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暖かなナイフ

作者: 四ノ宮凛

僕には付き合って間もない彼女がいる。

彼女は職場の一つ後輩で長い黒髪の似合う女性だ。

彼女と仲良くなったきっかけは職場の飲み会で、入社した頃から気になっていて、とても可愛らしい子だと思っていた。

趣味のことで意気投合してからちょくちょく仕事中も趣味の話をしたり、仕事帰りに一緒にその店に寄ったりするようになった。

その彼女と本格的に恋愛関係に発展したのはある出来事がきっかけだった。

彼女は少し前からSNSのストーカーに悩まされていた。とあるアカウントから執拗に交際を迫られ、何度何度アカウントを変えても見つけられ、断ると『殺してでも俺を好きにさせてやる』『キミを包丁でズタズタにして臓器の色を見たい』などと脅迫に似たような事をずっとされていた。その事を彼女からLINEで相談を受けてから、僕も本格的にそのストーカーに関してどうしたらいいか一緒に考え、この辺りで僕と彼女は付き合い始めた。

彼女はストーカーの事を本当に恐れていて、日によっては泣きながら僕に電話することもあった。『怖い』『いつドアの向こうに"彼"が包丁を持って現れるか分からない』『夜歩くのすら恐ろしい』彼女に対するストーカーの被害は収まらず、彼女の心の負担も増していった。

そしてある日、ストーカーは彼女の家を特定した上で『キミの眠る顔を真っ赤に染めたい』『早く殺してあげたい』と彼女のメールアドレスに送りつけた。

彼女は恐れのあまり、心を病み、仕事を辞め、家も引っ越した。

引っ越してから次の住宅を当てられたのは3日もかからなかった。

彼女は一人で家にいたら殺される、と僕の家に泊まり込む事に決めた。誰かがいるから安心、という心理からか、彼女とは「先輩って一人暮らしですけど料理とかされるんですか?」と聞かれ、もっぱらカップ麺とコンビニ食だよと答えると「なら私が料理作りますよ!仕事もやめちゃいましたしそれくらいしか出来ませんから!あ、包丁はあるじゃないですか!」なんて他愛もない会話が出来るくらいまで心が落ち着いていた。

それからはストーカー行為も驚くようにピタリと無くなった。なぜ急になくなったのか彼女は不思議がったが、ひとまず安心することが出来た。しかし彼女は一人暮らしはまだ怖いと、僕の家に居続けることにした。それもそうだ、ストーカーの件で僕の家に住み始めてから数年経った。僕と暮らしている生活を続け、それが普通となったのだ。来月には両親に挨拶に行く。彼女との出会いや、付き合った経緯は特殊ではあるが、その関係は強固なものとなり、お互い良いパートナーと言えるほどになっていた。

仕事から帰り、彼女の美味しいご飯を食べて、一緒のベットで隣り合って眠る。不思議な経緯だが最高の日々を僕は手に入れた。



そう、最高の日々、最高、最高で最高で、最高で最高で!!!僕はなんて幸せで幸せで幸せで幸せで幸せで幸せで!!!!なんて気分が良いんだ!!俺はこの日を願っていた!彼女と見た時からこの瞬間を望んでいた!!!俺がこれまでしてきた事は無駄じゃなかった!!!!彼女が俺の胸で眠る日を待っていた!なんて幸せ者なんだ!なんて最高な瞬間で、最ッッッッ高にゾクゾクするッッッッ!!!!!!!ああそうだとも!!!!

君が一番頼りにして!君が一番心を許して!君が一番愛して!君が一番恐れていて!君が一番拒絶して!君を殺そうとしていた!


最悪のストーカーの胸の中で君はすやすやと眠っているのだから!!!

胸糞悪い話が書きたかった。

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