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女神様が願いを叶えてくれるというので、僕を女神にしてもらった@ターン制な異世界の日本  作者: いずみ
3章 女神入りハーレム?パーティーが征く(Turn843)
33/215

3-14 失われた僕を探して パラダイムシフト

8/19 小改変がちらほらあります。

「これは凄い」

「電車だ。懐かしい」


 この世界では珍しい列車。折角だからマリにも見せようかとハコネに出してもらった扉から秦野に戻ったら、マリの部屋にアリサが来ていたので、2人とも連れて来た。アリサは技術の進んだ異世界から来たのだから電車は当然知ってる。


「私は仕組みを見て来よう。アリサ、説明できそうならついて来てほしい」

「分かった」


 マリとアリサで色々作ったようだけど、エレベーター以外乗り物が無かった。この電車が参考になるかな。




 マリとアリサは電車の下を見ながら何か議論をしてる。電車の下に潜ろうとしたのは、危ないからやめさせた。今も動かそうとしてる女神がここにいるし。


「これほど大きい物を動かすとか、女神の力は凄いですね」

「う、うむ、そうじゃな」


 ハンスの問いかけにハコネの切れの悪い返事。ハコネは動かせなかったから。僕が鉄オタ女神にここに来た経緯を一通り話して情報収集している間、ハコネは勝手に頑張ってたけど駄目だった。


「ハコネさん、動かせなかったでしょう?」

「な、なぜそれを」


 しっかりばれてた。僕も気付いたから当然だろう。ハコネが妙に気合の入った顔をしてる間、車両が小さく揺れてたし。


「動かして見せましょう」


 動かすと言うから、置いてきぼりにならないようにマリ達も呼び戻す。ヨコハマさんが運転台のハンドルに両手を置くと、車両がゆっくり後方に動く。


「ここからしか動かせない?」

「ここでだけ、特別なことが出来るの。ここには魔力を増幅し、より大きな出力を出す魔道具が組み込まれていて、1の力を与えれば10の力で走ってくれるわ」

「そんな。まさか…… く、詳しく!」


 マリが食いつく。


「その増幅が出来れば、私達も飛べるかもしれない!」

「そうなるでしょうね」

「でもそれ、おかしくない? 増幅分で使われる魔素は、どこから来るのよ?」

 

 マルレーネは納得いかないらしい。何も消費せず魔法が使える事が無い様に、威力に見合った魔素が消費されるのだから、その分もどこかから魔素を得ないと辻褄が合わない、らしい。


「その分の魔素は、貯めてあるのを使ってるわ。ほら、これ」


 運転台の床の扉を開くと、そこにはキラキラした液体が。


「エーテルが、こんなに…… それもハイエーテル」


 エーテル?


「エーテルってのは、魔素が溶け込んでる液体なの。鑑定の結果、これはその中でも高密度に魔素を溶かし込んだ、ハイエーテル。この量を買うとすれば、ちょっとした商会が買えるくらいお金が要るわ」


 RPGの高級MP回復アイテムをタンクいっぱい入れた感じか。


「こんな高い物を使ってまで、この列車を走らせているなんて……」

「まあエーテルは作り放題じゃからな」

「そうなの!?」


 マルレーネとしては、エーテル使い放題と言われたら魔法を出し惜しみなしで使い放題に出来る。 


「それについては後でとして、私としてはエーテルを使ってでも良いから増幅の方が知りたい」

「これが魔道具よ」

「パイプ?」


 逆U字型のハンドルと思っていた部分は細長い魔道具の一部で、両端はそれぞれ別のタンクに繋がってる。


「この中を流れて来たエーテルが、握った所で魔素を消費され、魔素が空っぽのエーテルがこっちのタンクに行くの」

「なんだか燃料を使って動いてるみたい」


 科学文明の知識を持つアリサと僕からすれば、燃料と言うと理解しやすい。高エネルギーの液体が入り低エネルギーの液体が出る。


「この車両に魔道具を組み込んだのは、だれじゃ?」

「私に決まってるじゃない。魔道具作りも鉄道の再生も、全部私が1人でやったのよ」

「作れるの!?」


 いつもちょっと尊大気味のマリの口調が、年相応の少女風になってる。こっちが素なのか。


「作り方、教えては……」

「何か交換になるものがあれば良いわよ。この鉄道と同じくらいの価値があるものと、なら」




「サクラさん、ちょっとお願いが」


 マリが僕の部屋で見たある本。それが良いのではないかとの事。あの部屋の物はこの世界で得られないものだから失いたくは無いのだけど……


「これなら…… いいかな」

「感謝します。得られた成果はちゃんと渡しますので」


「これならどう?」

「何かしら…… もしかしてこれは!」

「時刻表です」


 鉄オタ気質があるようだから、これが気に入るのではないかと思ったマリのアイデア。僕にとってもこの世界に居る限り使い道がないから、渡しても問題ない。


「創造主の故郷の鉄道の事が書いてあるなんて、天界からもたらされた宝にも劣らないわ!」

「それを気に入るなら、あれも良いかも」

「何? ぜひ見せて!」


 ヨコハマさんを僕の部屋へ。パソコンを付け、動画サイトにつなぐ。検索キーワードは、横浜市営地下鉄で。




「ヨコハマさん、帰らないんですか?」

「…………」

「ハコネが飛ぶから、横浜へのドアは無くなりますよ?」


 ヨコハマさん、あの後そのままお泊りでネットの鉄道動画漁り。翌朝も帰らないのと言うけど、部屋に放置する?


 僕のドアはアリサとマリの帰還のために秦野に設置のままにする。そうなるとハコネに熱海へ飛んでもらい、そこへハコネ以外の3人は移動する。つまりハコネのドアは本牧駅?から熱海に移動してしまうけど、ヨコハマさんは構わないらしい。まあ僕らが飛ぶのに使う魔法を習得してるから、いつでも飛んで帰れるのだろうけど。という事は、気が済むまでずっとここに居るのかな。




 一行は秦野にあるマリの研究所へ移動。熱海に向かうハコネを見送った後、マリとアリサは魔法増幅魔道具の制作を始め、マルレーネとハンスも実験に協力してる。2人も飛びたいのか。


「サクラさん、エーテルを作れませんか?」

「僕は作り方を知らないんだよね」


 ハンスは魔法については姉に一歩譲るため、あまり手伝えることが無い。そのため、いわゆるパシリである。

 エーテル作成はハコネも知ってる様だった。でも、女神自身は使う必要が無いほど魔素の回復が早いから不要。そもそも魔素枯渇で苦しむ状況が無い。


「ヨコハマさん?」

「はい、これ」


 作り方を教えるのも面倒なのか、手持ちのエーテルを渡してまた画面に向く。それを持って、ハンスとマリ達の様子を見に行く。


「ハイエーテル…… 実験に使うにはもったいないわね」

「いや、最初はこれが良い。慣れて来たところで、質の低いものに置き換えられるか試して行こう」


 マリは魔法エンジニアの目。アリサはメカニカルな部分を担当し加工する。


「このタンクにエーテルを入れて、試作1号、完成!」


 出来た魔道具試作1号は、太さ3センチくらいの棒と両端にタンク。ダンベル?


「こっちのタンクにエーテルを入れ、真ん中を握って使う。使い終わったエーテルはもう片方のタンクに回収」


 なるほど、合理的なデザイン。


「じゃあ、飛んでみましょうか?」

「いや、いきなり飛ぶのは危ない。まずは、身の危険が無い魔法で試すとしよう」


 町の外へ。一昨日飛ぶのを試した場所へ。


「最初はそれを使わずに何か試すが良い」

「それじゃあ、ファイアボール!」


 大きな火球がマルレーネの持つ杖から放たれる。マルレーネは結構な魔法の使い手なので、魔物との戦いで一撃必殺出来そうなレベル。


「じゃあ次。杖の代わりにその魔道具を持つ。ちょっと持ちにくいのは試作品だから我慢して欲しい」

「これで魔法は普通通りに使うの?」

「まずはそれで」


 緊張の瞬間。もしも暴発したら?


「暴発の恐れは?」

「恐らく、無い」

「いえ、念のために、みんな下がってて。ヒートバリア!」


 知らない魔法だけど、熱を防ぐのかな。僕らは少し下がって様子を見る。


「よし、やってくれ!」

「ファイアボール!」




 結果は、マルレーネは無事だけど、着弾地点にクレーターが1つ。


「推定威力100倍というところか。飛翔用はもう少し出力を絞ってみるか。エーテルも只ではないしな」




 この魔道具開発が世界を変えてしまう事になるが、それはしばらく先の話。


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