零ー3 アスパラガス
神獣チケットを使った結果、うさぎが出た。
こっちを見てる。
弱そう。
「――ん? 足元に手紙?」
この白いうさぎに踏まれてるこれまた真っ白な手紙が置いてあった。
「あの、取っていい?」
「……」
「あの「……プー!」おわっ!」
「プゥ」
神獣様はどうやら俺の頭の上が気に入ったらしい。
手紙も取れるようになったし読んでみるか。
「ええと――」
『おめでとうございます。その神獣が貴方と一生を共にするパートナーです。神獣のうさぎは比較的扱い易いと思いますよ、クセが無いので。また、その子はとても速く、危機察知能力に長けています。頑張って育ててくださいね。それと、私は天上界の統括神ミーシア様に仕える秘書神のセティです。後程、小屋のポストに必要な物をいくつか送りますので、覚えておいてくださいね』
何かさっきから説明書とか書いてくれたのって、この神っぽいな。神かよ……神だったな。
「取り敢えず小屋に何があるか見ないと、か」
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「――なんか、至れり尽くせりだな」
小屋は思いの外豪華だった。そして広い。
見た目は木造の小屋だが、1LDKのユニットバス付き。床が畳で、キッチンとかは日本で見た最新のやつ。和と洋が凄いミスマッチだけど。
それでも、この小屋全体に自動浄化機能が付いてるらしく、掃除もしなくていいらしい。何故か電気、水道、ガス、全て通っている。
コトンッ
「……ポスト? から?」
部屋の隅に置いてあるこのポストと云うより唯の木箱から何かが落ちた音が聴こえてきた。
「ええと、――これまた白い箱だな」
セティ様は白が好きなのだろうか?
そして箱の中には――
白い手紙「1」
戦闘指南書(特別版)「1」
緑のカード「1」
白い手帳「1」
白いボールペン「1」
白いハンカチ「3」
白いブラシ「1」
ホワイトアスパラ「5」
何なのだろう、この白尽くし。そして野菜……。
戦闘指南書とやらはとても助かるけど。
「考えるより手紙見た方が早いな」
『こんばんわ。必要になるであろうものを執事神のセバスとメイド神のミランダの2人と考えましたよ。戦闘指南書は私達が書き直した物です。白いカードは神獣のご機嫌度です。白が幸せ、緑がリラックス、青が悲しい、赤が怒り、黄が警戒、黒が怖い、この様になっています。あと、神獣に手入れはいりませんが、ブラッシングすると喜びますよ。最後に、ホワイトアスパラは、私が栽培した採れたてですよ。明日から修行頑張ってくださいね』
執事神とメイド神か、本能が会いたいと言っている……いずれ会えそうだけど。
「――外も暗くなってきたしそろそろ夕飯の準備を――切るだけだったな……」
なんだか悲しくなった……
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「――よし、いただき(バシッ)ん? ああ、ごめん、重さに慣れすぎて忘れてたわ。ハハハ」
「……」
ずっと頭に乗せてたうさぎを膝の上に乗せる。
「んー、そうだな名前を決めよう。――よし! ユキでいいか?」
「……」
「無言は肯定ととっていいな?」
カードは白くなってるし、いいってことだな。
「じゃあよろしくな、ユキ」
「……」
「今度こそ、いただきます」
今日の夕飯は切ったら白かったあの実とホワイトアスパラだ。
見た目には少々、いや、結構物足りなさを感じるが、それはこの実の味しだいだ。
では早速――
「――うん、美味い、美味いんだけど……何かなぁ……」
味は確かに美味しい。でも足りない、何かの肉の味はするんだが冷たいせいでなんとも残念な……
「これが15年は流石に辛いかも……」
俺はここを15年間ここを出られない。
いや、出ようと思えば出れる。でもここを出たら魔除けの効果が無くなるらしい。この家の説明書に書いていた。
ある意味これも修行だろうな、精神の。
「このホワイトアスパラはどう何だか」
神であるセティ様がくれた物だ。日本でも、ホワイトアスパラは食べた事があるが、これはどうだろうか。嘆きの実の二の舞にならないといいけど……
「――ははっ……まじか、これまじなのか、まじなんだよな?」
やばい、語彙力が無くなってしまうくらいにはやばい。何がやばいって? やばいんだよ。だってこれ――
「アスパラなのに今まで食べた物の中で1番美味いんだけど……」
それこそさっき食べた木の実とは雲泥の差で……。
コトンッ
まさかのアスパラの味に唖然としていると、またポストに何かが届いたらしい。
恐らくこのアスパラの事っぽいし先に見てみるか――
ルイ「ユキって弱そうだよな」
ユキ『(むっ)』
ルイ「頭撫でろって?(なでなで)」
ユキ『(そいっ)』
バシンッ
ルイ「~~~っ。何が起きた!?!?」