子猫が我が家にやってきた
子猫は可愛いですよね。
ペットショップで買った猫でも、捨て猫でも可愛いのには変わり有りません。
これは子猫を飼い始めたころの、子猫にまつわる話しです。
実際に体験したこと、聞いた話をごちゃ混ぜにしています。
子猫を飼い始めたときに経験した人もいるのではないでしょうか?
我が家の猫を見ていて思いつくままに書いたもので、小説ともいえないものですが、暇つぶしになれば幸いです。
その1.子猫が我が家にやってきた
そう、ある日、会社から残業を終えて帰ると、玄関で妻がニコニコして迎えてくれた。
ん?と思っていると・・・
「子猫がいるよ、うふふふ」と嬉しそうに笑う。
「へ?」
「あれ? 話したじゃない、忘れているの?」
「え、えええと・・」
う、やばい、妻の機嫌を損ねるのは避けたい、思い出せ!
夕食のテーブルに着く振りをして考える・・
あ! 思い出した・・。
「そういえば会社に迷い猫が紛れ込んだといっていたよな」
そう、子猫が妻の会社に迷い込んだという話しを最近した。
生後2ヶ月位の子猫が、会社の玄関近くで鳴いていたらしい。
子猫は玄関に居座らず、会社の敷地内にとどまったようだ。
飼い主が見つけにくるかと、数日、従業員が餌をもちより様子を見たそうだ。
会社側もとりたてて子猫を排除しなかったようだ。
良心的な会社だな、と思ったことも思い出した。
しかし数日経過しても、飼い主が探している様子はない。
捨て猫だろうという結論に達した。
捨て猫の根拠だが、会社は工業団地の一角にあり、住宅は離れた箇所に点在する。
子猫が迷い込むにしては一般住宅からは離れ過ぎている。
それでも探す人がいないか、張り紙が出されないか様子を見たのである。
そして、妻の会社は市街を流れる一級河川の直ぐ近くにある。
土手を挟んで河川敷が運動公園となっている。
広大な運動公園は至る所に舗装されていな駐車場があり自由に無料で出入りできる。猫を捨てる場所として利用された可能性が高い。
これが捨て猫である根拠だった。
運動公園が捨てられた場所だとすると、子猫は運動公園から3m程の高さの土手の草が生い茂った斜面を登り、車の交通量のある土手の道を横切り、また土手を降りたことになる。そして土手と平行に走っている交通量の比較的多い二車線道路を横切って妻の会社の敷地に入ったのであろう。
あの小さな体でよく交通量の多い道路を渡ってきたものだ。土手も大変だっただろうに。
捨て猫であろうと結論を出した後、妻の会社の同僚の子が、子猫を見かねて家に連れ帰ったそうだ。
しかし家の人から既に2匹も飼っていてどうするの!と叱られたそうだ。
そして泣く々、誰か飼ってくれないか探していると聞いていた。
なんでもトイレの躾はされていたそうだ。
その話しの最後に、妻から誰ももらい手がなければ飼ってよいか聞かれていた。
まあ、猫は好きだから、いいよと言った記憶がある。
そうか、うちの子になったのか・・・
「どこに居る?」と聞くと、隣の部屋だという。
そっと襖をあけると、部屋の隅の座布団の上で、小さな、小さな猫が丸まって寝ていた。
「おとなしいじゃん」
「いやいやいや、連れてきたときは鳴きっぱなしだったよ。」
そうなのか・・・だったら泣き疲れて眠ったのか。
そっと近づいて子猫を見る。
生後2ヶ月位の手のひらに乗るほどの大きさだった。
毛並みからみると、子猫はアメショーと茶虎のミックスのようだ。
生後2ヶ月ということから、たぶん、幼い子猫を捨てることは決めたが、ミルクから食べられるようになるまで待ってから捨てたのだろう・・・
これは優しさなのだろうか・・
人間て勝手なものだなと思う。
あ、おれも人間だった。
ひどい人もいるものだ、と、訂正。
子猫を観察していると、ピンクの小さな鼻から、かすかな寝息が す~・・ぴー と聞こえてくる。
小さな体が呼吸のたびに上下に動いている。
良く来たな、と、心で話しかける。
触ると起きそうなので触らずに部屋から出て妻の側に行く。
可愛い子猫だと、そのときは思った。思ったのだが・・・
明け方、み~、み~、み~、という良く通るやや高い声が響いた。
なんだ! をぃ!なんだ!、なんだ~!
寝かせてくれ! うううううう。 布団をガバリと頭からかぶる。
妻が起きて立ち上がる気配がある・・・
ぼ~っとしながら、目を瞑り二度寝をしようとし、思いつく。
あっ、そうか、子猫だ。
子猫が居たんだ・・、新しい家族の・・・
二度寝して、遅刻しそうになったのは言うまでもない。
妻は、知らん顔して起こしてくれなかった・・・
あのさ、猫は可愛がるが、亭主は放置プレイかよ。
その2 慣れてくれよ・・・
子猫を迎えた初日の朝は、子猫の目覚まし時計で薄暗い時間に起こされた。
その日の午前中、仕事は あくび混じりで行うこととなった。
まあ、慣れて落ち着くまでは、この状態か・・・と、ちょっとため息が出た。
残業を終えて帰宅する。
玄関をあけると「み~、み~」と、子猫の鳴き声がする。
「・・・まだ鳴いている?」
「うん、私が帰ってきたときも鳴いていたよ」
「そっか・・」
子猫は隣の電気が点いていない暗い部屋で、スピーカーの置き台のわずかなスペース、15cm四方くらいの狭い場所に乗り、背中越しに顔だけ向け、小さな灰色の瞳でこちらを見ながら鳴いている。
うん、突然知らない家に来て不安だよね。鳴く気持ちはわかるよ。
そっと近づいて捕まえて見る。
逃げようか、どうしようかという様子であったが、簡単に捕まえられた。
片手の上に乗るサイズだ・・可愛いなをぃ・・と、思わずほほえんでしまう。
ちょっと震えているかな・・怖いか・・。
そっと撫でてから下ろすと、部屋の中を、ちょこちょこと回り出す。
おそらく隠れる場所を見つけているんだろうな・・・好きにさせるか・・
早くなれてくれ。
「なあ、トイレは?」
「今日はしていないみたい。」
「そうか・・」
「食べた様子は?」
「ないんだよね、無理矢理食べさすわけにはいかないし・・」
「様子をみようか・・」
「うん・・・」
------
翌日の明け方、またしても子猫の目覚ましが・・・
そして、この日、子猫は餌を食べた・・
しかし、トイレはなし・・大丈夫か・・
次の朝
子猫の目覚ましで目がさめる。 ふ~・・・
仕事を終え家に帰ってくると、ホットした顔で妻が出迎える。
妻によると、帰ってきて猫トイレを見てもしていなかったらしい。
そこで、妻はトイレをしないのは限界だろうと見極めたそうだ。
そして、子猫をトイレにいれ、そっとお腹をさすっていたようだ。
すると、ちゃんと出してくれたらしい。
そう話し妻が微笑んだ。思わずこちらも笑顔になった。
さすがうちのカミさん。グッドジョブです。
次の朝
うん、恒例の目覚まし時計。
そして仕事から帰ってくると、ちゃんとトイレで用を足してあったとのこと。
偉い! 子猫君。
そして妻も偉い!
妻がお腹をさすってあげなければ、どうなっていたんだろう、ね。うん、うん。
かくして、猫との生活の日々が始まった。
あ、そういえば名前を付けてなかった・・・
短編で書きました。
気が向けば、勝手に続編を書くかもしれません。
猫の何気ない仕草、主人を主人とも思わぬ態度を取り馬鹿にされてんのか、と思うこともしばしば。
そして自分の中では笑えるエピソードや、肩に乗せての散歩など書きたいようなものがあります。
まあ、小説といういには、どうなんでしょうね・・