1話 一歩
ここからが本編です!
「ゔぅーーーーーん」
日の落ちた部屋でとても華の女子高校生から発せられるとは思えない呻き声を漏らしている高野 芽衣は今、とあるゲームのパッケージ━━━━今や全世界で遊ばれている世界的人気ゲーム《Uniqe Gun Online》通称ユニガンのパッケージと対峙し迷っていた。
━━時は朝まで遡る
「え…!?ガンマスが…サービス終了!?」
ゲーム速報ニュースを見た芽衣は愕然としていた。それもそのはず、芽衣はこの《Gun Master》(通称ガンマス)の古参プレイヤーにして廃人であり、リリースされてから5年間ずっとプレイしていた自分の魂とも言えるゲームであったのだ。
そんな重い気持ちのまま放心状態で家を出て登校していると、幼馴染である相坂 恵が話しかけてきた。
「おはよう〜っと ん?なんか魂抜けてる?おーーい!」
「……………………………」
「だぁいじょうぶかぁ!?」
「はっっ…あ、お、おはよう恵…」
「そんな状態になるなんて何かあった?」
「えっと…ガンマスが…サ終するみたいで…」
「あー芽衣がやり込んでた例のゲームか」
「もうだめだ私の生きがいは消えた…神は死んだー。」
「早まらないで!?!?ほら何か他のゲームとかこの機に始めてみるとかは?例えばユニガンとか!!」
「ユニ…ガン…?」
「Uniqe Gun Onlineだよ!ほら今話題のフルダイブFPSゲームの!ガンマスもFPS?だったんでしょ?ならFPSの傷はFPSでしか癒せない!そうでしょ?そしてユニガンには芽衣の大好きなかっこいいスナイパーライフルもあるよー?」
「!?かっこいいスナイパーライフルあるの!?」
「あるとも!しかもユニガンは武器を自分だけの唯一無二の武器にカスタマイズできるの!だから芽衣が好きなスナイパーライフルも自分の好きなようにカスタマイズできるよ?」
「ゴクリ…」
「ってことで善は急げ!私はダウンロード版買ってて、家に余ってるパッケージ版があるから放課後渡しに行くね!!!!」
━━━そして現在
「これがユニガン…ごめんよガンマス!別にこれは浮気じゃないんだ…仕方ないことだから…少しだけ…」
芽衣は一通りガンマスへ懺悔を捧げ、フルダイブ端末を頭に付けてベットに横たわった。《フルダイブ・スタート》と起動ワードで端末を起動し、少女は薄れる意識の中で親指を立てニッコリと笑うガンマスの亡霊の姿を見た(幻覚)。
夢から醒めるような感覚と共に目を覚ますと、そこは武装した様々なプレイヤーや生産職のNPCで賑わう街がそこにはあった。
このゲームの簡単な説明は恵から聞いており、ここがユニガンというゲームの最大の特徴であるオープンワールド《ユニークワールド》であることは理解していた。
「よし!ここから私はこの世界でスナイパーライフルを愛情込めて育て育て、スナイパーライフルが最強なのだと世に知らしめてやるーーっっ!!」
硬い信念とガンマスの怨霊(守護霊?)を背負った少女はそうして硝煙の薫る世界に一歩、踏み出したのであった。
━━━━このゲームにおいてスナイパーライフルは最弱武器としてあまり使用されていないという事実を知らないままに。
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