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5-16 続大半島戦争 ハコネ頑張る

「ファイアボール!」


 物陰から姿を見せると同時に撃ち込んだ我の魔法は、エドの魔法防壁に阻まれて有効とならず。うっかり魔法防壁を解いていれば、2人はやれると思ったんじゃが。

 すぐさまフジサワとヒラツカが防壁から抜け出し、我に魔法を放つ。


「「ホーミングフレイムアロー!」」


 2つの炎の矢に襲われるが、それらは鎧に弾かれ、来た方向へ。追尾効果が生きているので、方向転換して我の方へ向かってくるが、同じ事の繰り返しで行ったり来たり。


「うむ、何ともない!」


 この魔法は、追尾効果が生きている分、飛び続ける間魔素を消費するという弱点がある。普通はすぐ相手に当たるのでそれまでだから知られて居なかったが、僅かな魔素の減少も測る方法でアリサが確かめたらしい。いつまでも飛び回っては鎧に跳ね返される魔法は、術者の魔素をいつまでも吸い続ける。魔素の補給が得られぬこの場所で、魔素を失い続けるが良い。

 その点、我の使うファイアボールは、初級魔法だけあって、大した消費でない。


「ファイアボール!」


 再びエドへ魔法を放つが、これも当然阻まれる。じゃが、これもサクラの策の内じゃ。警戒して魔法防壁を解くことが出来ぬ。




「エドさんがお供を連れて来たことを利用するんだ」

「ほほう」


 先程の作戦会議でサクラが考えた作戦。

 エドがお供を連れていなければ、魔法防壁を貼る必要がなく、エドも全力を攻撃に傾けられる。それでは鎧に守られて一撃必殺は免れるが、ダメージは大きい。そこで、魔法防壁でお供2人を守らなくてはならない状態を作るために、あえてお供2人を倒さない。




 追尾魔法も役に立たず、さらに上級の魔法も放って来るが、便利な鎧のお陰で跳ね返す。


「あとは、いつ奴らの魔素が枯渇するのか、じゃな」


 すると、1つの反射された炎の矢が旋回して我に戻らず、飛び去った。


「おっ!?」


 初めてのパターンだが、追尾が切れたという事は……


「プロミネンス! あれ、出ない!」


 ヒラツカの魔法が発動しない。最初に魔素が切れたのは奴か。


「どうしました?」

「分かりません!」


 これもサクラの予想通り。女神は魔素の供給量が大きいため、魔素の枯渇を経験することがない。我はここで飛びまくってその貴重な経験をした第一人者なわけじゃが。


「魔法が使えない。そんな事が…… 」


 続いて、フジサワにも同じ症状。


「2人に何をしたのですか!?」

「さあ、のう。我は何もしておらぬ」


 ここでついうっかり話してしまうと、エドを魔素切れに追い込めない。


「さあ、ここからじゃ。ファイアボール!」


 我に場合は、エーテルが尽きるのが先になるはずじゃが。




「もしや、これは魔素切れ?」

「私達にそんな事があるとは思えない」

「でも、それなら納得できる。もし、ここの遺物は魔素補給を遮るのだとしたら?」


 気付きおったか。それにしてもエドの魔素はいつ切れるんじゃ。なんという馬鹿容量。


「それでは私も魔法防壁を…… 切る訳には行きませんね」

「いいえ、切って下さい」

「私達のために、エド様まで魔素切れなんてことになっては行けません」


 さて、気付かれたからには仕方がない。あとはエドの魔素切れまで、ひたすら凌ぐか。


「私とヒラツカは、降伏します」

「ほほう」

「このまま戦っても、足手まといになりますから」


 降伏したからには、相手方の捕虜という扱いになる。


「では、フジサワとヒラツカは、戦いから離脱ということじゃ。勝敗決まるまでピラミッドに登って、降りて来るでないぞ」


 これでここに居るのは、我とエドのみ。


「勝負をつける時じゃな」

「まさかここまで苦心するとは、うまい作戦を考えましたね」

「使えるものは全て使う。それが持たざる我らのやり方じゃ」


 うむ、格好良い。


「では再開じゃな」

「とは言いましても、私の魔法も跳ね返されてしまいそうですわね……」

「じゃろうな」


 だから、ほれ、撃ってまいれ。


「それでは、行きますよ。貴方を倒して、最後にサクラさんを倒しておしまいです!」

「うおっ」


 魔法を撃って来るかと思ったら、物理的に来たか。これは予想外じゃ。

 予想外の一撃を喰らい吹き飛ばされるも、飛行魔法で姿勢を制御し着地する。


「お主、そんな戦い方もするのじゃな」

「初めてですが、レベル差があれば物理で殴ればなんとかなる。昔の偉い人も言ってました」


 こいつの言う偉い人って創造主の誰かじゃろう。この姫女神になんて事を教えて行ったのじゃ。

 どこぞの姫様のような華奢な姿じゃが、見た目と実際の力は異なる。


「さあ、これからです!」


 兎に角、こいつの攻撃は速く、重い。敏捷性も威力も、レベルがしっかり反映されたものになる。

 とは言え、それを覆してみせよう。


「とりゃっ!」

「ぐっ」


 拳を我に撃ち込まんとする腕を掴み、投げると同時に飛行魔法で追撃して空中で上に蹴り上げる。すぐさまその上に飛び、今後は下に蹴り落とす。


「思ったより効かんのう」

「あなたよりは丈夫に出来ていますので」


 エドはすぐに立ち上がりまた向かって来る。しかし、当てられず腕を取られまた投げられる。


「なぜ当たらないの!?」

「力があろうと、当てられぬお主に何が出来よう。我はしばらく人の身にあって、師匠に武術を習ったのじゃ」


 速度も腕力もレベル差で勝てないが、身のこなしは我の方が上。当たらなければ何という事はない。


「おっと!」


 空中に投げた所で、風の魔法で姿勢を制御し、迎撃された。こいつ、感を掴み始めておる。技術を覚える速さもレベルが関係するのか。これは長くは戦えぬな。


「これなら、どうだ?」

「うぐっ」


 直接的な攻撃魔法は跳ね返せる。じゃが、我以外に対して起こす魔法での変化は止められない。我の動こうとした先に土魔法で壁が作られ、判断が遅れた隙に一撃を受けた。

 まともな一撃を喰らい、鎧が大きく凹む。魔法に圧倒的に強い鎧じゃが、物理攻撃にはそこまでじゃないのか。


 そもそも、我の攻撃は殆ど効かぬ。ユクシでファイアボールも効かぬ。倒す術はあるのか?


「もう1つ!」


 あ、壊れた! 鎧よ、さらば。もうかくなる上は……


「降参じゃ!」

「えっ!?」




 我も捕虜として、同じくピラミッドに並ぶ事になった。


「あとはエド様とそちらのサクラだけか」

「ところで、そのサクラはどこに?」

「上の連中を倒したのじゃ。上に居るに決まっておろう」


ーーー


 ピラミッドから、3人が私を見守る。距離は遠いから声が届くほどではないけれど、魔法の光は見えそう。

 最後の1人、サクラさんはこの上に居る。そこまで登らなくてはいけない。


「サイクロン!」


 竜巻を起こして、それに乗って天井を目指す。私達が降りて来た入り口は……どこ?

 竜巻で上昇する際にずれたんでしょうか? この大きな天井に1人通れる程度の穴なので、見失ったのでしょうか?


 真下を見る。ちゃんと降りてきた時に目印になったピラミッド状の何かがある。という事は、場所は合ってるという事。つまり、穴は塞がれた?

 それならば、その穴を開けて通るまで!


「ルミニス!」


 光る槍が現れ、天井に突き刺さる。だが……


「きゃっ!」


 自分の放った魔法が反射して、それに直撃しそうになった。下の3人に見られてなかったかな。恥ずかしい。

 ここの材質はあの鎧と同じで魔法を反射する素材。という事は、鎧と同じ方法で対処できるはず。


「てやっ!」


 体当たり。地に足が付いてないので、体力じゃなく竜巻の勢いで飛んで行っての体当たり。期待通り、ヒビが入る。


「重さが足りないですが、速度を上げれば! もう1回!」


 再びの体当たり。ばらばらと金属片が落ちて来る。これなら行ける!

 そう思ったら……


「そんな!」


 すぐさま、再生を始めてしまう。再生?

 これは遺物。サクラさんの管理下にある遺物だとすれば、維持コストを支払って、再生出来てしまう。



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