小説用バナーを作らせて頂きました
黒鯛の刺身♪さん作
『異世界傭兵物語 ――サイクロプスと魔法使い奴隷少女の旅――』の小説用バナーを作らせて頂きました。その作成過程をまとめたエッセイです。
……《 目次 》……
★バナーとは
★ついでにリンクタグの説明
★バナーづくり
★作者さんからのお返事
★小説タイトルのイメージを固めに右往左往する
★ヒロインのイメージが変化した瞬間
★そしてバナー完成へ
☆おまけ
【バナーとは】
バナーは、直訳すると「旗」とか「のぼり」の意味です。
伝えたいイメージを、文字・色・図形・絵・写真などでわかりやすく纏めることで、見た人の興味を引くもの。
そしてクリックを誘う訳ですから、ミニサイズの「広告」と言えます。
かつてはホームページの「200×40ピクセルのバナー」が定番でしたが、今の時代だとスマホユーザー向けに、可読できるサイズで作るのが理想でしょう。
(スマホを持ってないので、このへん分からないんですけどね~)
サイズに関して、私はこの2点を心がけてます。
①軽くする。できれば500KB以下。
②みてみん(小説家になろうのグループサイト)で縮小されないサイズに収める。主に500×500ピクセル内で作ってます。
※なろう内では、リンクタグが使える場所が限られています。
バナーの使いどころは【活動報告】か、
小説下部の【ランキングタグ欄】がベストです。
マイページのリンク画像にもつかえますが、あそこは画像URLの入れ方が少し特殊です。
https://★★.mitemin.net/userpageimage/viewimage/icode/▲▲/
(★★に みてみんユーザーID、▲▲に iコードを入れるのです)
ちょっと分かりづらいですよね。
【ついでにリンクタグの説明】
↓これをベースに、小説URL・画像URLを入れればリンクが完成します。
<a href="●●"><img src="◆◆"></a>
--- --- --- ---
①●●の部分に、読んで欲しい小説のURLを入れます
②◆◆の部分に、みてみんURL(※最大化した画像のURL)を入れると、リンクつきバナーになります。
※画像URLを、iコードとユーザーIDで入れるとタグが弾かれますのでご注意下さい。
バナーを作らせて頂いた『異世界傭兵物語』は、こんなタグになります。
<a href="https://ncode.syosetu.com/n0280gu/"><img src="https://img1.mitemin.net/d4/ar/4m995efhcisxf3n45atdjngefp6w_1b6w_b4_b4_6frc.png"></a>
☆★☆★☆
ようやく本題です。
【バナーづくり】
作らせて下さい! と私からお願いしてはじまったバナー作り。
まずは叩き台としてキャラ絵など、画像を3枚送りました。
叩き台とは原案のことです。
広告を作るにあたり、普通は、先方に
「どんなデザインがいいですか? 色は? イメージは? いいと思うバナーがあれば教えて頂けませんか?」と尋ねます。
ですが作者さんの側で、イメージが固まっていない場合もあります。
形ができて、それを見てはじめて
「この書体を変えて」「もっと柔らかく」など、意見が出ることもあるのです。
その言葉を最初から貰うため、全ボツになる覚悟で提出するものが、叩き台。
※これは新しく作らなくてもいいのです。過去に作ったバナーがあれば、それを見せて「これは別で作ったものですけど、こんな感じですか?」とヒアリングしてもいいのです。
バナーのもととなる小説『異世界傭兵物語』のあらすじを纏めると
①サラリーマンが不良に絡まれて異世界転生する
②主人公は単眼の巨人・サイクロプス(魔法で少年の姿を得る)
③ハーフエルフの奴隷少女マリーと出会って、旅をする(傭兵になる)
です。
私が叩き台で確かめたかったことは
★どんな絵のタッチを望んでいるのか。
★主人公をサイクロプスで入れるのか、少年で入れるのか。ガウはどんな外見なのか。
★マリーの顔、髪型、服、体に対する作者さんのイメージを知りたい(※ヒロインの外見は超重要なのです)
3mの巨人とヒロインの体格差が分かる「サイクロプス身長差図」です。
ガウは相当筋肉がありそうなので、マリーのウエストより腕が太いんだろうな……とイメージしやすくなります。
※後ろのピンクは小説内に登場する体長8mのグリフォンのシルエットです。(横に長いので切れてます)
※コピペしたため画像内の字が間違ってます!
サイクロプスは「丸いひとつ目の巨人」だけど、異世界傭兵物語でも同じ解釈でいいのかどうか。
鼻梁をアリにするのか・ナシにするのか(頭蓋骨の形はどうなるのか、個人的に気になります)髪や角はあるのか、ないのか。
そのあたりを確認するための画像です。
ガウとマリーとポココのイメージ絵です。(第8話時点)
バナーを作らせて下さい! と言ったもののマリーのイメージがわかなかったので……グーグルで画像検索して「ありがちな魔術師系ハーフエルフ」で作ってみました。
(作者さん自身が昔描いた絵の特徴から、手指は華奢に、足はメリハリをなくして太めにしています)
《小説本文から読み取れる二人のイメージ》
ガウ:少年 → 若造と外見の表現が変わる。
味方に「小僧」と呼ばれ、ゴロツキには「このガキ」「クソガキ」と言われる。
弓が得意だが、武器はなんでも使えそう。中身はオッサンで一人称は「私」。
マリー:ハーフエルフの少女で魔法が使える。元奴隷。耳は隠している。
金髪(長さ不明)で、胸は「豊かに張り出して」いて、お尻は「すべてを包み込めるようで魅力的」である。
左足にある「青銅の足環の痛々しい痕」が見える衣装・靴である。
お金が好きで、タヌキが眷属である。
言葉遣いは(序盤は)柔らかく丁寧で品がいい。……なので、おっとり系ドジっ娘かなあと思ってました。
左は、第2話「奴隷の少女、そして村へと」のワンシーンです。
※叩き台とあわせて送ったメッセージには
「バナーに入れる絵は、デフォルメ(ちびキャラっぽい感じ)にしたいです」と書きました。
(ふつうの頭身のシリアスな絵より、イメージ違いで読者が離れにくいのでは? という考えからです)
☆★☆★☆
お返事がくるまでの間は、タイトル文字をざっくり組んで、バナーのイメージを考えていました。
アドビのIllustratorとほぼ同じ機能をもつ、無料ソフトInkscape。
これで文字を組むメリットは、輪郭線をいじりやすいので書体の改造がしやすいこと。
そして図形の整列(縦・横・中央合わせ・等間隔などに図形を揃える)ができることでしょうか。
※私はお絵かきソフト CLIP STUDIO PAINT(通称クリスタ)に習熟していないため、図形の整列があるのか無いのかすら、まだ知らないのです。
(階層主体のシステムだから、おそらく無いでしょう)
もう一つ言うと、クリスタは文字データを扱ってると重くなるので、文字組みではあまり使いたくないのです。
……とか言って、最終的にはクリスタで全部作ったのですが。てへ☆
バナーは長方形が多いのですが、私は円形が好きです。
(画像はPNG形式ですので、画像の四隅、円の外は透過します)
主人公の真の姿をシルエットで入れたい。
ヒロインはライトノベルの華なので一番大きくして、主人公は全身を入れてカッコよくしたい(個人的に弓キャラが好きです!)そしてポココは楽しそうに。
などなど、一杯やりつつ考えます。
そうこうしているうちに、超早やで作者さんからメッセージが来ました。
【作者さんからのお返事】※バナーに関するところのみ抜粋
「主人公がいないほうが楽しそう」
「主人公いらないと思うけど、必要かな?(ちょっと不安」
「どこへ画風を寄せて欲しいとかはナイよ」
「マリーもそんな感じで、画風と雰囲気そのままで、マリーとポココで!」
「細かいところは委細はお任せ」
「ちびきゃら了解」
「タイトル文字は長いから【異世界傭兵物語】で」
わかりやすく端折りましたが、実物はとても丁寧な言葉で書かれています。
叩き台が全くたたかれていない……!
ブヒィ! 本当にこのマリーとポココでいいんすか!? 作者さんがOKならそれがベストですけど……!
ここで気になったのは「主人公がいないほうが楽しそう」でした。
タイトルを『異世界傭兵物語』にすることで字面は硬くなるけれど、作者さんはバナーに楽しさを求めている。
楽しい作品だと思わせたい、ということなのでしょう。
異世界傭兵物語は、テンポがよくてサクサク読めるお話です。
転生前は理不尽な暴力をうけるけど、転生後は、主に物理で圧勝していて楽しげです。
でも、楽しいだけでもない気がする。
それが何かは言葉にできないけど、どうして私はそう感じるのか。
オリジナル戦記で傭兵モノだから?
単に自分がそう思いたいだけ?(←読み専としてはシリアスが好き)
作者さんはこの小説で、何を伝えたいのだろう。
うーんうーんと悩みつつ
「主人公が入ったものと、入らないもの両方作りますからお時間下さい!」とメッセージを返信して、イメージを固めることに専念しました。
【小説タイトルのイメージを固めに右往左往する】
タイトルは『異世界傭兵物語』で心機一転。
文字組みを考え直します。
若い頃は、良くも悪くもぽんぽんアイディアが出たのですが、もうスッカリ枯れている中年ですので、キラリと光るものは出てきません。
ブヒィ!(ブタのため息)
仕事の合間に、チラシの裏で何パターンか書いてみました。
そのなかで幾つかInkscapeで組みます。
※クリスタはEPSもPDFも読みこめないので、PNG形式で保存します。
センスのなさを噛み締めつつ(ブヒィ!)
クリスタで再度バランスを整えつつ、色付け。
バナーの出来上がりがイメージできるかどうか、考えます。
ポップな感じにするのは難しくないのです。私の性格的に。
でも、サイクロプスの要素がどこにも入ってません。
他の小説との差別化ポイントでもあるし、大切なのでは? ……とグダグダしつつ、クリスタで書き書き。
なんだか鳥山明みたいになりましたが、ひとまず清書して色付けしてみます。
左上は封神演義っぽい(なぜかそう感じる)
右下はドラクエみたいになりました(むしろ寄せました)
うーん。
魔物といえど、武器構えてビシッとキメポーズになれば、カッコいいんですよね。
TRPGで使う金属フィギュアでも、やたら造形の良い敵モンスターは「これ絶対強いよな! ボスにしようぜ!」と人気が出ます。
カッコ良さに種族は関係ないのです。
そういう感動が欲しい。
そのための画力が欲しい。ブヒィ!
何度も小説を読みながら、タイトルをアレンジします。
あらすじの文字を抜き出して並べ、キャラクターの置かれた状況や世界観を「こうだろうか?」と検討します。
絵はギャグですが、描いてる本人は真剣に考えてるのですよ。
それはもう、ハゲそうなほどに。
その間もどんどんとお話は更新されていきます。
最新部分も含めて読み、もう一度頭から読み直し。
イメージを、ヒントをつかみたくて感想欄に意見をぶつける。
周りの方には「なんだコイツやべぇ、粘着か!」と思われたかもしれません。
すみません><
絵描きってそういうものなのです><
(言い訳)
ですがやりとりの中で、ヒントを得ました。
【ヒロインのイメージが変化した瞬間】
こたかソ:
「マリーは奴隷だから色々されちゃってますよね? でもそれにメゲない精神的に強い娘ですね? 女の子だけど、奴隷だった“足の痕”も隠さないし」
作者さん:
「いや、ゴブリンに捕まってたので、そんなに色々されてないですよ! 足の痕を隠さないのはハーフエルフなので人間の感覚と違うのかも。元気な女性が描きたいのかな(意訳)」
なん……ですと……!
マリーは……元気な女性……かもしれない!?
おっとり系ドジっ娘から、ぐるりと彼女のイメージが変わりました。
元気で、タヌキの眷属で、魔女っ娘で、守銭奴。
とすると
へそ出し・足出し・髪の毛がくるっとカールしたキャラなのでは!?
オレンジなどの暖色系で纏めようと考えていた衣装は「緑のたぬき」ということで、緑系に。
「マリーもそんな感じで、画風と雰囲気そのままで、マリーとポココで!」――――とお返事頂いたことは、スポポーンと気持ちよく抜けていきました。
新しいマリーが産声を上げてしまった瞬間でした。
マリーのデザインを変えるとして……デフォルメキャラにする訳ですが、まずは普通の頭身でラクガキして、手になじませます。
繰り返し描くことで絵が変わってきます。
意識しなくても、ごく自然に。
描きづらい線が「描きやすい線」へと変わるのです。
髪の毛はサイドでくるっとさせたらどうかな。
電影少女の「天野あい」みたいに。(なろう的には、魔術師オーフェンのクリーオウのほうが通じやすいですかね?)
杖は持つのかな? 魔術書は? ポシェットは?
あれこれとイメージが膨らんできます。
ひとつがハマって動き出すと、(それでイメージが合うかどうかは別として)他の部分もどんどんハマり出します。
妄想が爆走している状態です。
タイトルの文字組みにも、やっぱりサイクロプスを入れてみよう。
だって主人公はガウだから。
これはガウとマリーの物語だから。
前世で理不尽な死に方をしたならば、今生では彼のいのちが輝く筈。
いや、輝かせて欲しい。
そう願いつつ作ったタイトルは、戦士姿のガウがメインです。
「異世界」の文字の収まりが悪くて、なんども調整したけど上手くいかず、今でも悪いですが。
転生前の回想シーン、彼の心は学生時代に飛ぶ。
右手には長剣、左手には大きな盾をもったフィギュアを見て
「こんな戦士になりたかったなぁ……」と。
人生の終わり。死に際。
そこに持ってくる言葉は意味があるべきだし、たとえ作者さんが「無意識にそうしてみた」ものだとしても、無意味ではないと思う。
だったら彼には、曲刀でなく直刀の『長剣』と、騎士ほどまではいかない程度の『大きな盾』が無くては。
戦うべき時に、逃げたら戦士じゃない。
正面を向かせよう。
タイトルの書体もゴシックではなく、しなやかさと妖しさのある隷書体に変えました。
【そしてバナー完成へ】
タイトル文字部分はシリアスなガウがメインですが、イラスト部分は楽しげでマリーがメインです。
形にはなったものの、勢いで作った。作ってしまいました。
はたして作者さんのイメージと合うかどうか。
特に気になるのは、叩き台の時点で
「マリーもそんな感じで、画風と雰囲気そのままで、マリーとポココで!」とお返事頂いたのに、だいぶ変えてしまったこと。
全直しが入ってもバッチコイだぜ! と思いつつ
「試作バナーなんですけど、イメージが合わない気がして、どうでしょうか……?(ドキドキ)」とメッセージしてみたところ
「このままでもいいと思うよ? 気に入ってるよ?」とのお返事が。
えっ、あなたは神ですか!!!
しかし作者さんの気遣いをビシバシ感じます。
妥協して頂いている可能性や、面倒だから終わらせたいという可能性もあるかもしれない……けれど勘ぐりすぎて独り相撲するのはもっとマズイのです。
作者さんの手間・負担にならないよう完成させる。
そして直しの指示があれば修正する。そういう方向で動きます。
まずはタイトルを見直します。
作者さんの名前を少し大きくして、ハッキリ見えるように名前の下に影を入れます。
マリーたちのシルエットを若干小さくして、杖を信楽焼のタヌキの杖に変更し、フチが自然に馴染むようガウスぼかしします。
次はマリーです。
フライパンが大きすぎたので縮めて、少しでも胸が出るようにします。
ボディ部分は一枚のレイヤーに合算していたので、なげなわツールで切り取る → 縮小という原始的なやり方です。
少女革命ウテナのさいとうちほ曰く「胸は大事」だそうで。
学ランのボタンの位置は(乳首を連想させるように)考えていると、どっかの雑誌の対談にありました。
メイン層の読者(男性)も見る部分でしょうし、私も胸の形がキレイかどうかは重視してます。
やわらかい浪漫が詰まってますからね。
ほかのパーツはちゃんと線画を分けてあります。
(修正対応しやすいからです)
ぼうしが「タヌキの耳やヒゲにみえる」ように手を加え、大きさを調整しました。
くるんとした逆毛(アホ毛?)が4本あったのを、1本に減らしました。
下半身も少し描き加えました。耳は隠しました。
色部分では、髪の毛のハイライトを足したり、影をくっきりさせたり。
フライパンとぼうしが小さくなった分、マリーが肉肉しい感じになりましたが(汗)……主人公いないverはこれで完成です。
(上に入ってる英字は「この絵はこたかソの妄想であって、公式に認められたデザインじゃないですよ」となってます。読者さんの中にあるマリー像が大事ですから!)
主人公がいるverは作者さんにお渡ししましたので、黒鯛の刺身♪さんの活動報告でご確認下さい。
だいぶグダグダなメイキングエッセイですみませんでした。
読んでくださってありがとうございます!
ハイファンタジー小説
『異世界傭兵物語 ――サイクロプスと魔法使い奴隷少女の旅――』も、どうぞ宜しくお願い致します。
☆★☆★☆
【おまけ】
背景は、こんな感じに作りました。
自分のところで使う絵ならパースは適当でもいいのですが、他所様に差し上げるものなので一応丁寧にやっております。
植物がヘタですが、見えなきゃ問題ないかな?(汗)
※クリスタはPDFの読み込みが可能っぽいです