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零ー38 精霊と初めての邂逅!...ではなかったようです

「「――ッ!」」


 瞬間――リレンとアストの警戒が最大になる。


 リレンは詠唱を始め、アストは大剣を下段に構え上からの攻撃に備えた。

 俺も勿論刀を構えた



 ――が、俺はすぐに身に覚えのある雰囲気を感じ、警戒を解いた。


 空の亀裂が大きくなり、その度にパリンッというガラスの割れたような音が森に響き渡る。



 そんな中、それを呼んだ少女は呟いた――遅い、と。


 すると、途端にその亀裂がバンッ、と何かにあわてて叩かれたような音と共に割れ、そこから黒い影が飛び出し、これまでの緊張を吹き飛ばすような明るい声を上げた。


「ハァーイ! 呼ばれてトージョー! 時の精霊リンネちゃんでース!」

「「……」」


 喋るその何かにリレンとアストが言葉も出せずに唖然とする。

 それは俺も同じだ。けれど2人と驚いた事は違うと思う。何故なら見た瞬間に()()()()()()? と俺が思ってしまったこと。浴び慣れた独特の雰囲気を纏っているにも関わらず感じる()()をほとんど感じない。


 そんな驚く俺達をよそに黒いノイズが走ったようなはっきりと視認出来ない姿をしているそれに近付いて行く少女がいた――スイハちゃんだ。


「フッフッフッ、驚イた? 驚イたヨネ〜! 何セこーんな美少女がぁ現レちゃあそうナるのモ無理はなイタッ、いたイ! イタタタタタタッ――」

「魔力使いすぎよ」

「フゥ。いや〜、いくらワタシが可愛イーからってそんな――ヒッ!? ジョ、冗談だヨ! だから魔力奪わナいデ!」


 俺達は別の意味で更に驚いた。

 恐らくリレン達はその正体の分からないそれに少女が手を突っ込んでいる事に驚いているのだろう。俺はというと、そのノイズ――精霊を一個人で呼び出したスイハちゃんに驚いていた。

 何せ精霊を呼び出すには大規模な儀式を要し、たとえ儀式をしても呼び出せるか呼び出せないかは精霊の気分による(精霊の性格はミノア大陸のエルフと同じなので基本来ない)とセティさんに聞いた。


 俺達がそれぞれ続けて驚いていると、それはノイズを徐々に消していき――


「いヤ〜、スーちゃンの周リに誰かイるみたいだったかラちょっと派手に出テこヨうとしたら怒らレちゃったナ〜」


 その姿を顕し、怒られたはずなのに反省の色が全く見せずに頭をかいているその精霊。大きさは15センチほどしかなく、髪はスイハちゃんとお揃いなのか肩で切りそろえられた白と黒のメッシュ、容姿はスイハちゃんを少し成長させた感じであることから本人の言った通り確かに美少女だ。


 ……俺の癒しはスイハちゃんだけだけどな。


「な、なあルイ。こいつの言ってること分かるか?」

「妖精でしょうか?」

「ワタシは妖精じゃなくテ精霊! せ、い、れ、い!」

「私……怒られてますか?」


 何を言っているのか分からず戸惑うアストと精霊に詰め寄られて戸惑うリレン。俺だけが精霊の言葉を理解できるという事はこの精霊が森人族共通語で話しているということだろう。


「リレン、これは精霊らしいぞ」

「精霊? まあ確かに羽はありませんが……」


 リレンがどこか釈然としない表情を精霊に向けている中、その精霊は俺の目の前まで飛んできた。


「こレってひどいナぁ〜。ワタシとキミは同族でしョ〜?」

「ん?」

「キミ、精霊じゃないノ?」

「違うぞ?」

「またまた〜」


 いや、ほんとに覚えがないんだが……。


「――エ、マジ?」

「まじ」

「あっレ〜? おっかし〜ナ〜?」


 精霊はムムムム、と唸りながら俺の周りをグルグルと飛び回る。

 そして俺の周りを3周程した時――うわっ、とどこか引いたような声を出した。


 精霊は暫く目を瞑り熟考した、そして目を開けた精霊はどこか困り顔だった。


「あー、うん。分かったヨ。簡単ニ言えばキミは神と精霊と人族の混合種だネ。とってもややこシいネ」

「……は?」


 え、いや。どうゆう事?


 俺は神であり精霊であり人って事か? 人は……まあ分かるけどさ、神はともかく精霊っていのはほんとに訳が分からない。


「あー、ゴメン、混乱シてるネ。もう少シ分かりやスく説明すると、神の魔力ヲ持っている人族、理由はキミが転生者か転移者だかラ。ここまでダイジョーブ?」

「あ、ああ」

「でー、ワタシもよく分からないンだけど〜。キミ、本質は精霊ナンだヨネー」

「ごめん、分からない」

「アハハッ、ワタシも分からナーい!」


 本質が精霊って……俺地球でもこっちでも人間だよな。どこから精霊が入ってきたんだよ……。いや、神の魔力っていうのは何となく分かるよ? 恐らくミーシア様が俺に魔力を宿したんだろうし。


 でもなぁ……


「納得できない」

「随分落ち着いてるネ〜」

「スキルのせいだ」

「ホー」


 俺は混乱とかの思考力に直結するような事って瞬時に抑制されるから大きな混乱はしないんだよな、戸惑いはするけど。


「もういいかしら?」

「あっ! そうだネ〜! ではワタシのショーカイよろシく!」

「この子はリンネ。消えかけていたところに私が通りかかって勝手に契約してきた時の精霊よ」

「わァ〜、辛烈ゥ〜!」

「ルイ、翻訳してくれ」


 さっきから俺の話していることしか分からず困り顔のリレンとアスト。取り敢えず俺に精霊の疑いがある事は省きこの精霊の事だけを2人に聞いた通り説明した。


何か説明することがあったはずなのですが忘れてしまいました。取り敢えずリンネの簡易紹介。


リンネ

ミーシアに生み出された精霊の1体。元は他の精霊と同じく人と同じ大きさだったが、ある日異界種に喧嘩を売ったら返り討ちにあい死にかけていたところにスイハが通りかかったので、弱体化はするが生きる為に契約を無理強いした。今ではスイハと良い友人であり、時折街に行き、色々なものを拝借してきてスイハにあげている。

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