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第4話

 ユズさんと知り合い、ご飯にいった翌日の昼過ぎのこと。知り合いがこのゲームを始めるということで始まりの街、テウセルにいって友人と会った後、近くでたまたまレイドボスが出現していると耳にした。せっかくだし、ついでに倒していこうかと思う。


 俺は、全速力で走ってレイドボスが出現しているというムシューの湿原に向かった。ムシューの湿原につく頃には巨大なサンショウウオのような魔物が周囲の人たちに攻撃を加えているのが見えた。


 周囲の人たちを見たところ初心者でレベルは15もないかといったところだ。ふむ、それでも相手できるタイプのレイドボスか。ここは初心者の成長のため、彼らだけの火力で倒してもらおう。


 しかし、それはそれとしてHP状況が危ういかもな。すこしだけ手を貸してあげようか。


 サンショウウオのレイドボスが息を大きく吸いこみ攻撃を行おうとしている。あれは……炎のブレスだな。あれが当たったらあの人たちは間違いなくゲームオーバーだな。


 俺は剣をもってサンショウウオと初心者たちの間に割り込み、スキルを発動した。


 俺の剣が炎を切り裂き炎は初心者たちからそれていった。


「さぁ、後は君たちがやるんだ」


「あ、ありがとうございます! 行くぞお前ら!」


「「「おう!!!」」」


 どうやらあの初心者4人はパーティーらしい。


 斧、大盾、杖、杖かいいパーティー構成をしてるな。杖が二人いるがおそらく片方は回復役だろうな。


 斧の子が攻撃をしかけ、サンショウウオに209のダメージが入る。一撃もらったサンショウウオは反撃として前足で攻撃を仕掛けるが、それは大盾に防がれる。やるじゃないか。彼ら。


 追撃として炎の魔法が飛んでいく。その炎の魔法はサンショウウオに480ダメージを与えた。うん、いい火力だね。


 その後も彼らは堅実に削っていき、残り1割までHP削りきった。あのサンショウウオの体力は確か10000ないくらいだしな。


「よし、お前ら、攻撃やめろ!」


 しかし残り一割で唐突に彼らが攻撃をやめてしまった。どうしたんだ? するとリーダーらしき青年がこちらにきて俺に話かけてきた。


「お間違いでなければヴィンセントさんですよね? 俺たちファンさせてもらってます! もしよろしければアイツにとどめを刺してくれませんか? あの火力を生で見たいので!」


「お、おう。わかった」


 どうやら俺にファンがいたらしい。なんだか気恥ずかしいな。火力を見たいということらしいので俺の最高火力をたたきだして見せることにした。


「ありがとうございます! お前ら! よく見とけよ!」


「「「当然!!!」」」


 なんかすごい、軍みたいなパーティーだな。俺は普段使いの剣である『星銀の光剣+50』を取り出して自身にバフを重ねていく。バフがかかるにつれて俺の剣は輝きを増していく。


「『ネクストブレイク』『テクニカルプラチナ』『星の形骸』……行くぞ! 『超新星爆発(スーパーノヴァ)』!」


 その輝きを一点に収束し、そしてその剣をもってサンショウウオに切りかかる。そしれサンショウウオに剣が触れた瞬間星が揺れるような衝撃とともに『1139880』というダメージが表示された。


「「「「うおおおおおおおおおお!!!!」」」」


 そのダメージを見た初心者の子たちは大興奮である。俺はMPポーションを飲みながら彼らのもとに向かった。一撃でMP全部もってかれるからなぁ今の技……。しかもこれだけやって最大火力は3位だし、1位の3021200というダメージには到底かないそうもないし。コスパ最悪だよ。そういえば1位の火力の人<機神>ユズっていうんだけどまさかユズさんだったり……。


「マジですごかったっす! ヴィンセントさんありがとうございました!」


「「「ありがとうございました!!!」」」


「いや、いいよいいよ。これからも頑張ってね。じゃまた!」


 俺は期待の子たちに別れを告げて街に戻る途中で考える。普通レイドボスは2桁単位の人数で相手をするものだが、なんで4人しかいなかったのか、と。その考えの結論はすぐにでた。目の前に出てきた魔物がカエルの魔物と蚊の魔物だったからだ。しかもでかい。


「なるほど、これは気持ち悪いしあまり来たくはないよな」


 とりあえず一撃で二体を討伐し、街へと戻る。別にテレポートでもいいんだけど、今日は少し歩く気分だった。魔物を適当に殺しながら歩いているとフレンドチャットに着信があった。


 ユズさんからだ。インヘムの街の中央通りで会えないかとのことだった。


 そういうことなら。俺はシステムを操作してインヘムの街の中央にあるワープポイントに移動した。


 相変わらず王都の隣にあるだけあってプレイヤーの多い街だな。そこから少し南に下り中央通りに出る。この辺で待っていればユズさんを見つけることができるだろうか。


 すこしあたりを見回していると、後ろから服のそでを引かれる。振り返るとそこにはユズさんがいた。


「おはよ、ヴィンセント。昨日ぶりだね!」


「おはようユズさん。相変わらず元気だね。今日は何を?」


 要件を聞いた後、ユズさんは何やらシステムを操作する。なにかを確認してるのかな。


「もしよければなんだけど、これから一緒に素材取りに行かない? ちょっと素材足りないのがあるんだよね。あ、あとボクのことは呼び捨てでいいからね? さん付けされると少し気になっちゃうよ」


「了解。ユズ、これでいいかな?」


「うん、いい感じ!」


 呼び捨ての件はいいとして、素材だな。


「足りない素材は何?」


「光輝茸と、龍紋石かな」


 どちらの素材もともに推奨レベル130を超えるダンジョンでしか手に入らない貴重な素材だ。今の最高レベルは171。ちなみに俺はレベル154だ。この二つの素材に関しては前線の人じゃないと知らない可能性が高い素材でもある。まさか本当にユズが<機神>……?


「ボク一人だとちょっとしんどいからさ~。ちょっと手伝ってくれない?」


 いや……違うか。さすがに火力1位が130程度のダンジョンでしんどいとは言わないはず。たまたま名前が一緒なだけだろう。


 にしたってしんどいとは言え130くらいはレベルがあるってことなんだよな? そこそこ強い部類に入るぞ。微妙なラインだ。


 まぁ素材集めを手伝うことに関してまったく問題ないので別に構わない。


「了解。一応龍紋石なら俺ももってる分があるけどいる?」


 別に使うこともあまりないしなぁ。


「んーや、大丈夫だよ? せっかくだし一緒に取りに行こうよ」


「そうだな。せっかくだし」


 正直ユズと話しているのは楽しいし、普通に一人で狩りに行くより断然いいだろう。


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