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零ー6 軽く言われる死という言葉

 

「――落ち着いた?」

「は、はい。すみません、お恥ずかしいところを……」


 あれから20分、何をするか分からず頭を撫でていると、5分程で悲しさが恥に変わったのか今はだいぶ落ち着いている。顔からはまだ赤みが引いてないが。


「気にしてないから大丈夫。それより何でニーシャ様に知られた転生者は死にかけてるんだ?」

「突然ですね」

「いや、最初はその話だったでしょうに」

「そ、そうでしたね。というかルイさん、何か言葉遣い変わってませんか? いえ、私的には嬉しいんですが……」


 言葉遣いが変わってませんかって? それは貴方の神々しさが無くなったから。


 (なんて言えないよなぁ)

「それはこっちの方がセティさんと仲良くなれるかなと思ったから」


 そう言うとセティさんはパァァァァ! と聴こえそうな程の笑顔を浮かべた。


 何だろう、セティさんって何処か



「――小動物っぽい?」

「はい?」

「い、いや、何でもない。それよりニーシャ様の事を」


 いけないいけない、思わず声に出してしまった。でも流石に小動物は無いか、せめて子供だな、うん。


「こほん、ではニーシャ様について説明させていただきます。ニーシャ様は自由です」

「それはセティさんもでは?」

「うっ、と、とにかく! ニーシャ様はほんとに自由なんです。よく地上の人々の所に行ったかと思うと英雄になったり大悪人になったり、挙句の果てには王にもなったりするんですよ? そして飽きたら 精神魔法で人を操って自分の事を忘れさせますからね。おかげで私達天上界の神はその後処理に追われるんですよ? ほんと考えてほしいものですよね……」


 自由だわ、フリーダムですね。とくに神が悪人になってもいいものなのか? 思ってた以上だよ、これ。


「そして転生者にはよくちょっかいをかけますね。戦闘中に雷落としたり、強制的に魔物のスタンピードを起こしたりなど。本神(ほんにん)は面白ければ別にいいという感じでして……」

「なるほど、それは確かに危険神物(きけんじんぶつ)だ」

「はい、そしてここで私が来た理由になるのですが。他の転生者にはルイさん方が言う、所謂チート能力があります。ですがルイさんにあるのは元々の潜在能力(ポテンシャル)の解放そして拡張、それに精神適応強化、魔法3種にユキちゃんくらいですね」


 それで十分なんだけど。それにこの家もあるしな。

 他の転生者って何なんだろう? これ以上に楽? 羨ましいような羨ましくないような微妙な

感じだな。


「それも十分チートって言われるのに相応しい気がするけど?」

「まあ、最終的にはそうですね。元々のルイさんの潜在能力がどれくらいかによりますが……。ですが、それでは時間が足りません。通常の修行方法だと間違いなく()()()()ので」

「……何故か"死"という言葉に慣れてきたんだけど、これも精神適応強化のせい?」


 実際、さっきの死にかけるという言葉より酷い言葉なのに冷静に聞けてる自分がいる。

 恐らくこれが"適応"という事だろう。


「はい、あくまで"適応力"の"強化"ですので、最初から精神が強くなってるわけではありません。そして喜怒哀楽などの精神は対象外ですので、笑いも泣きも怒りもしない仮面人間にはなりませんから安心してください」


「話を戻しますね。時間が足りないというのは、15年修行して強くなってもニーシャ様にちょっかいをかけられるとすれば全然足りないんです」

「だからセティさんが来たと?」

「はい、あくまで耐えれるくらいにするだけですけど、ルイさんを時折鍛えるため、来ることにしました」


 はぁぁ、ありがたいものだ。


 でもこうなったのって神のせいだよな? いや、神は神でもミーシア様が、か。


「なんか俺、ミーシア様にちょっと殺意が芽生えたかも」

「確かにそれは仕方がないかもしれませんがミーシア様だって悪気はないんですよ? ただ最近面白い人が全然いなくて久しぶりの面白い人がルイさんだったんですよ。ですのでつい、ですよ。つい」

「まあそれでセティさんとも会えたし良かったといえば良かったのかなぁ」

「っ!」


 そう笑いながら言うとセティさんは俯いてしまった。そして耳が赤いが……



「――な、なるほど。確かにこれではファンクラブができるのも……」


「ファンクラブが何だって?」

「ひゃあ! な、何で聞こえてるんですか!」

「いや、何か転生してからというもの耳が良くなった、というか多分五感が潜在能力の解放とやらで強化されてんるじゃないか?」

「だからってぇぇ……」



 ひゃあ! だって、今日はセティさんのいろんな姿が朝から見れる日だな。


 それよりファンクラブ……? 何か考えたらダメな気がする。う~ん。やめだ! やめよう、考えるのは。


 そしてセティさんが俺の横まで来て、腕を掴んできた。ん?


「もういいです! 外行きますよ、外! 修行しましょう!」

「え、腕引っ張らなくていいから。って力強っ! ああ! ユキが落ちる、ってユキは蹴らないでくれ! 流石に連続は痛いから! いたいからぁぁぁ……」


 セティさんに引きづられ、ユキには腹を蹴られる。

 ああ、神よ。一体俺が何をしたというのか。もう少しゆっくりさせてくださいよ、はぁ。



『うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい――』



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