俺と学校と妹と
「バカ兄近づかないで」
「はいはい」
そう言われて俺は距離をとる。妹とはどうせ同じ高校に通って同じ道を通る訳だが別に指摘したところでどうにもならないことはすでに経験している。近づくなとか、こっち見んなとか言われながら一緒に歩いていると後ろから声をかけられる。
「今日も仲がいいね」
その声の持ち主は俺達兄妹の幼なじみにして俺のクラスメイト、長月千紗。昔からの腐れ縁ってやつで俺達兄妹と仲良くやってくれている。こいつも妹よろしく顔も整っているしわりと学校では人気が高い。胸は⋯まだ成長途中なんだろう…
「紹介ありがと。でも胸はセクハラだよ」
なっ、こいつ俺の思考が読めただと…
「ちさ姉、このバカ兄と仲いいわけないじゃないですか。この変態がどーしても一緒に歩きたいって喚くから…」
「へー、ゆうくんそんなに妹と歩きたいのかー」
「そんな訳ない、ただ通学路が同じなだけだ」
そんな会話をしながらいつも学校に登校する。
「そういえばゆうくん、この前生徒会長に呼ばれてたよね?どうしたの?」
「ん?ああ、用はまだ聞いてないんだが今日生徒会室にきてほしいそうだ。」
「バカ兄変態過ぎてついに生徒会に目つけられたんだぁ。いい気味」
なんだかんだ話していく内に学校に着く。公立の学校だが、わりときれいで近所ではそこそこの進学校だ。そんな学校に俺達は通っている。
玄関に入ると桜は友達のところに行った。
「はぁ」
「朝から大変だね」
「ほんとにあいつの性格はどうにかならねーかな」
「でも兄妹仲よくていいじゃん」
「どこが仲いいんだ」
「だって喧嘩するほど仲がいい、って言うじゃん」
「喧嘩というか一方的に俺が嫌われてる気がするがな」
他の人には妹の性格のことは言ってないので幼なじみの千紗も知らないと言うわけだ。妹も俺以外がいるときは絶対にあんなに甘えてきたりはしないので、別に言う必要もないと思っている。
(むしろこんなことをどうやって伝えればいいんだよ…)
玄関で靴を履き替えているとまた後ろから声をかけられた。
「よっ、今日も美女2人と囲まれてご登校とは…ずりーぞ変われ」
「朝からディスられたいならいいぞ」
「全然構わない!むしろ俺をディスってくれ!そしてその後長月さんが優しく慰めてくれる!あぁたまらない」
「お前そんなやつだったのか⋯。お前に女子を近づかせちゃダメだ…」
「もしかしてゆう、俺が他のやつといちゃつくのを嫉妬しているのか…はっ、まさかお前俺のことが…」
「別にお前のこと何ともおもってねーよ…」
「いや、せめて友達とかー」
「ないない」
「ひどいっ!」
朝からとびっきりの変態的な会話をしてくるこいつは 千歳雄馬、高校に入ってから俺と仲良くしてくれている変態だ。
「で、お前生徒会長に呼ばれたんだってなんかしでかしたのか?」
「なんでそーなる⋯」
「だってうちの生徒会長評判だぜ、容姿端麗で、勉強もできるし、運動もできる。だけど性格は冷静沈着でまさに鬼のようだって」
「そんな噂があったのか⋯」
「あの目、鋭く冷たいのに、そこがまたいい!」
「うわ⋯」
「俺としてはお前が生徒会長にお仕置きされんのがすっげぇうらやましい」
「お前大丈夫か⋯?」
さすがにここまできているとさすがにやばいかなと思い心配していると、前から生徒会長が通る。
「おっあれ生徒会長じゃねーか。」
「あぁそうだな」
生徒会長がコツコツと歩くたび周りが静かになり、行く先には生徒がいなくなり道ができている。ここまでオーラを放って歩く人がいるんだな⋯と思い、なんとなく横を通り過ぎようとすると生徒会長が近づいてきてこっそり俺に話しかける。
「おはよう、ゆうくん。放課後楽しみに待ってるよ」
そう告げると生徒会長は俺から離れまたどこかへ歩いて行った。
(何が楽しみなんだ⋯?)
こんな一言を耳元で言われ不安しか感じないまま、今日もまた学校が始まった。
やっと物語が始まっったと思います。
ここまで長く待ってくださっていた読者の皆様お待たせしました。
この濃いキャラたちの青春を皆様に楽しんで読んでいただけたら幸いです。
誤字、脱字、感想などぜひ言ってくださるとうれしいです。