ねんねしよう
ジオは草の上に座り、ぼぉうっと空を見上げている。
曇りのない夜空が隅々まで広がっており……夜空に浮かぶ飛行機は相変わらず黒い煙を上げていた。
「……昔からあるけど、飛行機?
ってやつ落ちてきそうだなぁ……
死んじゃうな、落ちてきたら」
この飛行機は、ジオのガジェットで固定しているわけではない。
ジオが生まれる前から、存在している……母親にあの飛行機について、一度尋ねたことがあるが名称だけで、どうやって生まれたのかどうやって使われるのか--何故か頑なに教えてくれなかった。
飛行機だけじゃない、豪華客船・SL列車・車……どれも、名前だけしか教えてくれなかった。
「ホントの事聞けるといいなぁ…………いつか……」
そんなことを思いながら夜空を見上げていた。
するとキャンピングカーから母親が現れた。
「さぁ、ベッドに入りなさい
……今日も本を読んであげましょう」
どうやら、寝る時刻の様だ。母親が教えに来てくれた。
ジオは少し考えこむ……数秒間の沈黙の後……
伺うように母親の顔を見る。
「お母さん!!……今日外で寝てみたい」
少年は今夜、おねだりしてしまうのだ。
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=パラPラPPラララララPPラ=
紙をパラパラとめくる音がする。
「今夜もあの本の続きを読みましょう……」
赤、青と転々と光る夜空の下--絶景の下で、外にベッドを置いて、ジオは横になる。
母親の暖かい声がジオの耳にしんしんと入り込んできた。
30分程の読み聞かせが今、終わった。
丁度、読んでいた本も最後の1ページを左から右へとめくり終わり読破できた。
「……ジオ……ジオはこの本を読んでどう思いました?」
「うぅううん……天国や楽園に行けるのは、
誰かのために犠牲になった人間だけ……だから、
人のために自分を傷つけることはいい事?」
「ジオ……大切なのは考える事」
「…………考える……事……?」
「そう、この本を書いた人は
正しい事だと思い、自信をもって書いたはず。
でも、それは作者一人の考え。
本は必ずしも”正しい”なんてことはないの。」
「じゃあ、これまで読んできた本は
正しい事じゃないの!?」
「ジオ考える事よ…………本を読んで、考えて自分なりの
答えを持つことが大切……
自信をもってそれが正しいと
思える答えを作ることが大切なのよ」
「ふんふん……分かった。でも……と言うことは……
お母さんの今言った事もお母さんの答えだよね?」
「そうよ、そこに気づけたのなら立派な成長だわ」
「でも、お母さんの今言った事……
僕なりに考えても正しいと思う」
「共感できると言うことね」
「うん、共感できる!!」
「ジオ……今読んだ本の世界。楽しめたかしら?」
「うん!……面白かったよ!!」
「本はね……学び・考える事と共に
大事なことがあるの……」
「世界やお話を楽しむってことだよね!!」
「そういうことね」
ジオ少年は大事なことを学んだ。
「考える事て自分なりの答えを出す」……少年はまた一歩成長できた。
「おやすみなさい」
ジオは母親に一言うと、
母親はジオの額に軽めのキスをした。