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初投球

 モルックとは、フィンランドの伝統的なゲームを元に考えられたスポーツである。ルールがすごくシンプルであるため、どの世代でも楽しめるのが特徴だ。

 モルックと呼ばれる木の棒を投げて、スキットルと呼ばれる木の棒を倒す。スキットルは12本あり、1~12の数字が刻まれている。倒した本数もしくは、倒したスキットルに表示されている数字を足していく。50点ピッタリになるまで続き、先に50点を得点した方が勝ちになる。



「おおまかなルールは、こんな感じだ。質問とかあるか?」

「いや、質問はないよ。とてもわかりやすかったです」

「ならいい」



 彼女はくるりと後ろを向き、散らばっていたスキットルを集め始めた。俺は少し気まずく感じながらも、遠くに転がっているスキットルを取りに行った。



「お前も覚えておけ。スキットルはこうやって並べて、立てていくんだぞ」



 迷いのない手つきでスキットルを並べていく。

 手前から一列目が1と書かれたスキットル、2と書かれたスキットル。

 二列目が3と書かれたスキットル、10と書かれたスキットル、4と書かれたスキットル。

 三列目が5と書かれたスキットル、11と書かれたスキットル、12と書かれたスキットル、6と書かれたスキットル。

 四列目が7と書かれたスキットル、9と書かれたスキットル、8と書かれたスキットル。

 ボーリングのピンは三角形に並べるが、モルックとはどちらかといえば円形に並べるようだ。だけどボーリングのピンと違い、数字によって置く場所が違うため正直覚えられる気がしない……



「最初は覚えられないかもしれないが、やっていけば自然と覚えられるから安心しろ」



 俺の不安を察したのか、すぐに声をかけてくれた彼女がイケメンすぎて首を上下に動かすことしかできなかった自分が情けない。どうやって育ったらこんなイケメンに育つんだ……?



「じゃあ、さっそく投げてみろ」

「ぅえ、わかった」



 立てたスキットルからだいたい3mと少し離れたところまで連れていかれ、さぁ投げろと催促をしてくる彼女を横目に、どれだけの力加減で投げたらいいのかわからない。正直モルックとスキットルがぶつかったときに割れたりしたらと思うと投げたくないのが本音だ。



「持ち方に指定はないが、アンダーで投げるんだ」



「思い切り投げるんだぞ!」と楽しそうに笑っている彼女が視界に入ってしまい、投げたくないとは言えなくなってしまった。



 ——もう!なるようになれ!!!



 俺は思い切りモルックをスキットルに向かって投げつけた。

 俺の手から離れていくモルックは、まっすぐスキットルに向かって飛んでいった。そしてカンッ!カカッ!カンッ!と木の棒と木の棒がぶつかり、耳障りの良い高い音が公園に響いた。


 なんとも言えない高揚感、そして爽快感を感じた。



「それで、投げたみた感想はどうだ?」



 彼女は、まるで俺の答えがわかっているのかニヤリと笑っている。



「これは……とてもおもしろいね」



 彼女は俺の答えに笑みを深くした。





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