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5-5 続大半島戦争 空想の空間

「あれ? 特に変わりがない?」


 メガネを掛けても、特に視界が変わらない。屈折させてあるってのは?


「魔法を使う時のみだ。魔素の感知で変化する様にしてある」

「じゃあ、ファイ」

「室内でやるな!」


「では改めて、ファイアボール!」


 おお、狙い通りに飛ぶ! これだけで魔法では戦力外だった僕が戦力になるのだから、戦力2倍になったとも言える。来た甲斐があった。

 いや、2倍は言い過ぎか。僕の使える魔法は、未だに初級の物だけだし。


「上手く行った様だ。さすがは私の発明品」


 うん、これは褒めていい。魔素を感知して変化って、見た目ただのメガネって思ってごめんなさい。ハイテクでした。




「さて、部屋に戻って、模型に話を戻そう」


 歩きながら考える。容器があって頑丈で運びやすい形…… 


「これならどう?」


 習った魔法で、机の上の粘土をこね回し、思い描いたものを作り出す。


「これは…… 球か?」

「タマ? ネコ型ってところまでは合ってるけど」

「ネコ?」


 ネコ型、それは、国民的アニメの登場キャラであるところのロボット。あの頭と体が2つの球体というのは、使用前エーテルと使用後エーテルの容器として最適。 


「これは、ド」

「却下」


 却下された。




 普段は僕の部屋の中に置いて、戦いが始まる前に取り出す。その後は僕が持ってる積もりだった。レベルは高いこの体、多少大きく重くても、なんとか扱える。ただし、大きいという事はその魔道具に被弾の恐れはあるから、壊れにくく頑丈にする必要がある。頑丈に分厚くすると、中身は減る。容量・強度・運搬の全てを満たすのは難しかった。

 ネタ探しにパソコンを使おうと、マリを連れて僕の部屋に移動すると、ハコネを発見。一仕事終えて来たみたいだ。

 ハコネはあの後、戦場になった水田を復旧していた。本気でコメを収穫したいらしい。この地域は二期作が出来るくらい温暖だから、ちょうど2作目相当の作付けに間に合うのだ。

 そういうのって、異世界転生した日本人が「どこでもコメを!」ってやるものじゃないの? 僕じゃなくてハコネがやるのは、その辺どうなのだろう。


「ドラム缶? お主は駆逐艦か?」


 ()で始まり() で終わる5文字のアレ(・・) が、ハコネにはドラムかんにされた。ちなみに、ハコネはこの世界に無いドラム缶を分かるほど、この部屋で情報を得まくっている。某ゲームのせいだ。




「だったら、この部屋を魔道具にしたら?」

「え!?」


 メガネを作ったあたりで離席してたアリサが来て、1つ目のアイデアが僕らから出なかった発想。


「容器2つは部屋のどこかに置いて、扉に繋ぐ。使う時は、サクラさんがこの部屋を呼び出して、扉に手をついて魔法を使えば」

「容量は申し分ない。強度は消してしまえば関係なし。運ぶ必要も無い」


 マリも納得のアイデア。

 部屋の扉は出し入れ自由自在。その扉が魔道具で、容器そのものは扉の向こうに有れば、破壊は困難。




 作業はマリとアリサでも1日掛かるとの事で、その間に箱根に来た。ハコネの記憶が確かなら、ここに今回の魔道具に役立ちそうな素材があるそうだから。


「昔、我がダンジョンを作ってひと儲けしようとした時の事じゃ」


 オダワラさんのダンジョンが信仰力集めに役立つのを見て、ハコネも真似しようとしたのは以前聞いた。ハコネがダンジョンを作ろうとしたのは、芦ノ湖の北。人が来ない奥地に作ろうとしたのもそもそもの間違いだけど、挫折の理由はほかにもあったらしい。

 ハコネがダンジョンを掘って行くと、とても頑丈な埋蔵物がありそれに阻まれて掘り進めなかったそうなのだ。


「壊せぬ訳では無いのじゃが、とても頑丈で厄介じゃった。そいつのせいで、計画は中止にしたのじゃ」

「それが今回使えるかもしれないと」


 その頑丈で厄介な埋蔵物を、扉に使おうという事らしい。秦野で作ってる扉は、僕の部屋の元の扉を外し、そこに取り付ける予定。敵の攻撃に当たりにくい運用とは言え、多少当たっても耐えられるようであって欲しい。


「叩いても切っても容易に傷付かない頑丈さ。魔法の攻撃を受け流す性質」


 マリによると、空気よりも魔法の通りが良い金属が存在し、それは魔法を反射しやすい。光がある角度で水中から空気中に出る時に全反射するのは空気中の方が光が通り易いから。同じように魔法を通しやすい材質は入射角次第で魔法も全反射するそうだ。一例がミスリルと言う。ザッツファンタジー!


「その上、再生するのじゃ。我が領域にありながら、我の力を用いず再生する遺物」


 鉄道の遺跡がそこの女神により維持されるように、普通は誰かが直さないと壊れた物は壊れたまま。でも勝手に直る材質と言うのもあるらしい。これもファンタジーだ。


「で、それが、これね」


 ハコネが掘って放置したダンジョンの最深部。壁面は岩なのに対して、床面は照明魔法を反射して銀色に輝く。


「試しに、ファイアボール! っと、危ない」


 僕が床面に放った火球は、撃った僕の方に反射されて来た。


「ということは、これは?」


 アリサに習った工作魔法で切り出し…… ちょっと傷がついた。そして反射されて、僕の服が切り裂かれる。危ない。


「厄介じゃろう? 我は昔、これを頑張って壊し、堀り進もうとしたのじゃ。ところが!」

「どうだったの?」

「この金属を壊した下には、次の層があったのじゃ。それを壊してもさらに下の層と延々と続き、20層でその日は諦めた。翌日続きをと思ったら、なんと壊した部分が元に戻っておったのじゃ」


 箱根の地下になぜそんな物が。

 この世界の創造主が、日本に合わせた形で大陸を作った世界。鉄道の遺跡も東海道線や横浜の地下鉄はそのままの位置にある。横浜の地下鉄は、計画だけで作られなかった空想の路線もヨコハマさんの手で作られてたけど。


 箱根の地下にある、空想の物?


「ちょっと思い当たる事がある」




「何をするかと思えば、アニメの資料集なんぞ見て」


 部屋に戻り、パソコンで検索。とても古い作品だけど、有名な奴だからちゃんと見つかる。位置は一致。全てを越えた下に、それはあるか?


「ハコネ、掘ってみよう」




 ハコネが諦めた20層というのは、惜しい所まで来ていたんだ。あと2層壊せば、その先にたどり着けたのだから。魔法は跳ね返すので、物理的に破壊していく。それも困難だったけど。


「ん? 空洞?」


 ネットで調べたのとちょっと違うけど、空想で補ったのかな。22層目を破壊すると、その下は真っ暗な空洞。


「ハコネ、この下はきっと広い。飛ぼう」


 僕が先導して空洞を飛んで降りて行く。空洞はあまりに広大で、僕らのライトの魔法では全体が見えない。それでも下にある物を確認するために降りて行く。底は土になっていた。

 広い空間には、水が溜まってる場所やピラミッド型の建物らしきもの。間違いない。


「ハコネ、あとでここの元ネタ見せるから」


 今日分かった事:この世界の創造主さんは、アニメもお好きらしい。


最後の空間の元ネタ、出典によって形状が違ったり、その上の装甲板が33層なんてのもあったり。装甲板は空間の壁とは別のはずですが、ここは訳あって壁そのものが多層の装甲板としました。


元ネタはこちら。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3


夏休みで余裕あったので、貯金が出来ました。8/15にも次話を更新します。

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