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よくできました。  作者: たこみ
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第一話 Who's with me?

もう希望がないかと思っていた。

なかなか子宝に恵まれなくて、私は周りの友達のようにお母さんになれないのだろうかと追い詰められていた。

夫はそんな私の心の支えになってくれ、あまり考えこまず、二人で気長に頑張ろうと言ってくれた。


私と同世代の人たちや、妹に二人目、三人目の赤ちゃんが生まれる頃、ようやく私たち夫婦のところにも待ち望んでいた赤ちゃんが、お腹の中に来てくれた。

嬉しくて嬉しくて、まだ数ミリだけど私の中に宿った命をとても愛おしく感じ、自分はなんて幸せなのだろとそのときは思っていた。


「神様に浮かれるなって言われてるみたいだなって思った」

落ち込む私に、会社の同僚だった汐里しおりはそんなことないよと私の手の甲を擦った。


「それで、体調の方はどうなの?」

「うん、子宮筋腫ができてて、赤ちゃんを圧迫してるみたい」

赤ちゃんは大丈夫なのかと問う汐里に、子宮に痛みはあるが、安静にしていれば大丈夫のようだと私は説明した。


「だんなさんは相変わらず仕事遅くまでかかるの?」

発するべき言葉が見つからず、汐里は話題を主人に変えた。


「まあね。でも家にいてもあの人は割と無頓着だから、私と一緒に思い詰めてるよりかはいいかも」

私はそんな夫に救われるなどと呑気に思っていたのだが、このとき私から主人を奪い取ろうとしている女がいたことを後になって知った。


夢にまでみた母親になることをそんな見知らぬ女に阻止されるなどとは微塵も思っていなかった。






上手くいかないことの連続だった。

けれど妻は諦めることなく憔悴していたと思えば立ち上がり、決まって「もう少し頑張ってみる」と言った。

彼女のことを十二分に理解しているつもりでいたのだが、そうではなかったのかもしれないと最近思い始めた。

中途半端が嫌いな妻は、きっと目標を達成するまで諦めるつもりはないのだろうと思う。


未希みきと一緒にいるようになったのは、きっと彼女といると色々なことを考えずに済むからだろう。

妻と違って未希は俺のことを頼りないとは言わないし、仕事で疲れているときでも彼女からは元気になる薬をもらっているみたいな感覚があった。


初めは未希と恋愛関係になることを希望していたわけではないのだが、気が付いたら彼女の家をまるで隠れ家のように訪れている自分がいた。

以前は妻のことが好きで好きでたまらなかったのだが、最近では嫌々家に帰っている。


「そろそろ家に帰ったらどうですか?」

未希がからかうように言ってくる。


「・・・。毎日毎日妊活話で嫌になってくるよ」

すると彼女はふふっと笑って夫婦生活頑張ってねと他人事のように言った。


俺はため息をつくと、妻も彼女のような性格だったら妊娠に固執することもなかったのかなと思いながら、ボディチェックされても大丈夫なように、未希の部屋の細い全身鏡で身支度をした。














新しいお話です。

頑張って怖いお話にできたらと思います。

よろしくお願いします~(^.^)

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