俺に質問してくる。


「敵がいたから倒しただけだよ」


「あ、そう? ヴィンセントが戦うとこ見たかったな~」


 一応見えない体なの忘れてそう。まぁもうどうでもいいか。俺たちは手をつないでさらに先へ進んだ。すると急に洞窟の先が明るくなっている場所を見つけた。


「お、ここだよここ!」


「おお、きれいだな」


 輝く果実などがなる植物によって洞窟中が埋め尽くされ、緑とピンクの花、輝く果実で満ちている。その果実の輝き方も幻想的でとてもきれいに見える。


「ここからもうちょっと進めば光輝茸が見つかるよ!」


「ほー。俺としては少し回りの光る実がきになるなぁ。あれ食べれんのかな?」


 おそらくはライトフルーツ。そのベリーのような見た目に反して桃のような味がすると聞き及んだことがあるが。


「一個食べてみる?」


「お、じゃあ食べるか」


「ちょっと待ってね。これを取って一口……うん、おいしい。これなら大丈夫だね。はい、あげる」


 ユズが一口食べたライトフルーツを渡してくる。え、食べかけ渡す意味ある? 周りにたくさんあるのに。いや、まぁ俺は嬉しいんだけどさ。


 受け取るのを躊躇していると、ユズが焦ったように言ってきた。


「あ、ごめん、かじっちゃった……。気にするね。ライトフルーツはたまに本当に渋いやつがいるから味見だけしようと思ってさ、その……ナイフとかで切ればよかったよね」


 すごい早口で言ってきたが……。なるほど、そういうあれで食べかけを渡してきたのか。まぁそれなら。


「いいよ、別に。これ、おいしいんでしょ?」


 俺はユズの手からライトフルーツを取って、一口食べてみる。これはなかなかうまいな。モモはあんま好きじゃないけどこんな感じならなかなか行けるぞ。触感が普通のとは違う感じだ。


 ユズの方を見ると顔を赤くしていた。自分から出しといてそっちが気にするんかい。まぁそういうところもかわいいと思うけどな。


「な、な……」


「落ち着きなって。先進んで光輝茸取りに行こう」


「う、うん」


 ユズ口をぱくぱくさせている。何を話したらいいかわからなさそうな感じだ。ユズは意識すると弱いタイプと見た。散々自分から手をつないでおいてこうなってないのは意識してないからか……。それはなんか少し、悲しいけど……。


「光輝茸ってどんな見た目なんだ?」


「光るシイタケみたいな感じだよ」


 しばらくして、採取ポイントに来たのでユズに聞いてみると、どうやら光輝茸は光るシイタケみたいらしい。なるほど……。目の前にあるこんな感じの奴か。


「これのことか?」


 俺は目の前の光を放つシイタケを指さしてユズに聞く。


「そうそれ! 採取はボクの機具で行うからまっててね」


 ユズはなにやらインベントリからいくつかの金属のようなものを取り出し、光輝茸を回収した。


「これで品質MAXの光輝茸ゲット! 後3つくらいほしいかなぁ……」


 なるほど、ユズが取り出し回収するときに使った機具はどうやら品質を損なわないためのものらしい。その辺は俺生産職じゃないからよくわからんなぁ。


「じゃあ後3つ、探そうか」


「うん! 頑張ろうね!」


 光輝茸はなんだかんだレアなものなのか、なかなか見つかることなく、3つすべて集め終わるのに30分もかかってしまった。


「随分とかかったね」


「まぁレア素材だしね~。よし、今日のボクの用事は終わり! 後は二人で観光でもしよう!」


「あれ、龍紋石は?」


 ユズは最初に龍紋石と光輝茸が足りないと言っていた気がするが。


「それはまた今度でいいよ。今日は頑張ったし、ヴィンセントと一緒に観光したいなって思ったから……だめかな?」


 上目遣いでこちらを見てくるユズを見て、俺の思考は吹き飛んだ。


「いや、ダメじゃない。一緒に行くか~」


「やったー! ねぇねぇ、今日はどこ見に行こうか!」


 テンション高くユズが俺に聞いてくる。そうだな、見に行くところといえば、秘境の街とか、森林都市とか、海底都市とかいろいろ候補があるな。


「そうだなぁ、森林都市ティタニウスとかどーだろう」


「いいね! ボクとしては海底都市リビタンを提案するよ。どっちがいい?」


 甲乙つけがたい選択肢だ。正直俺はどっちとも行きたい。いろいろとロマンチックなスポットとかあるわけで、そこにユズと行きたいわけだ。まぁ正直ユズといけるならどっちでもいいが……しいて言うならやはり俺が上げたティタニウスだな。


 いや、待てよ? 両方行けばいいんじゃないか?


「こういうのはどう? 今日はティタニウスにいって、明日まぁもしくまた次にリビタンに行くってのは」


「それいいね! でもヴィンセント、明日も空いてるの?」


「もちろん」


 別に空いてなくてもユズに誘われたら無理やり開けるけどな。


「じゃあ、明日海底都市に行こう! これから森林都市に転移だね。私に任せてよ」


「了解」


 二人で手をつなぎ、森林都市に転移する。時刻は午後8時半。まだ日付が変わるまでには時間があるし、どんなものが見て回れるのか、楽しみだな。

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