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技術-2

正直なところ俺は佐山さんのように、1本狙いに自信はない。だが15点も差があるから少しでも縮めたい。大差で負けるより、無理かもしれないけど僅差で負けたいのだ。

 今のスキットルの位置は佐山さんが12を当てたことで、12が一番奥に飛び出している状態だ。このまま放置すれば、きっと佐山さんは1本狙いをまたすることだろう。


「じゃあ、投げます」

「おう!がんばれ田中!」


 俺はある場所に狙いを定めモルックを投げた。俺の手から離れたモルックを狙い通り飛んでいきカン!と高い音を響かせた。

 狙ったのは11のスキットルだが、一緒に9と10のスキットルも倒れ転がりいい具合に12のスキットルの周りで動きを止めた。


「おぉ~~!田中、これは狙ってやったのか?」

「うん、できたならいいな~とは思ったけど……成功してよかったよ」

「田中は実は策士だな!」


 興奮を隠すことなくバシバシと俺の背中を叩く佐山さんは「面白くなってきたな!」と、独り言のように、こちらに尋ねるように言葉を吐いた。

 倒れたスキットルを確認すれば、ちゃんと3本とも倒れていたので3点得点できた事実に安堵の息が口から漏れ出た。


 ——それでも、12点差か……


 倒れたスキットル立たせ、モルックを片手に持った佐山さんはモルッカーリから次に倒すべくスキットルを吟味していた。


「実は策士な田中のおかげで、12が1本狙いできなくなったからな~」

「大量得点は阻止したいからね」

「生意気だぞ~~田中ァ~~~」


 モルックで脇腹を突いてくる佐山さんは、恨めしそうな声とは反対に楽しそうに笑っている。佐山さんの笑顔は、こちらまで笑顔になるような、楽しくなる笑顔だ。


 ——こんなに表情筋が動いたのはいつぶりだっけな?


 思考を少し飛ばしていれば狙うモルックが決まったのか「よし!投げるぞ!」と宣言をした佐山さんは、間を置かずに「ソォイ!」という掛け声とともにモルックを投げた。


 ——あの掛け声にも慣れてきたな。


 俺の思いと交差するように、モルックとスキットルがぶつかり耳心地のいい音を奏でるのであった。




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