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零ー4 兎は静か、神は気まぐれ

 

『こんばんはセティです。驚きましたか? 驚きましたよね? ね? 実はそのアスパラ、豊穣神メルに聞いた栽培方法で作ったのです。流石に味が不安定な木の実をずっと食べさせるのは可哀想なので、これからも時々野菜を送りますね。それと、うさぎの名前はユキにしたのですね。私はその名前好きですよ。寝る前にはユキちゃんの口の近くに手を出してくださいね。噛んできますが、それは魔力を吸ってるという事ですので。それではまた明日』


 セティ様ってずっと見てるのかね? 手紙送るのが早いよな。それにしても――


「――ユキって、メスだったのか」

「……」


 相変わらず俺の膝の上で寛いでるユキ。

 それにしても、うさぎってこんなに大人しいのか? 最初に俺の頭に乗ってきた時から1回も動いてない気がするんだが。


「もしかして……としよ(バシッ)ごめんなさい」


 違うらしい。

 そして、俺の言ってる事も全部理解している感がある。いや、神獣って云われるくらいだし理解して当然なのかねえ。


「ユキ、俺の言ってる事分かってるのか?」

「……」

「分かってたらもう一度足を(バシッ)……(さと)いな」


 さっきから言おうとしたことより先に行動してくる。

 さすが神獣。そして力加減も絶妙である。


「そろそろ食べるか――」







 ~~~~~~~~~~




「――ご馳走様でした」


 まさかみかん程度の大きさしかない木の実1つでここまで満足するとは。非常食になりそう? それとも俺の胃が縮まったとか? ……それはないだろ。


 食器を片付けた後はやっぱり白い家具しかないリビングにあるベットの上で"リラについて"と書かれている本を読んでいた。


 《リラはこの惑星の名称である。主に2つの大陸"シストルム大陸""ミノア大陸"があるが、"ミノア大陸"はその殆どが開拓をされていない未開の地が多くある。

 国は"アーイスト王国""ルガリア帝国""ハスト神聖国""ラルス共和国"が代表的な国であり、"アーイスト王国"と"ルガリア帝国"は頻繁に戦争をしているが、何故か決着がつかないでいる。"ハスト神聖国""ラルス共和国"は協定を結んでおり、他の国を攻めないが様々な協力体制を築いているため戦争を仕掛ける国はほとんどない。なので中立国家として成り立っている》





「――戦争……やっぱりあるのかぁ」


 やっぱどの世界でも戦争はあるものなのか、面倒な。

 でも決着が着かないというのが少し気になる。そんなに続けてるならいつかは終わりそうな気もするんだけど……。


「――まあ考えても分からないし今日はこのくらいで寝るか。明日からは修行しないといけないし」

「……ヴー」


 あ、忘れてたわ


「えっと、手を出せばいいんだよな?」


 確か手を出せば噛んでそこから魔力を吸うんだっけか。


「……(カプッ)」


 噛むと言っても甘噛みか。ならなんの問題も――


「え…なに……こ………れ……」

「プゥ」


 急に力が抜けた俺は何が起きたのか考える間もなく気を失っていた。



 ~~~~~~~~~~






 ―…………ン


 ――ピン……ン


 ――――ピンポーン



「――なん、だ?」


 謎の倦怠感と寝起きのせいで足取りがおぼつかないけど、寝起きの耳に響くチャイムが何故か鳴っているため玄関に向かう。


「……はいはい誰ですかー」


俺はそう言いながら扉を開ける。


「――おはようございます、ルイさん。いい朝ですね♪」

「……どちら様で?」


 玄関を開けると謎の白髪美人さんが笑顔で立っていた。俺の名前も知っているらしいが……


 誰? こんな山の中に普通の人が来るとも思えないし。――格好は白いワンピースに白い靴そして白いバスケットか……見事に白いな。

 

 ……あれ、そういえば白といったら最近よく――



「――もしかして……セティ様?」

「はい♪」


 まさかの朝から神降臨である。

 ああ、貴方はほんとに白いんですね。何か安心しましたよ、予想通りだったので……



 ~~~~~~~~~~




「改めておはようございます、セティ様」

「はい、おはようございます。それと私の事はセティでいいですよ、敬語もいりません」

「ええと、ではセティさんで」

「はいっ」


 外にいるのも何なので部屋に上がってもらったのだが―


「――あの、まだ転生させてもらって2日目なのですが何かありましたか?」

「むぅ、まだ硬いですね。まあいいでしょう。私がここに来た理由としては他の転生者と比べてルイさんの状況がかなりハードな事になりそうでしたので、こうしてたまにあそ……サポートしに来ることにしたんですよ」


 今遊びに来るって言いかけたよこの神様。

 ていうか俺の状況がハードって他の転生者っめどれだけ楽な状況なんだよ……ずる…………くわないかなぁ。


「はぁ、それで具体的には何をでしょう?」

「質問に答えたり戦闘のアドバイス、談話ですね」

「こう言っては失礼かもですが、セティさんは戦えるのですか?」


 正直こんなに線が細い女性がそこまで戦えるとは思わないんだけど。

 戦ったらすぐに骨が折れるんじゃないかって思う。


「ええ、勿論です。私、天界ではNo.2ですからね♪」

「おお、凄いですね。じゃあNo.1は?」

「ミーシア様ですね。そして下界の統括神ニーシャ様もミーシア様と同等の力を持ちますね」

「下界って言うと?」

「魔物を管理している神や悪魔が住んでいる場所です。まあ地上の人々には知られていませんが」


 あれ、てことはこの事知ってるのって俺だけ?


 …


 ……


 ………


 …………うっわぁ



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