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続編 バブル時代へGO!  作者: 相場昇
44/99

43億 ニセ株券 1

翌日 午後3時


田主社長の部屋に行くと既に奥田が満面の笑みで座っていた。


よくも笑えるものだ!


俺も人のことは言えないが「こいつの心臓には剛毛が生えている」と確信した。


奥田

「田主社長、今日はお口直しをお持ちしました」


しかも「お口直し」まで俺と同じトークだ。

敵ながら親近感がわく。


傍らには茶色の小包を置いてある。

パッと見れば現金のように見えなくもないがそんなことはまずは100%無い。


田主社長

「横にあるそれは、金でっか?」

単刀直入に聞いた。


奥田

「いえ、キャッシュではなく株券です」


田主社長

「はあ、株券でっか・・・」


奥田

「はい、小野薬品株で6万株、今の株価で約3億円分あります」

小野薬品株は当時5000円の値段がついていた値嵩株である。


田主社長

「ほう・・・これをワシにくれるんでっか?」


奥田

「いえ、田主社長。これを社長の取り引きがある銀行に持ち込んでお金を借りて欲しいのです」


田主社長

「ああ、株券担保やったらメインバンクですぐに借りれまっせ」


奥田

「おそらく3億の株券を担保で出せば8掛けの2億4000万が融資が実行されますね。そのうちの1億を被害総額の穴埋めとして田主社長がお取りください」


田主社長

「え、1億円わしがもらってええんでっか?」


奥田

「はい。今回のお詫びです、そのかわり私も損をしましたから1億円を回してください。残りは銀行金利に当てて下さい」


田主社長

「まことにええ話でんな」


田主社長甘い!甘い!


「奥田さん、ちょっと株券を拝見してもいいですか?」


奥田

「もちろんです、どうぞどうぞ」

奥田は俺のほうに株券の入った小包を差し出した。


やけに潔い。


俺は株券を何回もひっくり返して凝視した。

たしかに小野薬品の発行した1000株券が60枚あった。

数は間違いない。


俺は仕事上、かなりの企業の株券に接してきたからある程度のチェックポイントはわかる。

株券特有の紙質と印刷が確認できたし、所有者の名前と実印も裏に押してある。


奥田

「どうですか?間違いありませんよね」


「はい、たしかに1000株券が60枚あります。間違いありません」


しかし問題はこいつが本物かどうかなのだ。


こればかりはプロの証券マンでも「見て触っただけ」ではわからないのだ。


3000社以上ある上場企業の株券の特徴を全て覚えている証券マンは皆無である。


普通は預かった株券は本店の本券部という部署でプロが鑑定することになっている。


田主社長

「では預かりまっせ」

と言って株券の入った封筒を受け取る。


奥田

「いつ換金できますか?」


田主社長

「明日銀行に行きますから、そうやなー一週間あれば用意できます」


奥田

「では一週間後の15:00に参ります。では」

と奥田はドアを開けて出て行った。


田主社長

「いやー、奥田はんはええ人でんな」


だ・か・ら社長、甘い!甘い!








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