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俺だけ持ってるゴースト特攻!? 〜最強退魔師(自称)はゲームでもゴーストから逃れられない〜  作者: 氷見野仁
クエスト4 イベントでもらえる物やその質、プレイヤーのレベルに左右されがち きっと後編
31/67

霊とつくならなんでもゴースト

「へぇ〜、四大精()なんだぁ〜」


「あっ」


「あっ」


「あっ。あ、アラタくん、顔怖いですよ……?」


「怖くもなるかもね……これは……あはは」


「ウンディーネ様、忠告しておきますが、今すぐお逃げした方が得策かと」


「はー? ニンゲン相手に逃げるわけないじゃん。バカ? あと先頭のお前、顔怖いから近寄ってくんな」


 いやぁ〜、そうですかぁ、四大精霊ですかぁ、それはそれはさぞお強いんでしょうなぁ!


「いやいや、攻撃するよって言われて抵抗しないわけないだろ。まあまあ近寄ってこいよ」


 俺は喜びを抑えきれず、手がバチバチと明滅してしまう。それを目ざとく見咎(みとが)めたウンディーネが、少し後ずさりし、吠える。


「は、ハン! 私が雷に弱いと思って前に出てきたのかもしれないけど、魔法攻撃は全然効かないし、そもそも水なんだからニンゲンに掴めるわけないわ! 怖がる必要なんてないんだから!」


 胸を張り、ドヤ顔をしだした。迎え撃つらしい。


「掴めるもんなら掴んでみなさいよ、バーカ!」


 すでに俺のレンジ内。そこで、ウンディーネは挑発してくる。バカはお前だ。


「そんなに言うならお言葉に甘えて」


 ガシィ! 俺は彼女の手首を掴む。


「へ? ……あ、あれ? なんで?」


 ヒクッヒクッ、顔を引きつらせ、俺を見る。


「あの、あのあの、離してくれませんか?」


「無・理」


 俺は悪い笑みを浮かべながらMPを霊力に変換し、ウンディーネに流し込んでやった。


「み゛ゃあああああああああああああああああああ!!!」


 ウンディーネが、叫ぶ。


「うわぁーやった」


「溜まった鬱憤これでもかってほど解放してるね」


「……ウンディーネちゃん、かわいそう。見てられないです」


 うちの3人が何か言ってる。


「いったあああ! なにすんのよ! 離せっ! 離せっ!」


 ブンブンブン。ありったけの力で腕を離そうと振ってくるが、絶対に離してやんない。


 リズムよく小刻みに、霊力を流し込む。


「み゛ゃっ! み゛ゃっ! ちょっ、やめっ、あやま、謝るから、やめ、み゛ゃっ!」


「散々ニンゲンだなんだと言われたし、いきなり攻撃されたからなぁ。これくらいじゃ足りないよなぁ」


「降参! 降参するから! やだやだ死にたくない! 助けて! み゛」


 目の前の少女がだんだんしおらしくなっていく。透けていた、水になっていた肉体も、人間状態に戻ってしまっていた。


 俺はまだまだあるMPを使い、リズミカルに霊力を流していく。すると、途中から声色が変わってゆく。すでにウンディーネは崩れ落ち、俺が腕を掴んで吊り下げる形で支えている状況だ。


「ッん……はっ、ほんと、ほん、とにやめ、これホントヤバいからぁ! ヤバいからぁ! ン゛っ」


 どうだ? 昇天しそうだろう。そうだろうそうだろう。なに、気にせず逝け。遺品は拾ってやる。俺のキルスコアとなれ。寄生虫扱いから逃れさせてくれ。


 ビッ、ビッ、バチバチ。緩急をつけ霊力を流し込み、少しずつ敵のHPを減らしていく。スキルを使う暇など与えない。エルダーリッチの時と同じ轍は踏まない。


「やッ、ちょ、ま、ホント、ホントコレ、ダメ、ダメだから! はっ、はっ、ダメダメダメダメ!!! 耐えられない!!! 無理ィ! ごめんなさい! ごめんなさい! 契約! 契約する! 契約するからやめて!」


「は?」


 カッ


 目の前のウンディーネが光り、祭壇に海結晶を捧げた時のような眩さが、俺の目を潰す。


「ぐあああっ!」


 俺は、手を離してしまう。しまった! 反撃される! しかし、その予想された反撃はなく、光が収まったところには、崩れ落ち、肩で息をするウンディーネが。


「はぁっ、はぁっ、やっ、ヤバい、ヤバい、ハマっちゃう、これハマっちゃう……」


 目の前のウンディーネが、なにやら言っているが声が小さく聞き取れない。


 ただ、動いてないのは上々。このまま消してやる。俺はじりじり近づく。


「ストップ! それ以上近づくな! んっ」


 ウンディーネが這って少し下がる。


「待てとかストップって言われて止まる敵がどこにいるんだ」


「残念でした! もう敵じゃありません!」


 ウンディーネがそんなことを言い出した。


「そう簡単に敵味方変わるかよ」


「ステータス、見なさいよ、バカ」


「ステータスだぁ?」


 俺は、自分のステータスを見た。そこには。


 _ 


 契約中の聖獣:ウンディーネ(四大精霊)


 _


 と。えっ。


 えっ。


 既視感。


 思考が止まり、数秒。


「はああああああああああああああああああああ!?」


 俺の叫び声が、海の洞窟に、木霊した。



________________

イベントNo. 1/IIO


海の洞窟 ダンジョン攻略クリア

難易度:★★★★★☆☆☆☆☆


報酬:アイテム各種

    召喚石デュラハン

    ウンディーネ(四大精霊)

________________

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