彼の名は「ジオの少年」
彼は「ジオの少年」略してジオと呼ばれている。
純粋無垢で、単純な性格をしている。
朝はゆっくり起きる、母親の作る朝ごはんのふんわりと軽い匂いが目を覚まさせるのだ。
朝ごはんを食べた後は、小屋を飛び出して島中で遊ぶ。
廃車の車や、バス等が積み重なって成り立っている島なので高低差があり、アスレチックのようで少年にとっていい遊び場なのだ。
様々な遊びが次から次へ浮かんでくる。
足で車のボンネットを踏みつけると、ぶすぶすと変な音が鳴って面白いし、
車の間から生えた、ヤシの木に登って島を見渡すとつむじ風が当たり心地よい……
お昼になると、小屋に戻り母親の作ってくれたスタミナのつく昼ご飯にがっつく。
食べ終わると再び、外へ駆け出して秘密基地へと向かう。
秘密基地は、大型のトラックの中なのだが……その中で島中を走り回って集めた、貝殻や車の部品やらのガラクタを使って、剣やブーメランを作って遊ぶのだ。
夕ご飯の時間が近くなると、母親が呼ぶ声がする……
こっそり秘密基地から出て小屋に帰り……手を洗ったら晩ご飯だ。
晩御飯は豪華なものが多く、母親とたわいない会話をしながらがっつく。
「ねぇねぇ!!お母さん、お母さん!!
……今日はいつもより大きなのが出たよ。おしりからね」
「いけませんよ。ジオ、ご飯中です!!」
「はぁい、はい……あ、そういえば今日ね!
……あのおいしいトンボが飛んでたんだ!!今度捕ってくるね!!」
寝る直前には、母親が絵本を読んでくれる。
10歳程にもなって、本の読み聞かせをする事に少し違和感を覚えるだろう。
しかし、彼にとって教材資料はコレしかない……
本の世界は、
新たな発見と考えを生み出す最高の教材なのだ。
読み終わるころには程よく眠くなり、朝までぐっすり眠ってしまう。
小さな島の中、ここに二人の親子が生活している。
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夜空と青空の混ざった空……青空の部分が夕方のオレンジ色の空へと変化した時刻。
丘の頂にある、小屋へと駆けるジオの姿があった。
「はぁはぁ……捕れた!!…………お母さぁあああん!!……晩御飯取ってきたよ!!」
ばかでかトンボを抱えて、小屋の中に入る。
その時、母親は大きな鍋の前に立ち作業をしていた。
「ふふ……おめでとう。見てましたよ!!……さぁ、準備はできています。早速、調理に入りましょう」
「うん……分かった!!」
じゅうじゅうと言った、トンボが揚がる音がする。
また、野菜を切るトントンと言った音……皿を並べるカランカランと言った音。
食事の準備をする暖かい音が鳴り響く。
「…………あ」
ジオは何かを見つける。--ネバネバ
「…………パプロブ……あるんだけど……」
ジオはネバネバした食材を見つけた……見つけてしまう。
笊に盛られた、「パプロブ」と言う食材……それは、この島に自生している海藻の一種であり……ネバネバした食感が特徴の健康食材だ。見た目は、青空のような青い色をしたわかめに似ている。
少年はネバネバした食材が大の苦手であった。
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豪華な晩御飯、ジオは両手を組んで3秒ほど感謝の儀式をする。
儀式を終えると勢いよくがっついた。(パプロブを除いて)
野菜はシャキシャキして、噛めば噛む程に水分が出てくる
--新鮮な証拠だ。
暖かいスープはホカホカで喉元を過ぎると暖が体中に広がってくる。
今日のメイン!!……トンボの揚げ物のお味の方は…………うん、おいしぃ!!
衣はサクサクして、中はジューシー!!臭みもえぐみもなく、トンボの旨味が口に広がってくる。
とてもおいしい……!!でりしあす。
最後に残ったのは、やっぱりパプロブであった。
ジオと母親の視線があう、数秒間の沈黙が訪れる。
「ほら……ジオ、パプロブを食べなさい。
……この、パプロブのサラダ特別においしいわよ」
「…………」
ジオは母親から目をそらし、下をうつむいて……ちらりと母親の方を見る。
上目使いだ!!……あざとい!!
「食べなくてもいいでしょ?」と言わんばかりの表情をする少年。
そんな姿を見て、はぁ……と母親は一息のため息を吹くと。
「ダメです」と少し力ずよく、言い放った。
少年の顔が引きつる。
すると突然、
「そうだ!!」っと叫び……明るい顔をしだした。
何か策を思いついたようだ!!
ジオは左ポケットから懐中時計を取り出した。それを宙に放り投げて、指パッチンをキメる。
=バシャュコン……!!=
ガジェットを起動させた。
突然、リビングに1mを超える大きなガジェットが飛び出してきたので。
母親は驚きのあまり、むせてしまった。
ジオは大きな刃をゆっくり動かして、パプロブを丁寧に切りつけた。
一切れ、一切れに「▷」のマークが現れる。
どうやら、能力を使ってパプロブを処理するつもりだ。
「はぐ……はぐ……はぐ…………おおぅうえ、おおえ!!」
嗚咽しながら、口の中に掻きこむ。
「おぉぉぉおぇえええ!!
…………12秒後の状態へ……ぶっ飛べ……オェ」
口の中でパプロブに、表示されていたマークが変化する、「▷▷┃」
12秒後の状態……口の中で12秒間噛み続けた状態に……スキップする。
口の中で、弾力のあるパプロブが…………ドロドロした液体へと変化する。
「…………うっわ!!……くっさッ!!
ヴォオオオオオオオウゥウウェエエエエエエエ!!」
やはり、パプロブはパプロブであった。
もごもごしながら、置いてあった水を流し込む。
ごきゅごきゅと音を立てながら…………完食!!よく頑張りました。
「食べきれたのね、えらい子…………
でも、食事中にガジェットを繰り出すのは感心しませんよ」
「あい……ごめんなさい…………」
ジオの反省を見て取れると、母親はにっこり笑って口を開く。
「さて、お片付けしましょう」
「あーい!!……ウェ……」