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小田からの贈り物

僕だけの宝物

作者: 小田虹里
掲載日:2021/04/28

 今、この瞬間。

 この時代に、この世界。

 『僕』という身体をもって、陽を浴びているのは奇跡の賜物だ。


 地に足を置き、重力の力を借りまっすぐに。

 地面と垂直になるよう、僕は立つ。

 意識せずとも、僕はこの地上にしっかりと根を張り巡らせるように。

 長く長い時を生きる木々と同じように、接地面少なくとも立つことが出来る。

 寿命の差など、この世界で生きることの言い訳にはならないのだ。

 そんなちっぽけな違いは、誤差でしかない。


 ふぅ……と、息を吐く。

 今度は、空を見てみよう。


 首を上げ、地面に向けていた視線を天界へと移す。

 さすれば自ずと見えて来るだろう。

 尊く、大地とは異なる世界がそこにはある。


 あぁ、なんて広いのだろう。

 僕が根を生やす大地よりも、限りなく続く空は計り知れない。

 大いなるこの空は、誰からの干渉も得ない。

 この空がどこまでも澄み、どこまでも遠く、手に届かないのは幸いだ。

 ほんの小さな生命体に過ぎない僕たちが、安易に手を伸ばせる領域ではない。


 だからこそ、僕たちはこの空に想いを馳せる。

 遠い未来へ、期待する。


 澄み渡る青い空。

 雲が順々に伸びると、煌々と照る陽は隠され、世界は薄暗くなる。

 やがては雲が山にぶつかれば、大地に『雫』をもたらす。

 それもまた、自然界からの贈り物。


 大地が潤い、生きるには湿った土も必要だ。

 広大な大地に及ぶ枯れ、ひび割れを起こす地面を潤す。

 それには、人間の手に握られた如雨露からの水だけでは、全くもって事足りない。

 世界をすっぽりと包む『雨』を、命は乞う。


 目に染みるほどの光。

 曇った空ですら、直接視界に入れると目の奥が刺激される。

 それは、痛みとはまた異なる。

 次第に濃度の深い灰色の世界が落ち着けば、曇っていた視界も晴れる。

 眩い光を取り込めば、頭の中は清々しく晴れやかだ。

 感覚もしっかり、研ぎ澄まされていく。


 空はなんて、眩しいのだろう。

 空はなんて、温かいのだろう。


 僕は、拳を握った。

 掴んだものを、目では捉えない。

 『希望』という名の、温かい塊。

 手が汗ばんで、じんわりとした感覚が得られるほど、それは熱を帯びている。

 人間も、空や大地と同じように『熱』を生むことが出来るのだ。


 生きている。

 この身体も、この心も、確かに生きている。

 その証拠が、内から芽生え生じる『熱』だ。


 何処にベクトルを向けてもいい。

 『熱』がある限り、僕たちは前を向ける。

 後ろを振り返りながらも、道を模索出来るのだ。


 僕は一歩、足を踏み出す。

 今までに、足跡を付けたことのない道へ。

 一歩、また一歩と足跡をつけ残す。

 全く同じ道を歩いているように見え、実際の所はそのはずがない。

 いつだって新鮮で、いつだって初対面。


 だからこそ、人生とは何が起きるのかを予測することが出来ない。

 だからこそ、僕はこれを『面白い』と認識する。


 視線を空から大地へと戻す。

 続く世界は、僕だけの特別な宝物。


 さぁ、此処からだ。


 僕は息を吸いこんだ。

 湿った空気は喉に優しく、濡れた土の匂いは甘く鼻に残る。

 口角を上げ、目を細めると世界は変わる。

 視力が落ちた目にも、留まるものは多々あるものだ。


 さぁ、行こう。


 この瞬間を、誰に譲ることもしない。

 この瞬間は、僕だけのものだ。


 さぁ、見てごらん。


 世界は僕を、待っている。

 世界と僕は、無限の可能性と希望に満ちているのだ。


 はじめまして。

 または、お久しぶりです。


 小田虹里です。


 この『なろう』に登録してからしばらくの間は、僕は恥ずかしながらニートでした。心を病んでおり、それの療養。また、母が癌ということが分かり、仕事を辞め無職になったという理由もあります。ただ、母は助からずに他界。その悲しみを引きずって、ずるずるとしておりました。

 でも、三年前から以前勤めていた場所へ復職。今、四年目となりました。働くことは、いいことですね。生きる上で、お金が必要だということを、すごく感じております。今は、実家を出て大切な人と生きています。そのため、よりお金が必要だと認識し、なんとか仕事を続けています。

 ただ、その職場でパワハラにあったり、イジメにあったり。イジメとまでいかなくとも、嫌がらせを受けたりなどを近年多々あり。精神的に、今とても厳しい状況に置かれています。そして、働くようになった為、執筆活動に時間を割けなくなってしまいました。休みの日は、結構あるにはあるのですが、心身が疲弊してしまっており、パソコンを開くに至らないのです。


 このままでは、まずいな。


 さすがに、そう感じるようになっていました。

 そんなところで、今は『コロナ』まで流行。何やら、本当に不穏な日々ですよね。僕の住んでいる地域は田舎なので、そこまで緊迫はしていないのですが、職場が子どもたちや他県からのお客さんが来る場所なので、心配でないと言ったら嘘になります。去年の今頃は、休館中でした。

 いつまた、コロナで休館になるかもわからない……という訳で、もっと積極的に、活発的に小説を書いていこうと思いました。今の仕事を辞めるつもりは無いけれども、いつまでも僕の夢は『小説家』です。それを叶える為には、もっと努力しないと! と、思いました。


 つい先日。

 久しぶりに、ファンタジー小説を買って読みました。


 ハイファンタジーの作家になりたい。ずっと、そう思っていました。

 だけど、実際に書籍化されている本を改めて読んでみて、自分には難しいかもしれないと、思ってしまいました。ただ、それは悲運なことではなくて。むしろ、人生の分岐点が見えたのかもしれないと、前向きにとらえることが出来ました。

 今の僕には、どのジャンルを見ても力不足かもしれない。だけど、今回のような詩とか、現実的な物語を紡ぐ作家を目指してみるのも、アリなのではないかな……と。視野が広がった様に思えます。

 なろうでの更新も、以前はファンタジーからSF。現代的なものから時代劇的なものまで、様々なジャンルへ手を出していました。しかし、今はCOMRADEシリーズ……それも、『憂鬱』編しか更新出来ていなくて。もっと、別の作品やジャンルにも、もう一度挑戦したいし、しなければいけないのではないかな、と。そこで、今回。休日にこの作品を書いてみました。


 鬱を患っている僕が、前向きになろうとしている……そんな中で生まれた作品です。


 コロナ禍でも、希望を忘れたくない。

 夢を叶える為の、踏み台にしてやる。


 それくらいの意思を持って、打ち込みました。

 ここまで読んでいただけたことを、嬉しく思います。

 本当に、ありがとうございました。


 どうか、世界が平癒されますように。

 これ以上の苦しみが、課せられませんように……。




 また、別の作品でもお会いできますように。

 その際は、よろしくお願いいたします。





 2021.4.28


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「心」というものがダイレクトに伝わってきました。 辛い中にどちらを向けば良いのか、考えさせてくれました。 答えは自分の中にあるのですね。 >この瞬間を、誰に譲ることもしない。 >この瞬間…
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