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女神様が願いを叶えてくれるというので、僕を女神にしてもらった@ターン制な異世界の日本  作者: いずみ
3章 女神入りハーレム?パーティーが征く(Turn843)
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3-9 失われた僕を探して 異世界日本人はルールが違う

 秦野の町はどこが外との境か分からない。柵も無ければ、城壁も堀も無い。そのまま町に入る。


「以前は柵があったと思うのじゃが」

「あれは撤去しました。もっと便利な物が出来たので。皆さんが町に入れるように手続きをしに行ってきますので、待ってて下さい」


 そう言うと、1人で先に行くアリサちゃん。

 ハンスはアリサを待つ間、通りにある建物を見に行った。


「マルレーネ達は来た事は?」

「ここには来てないわ。ゴテンバで師匠の所に居たり、ミシマに行ったりと、主に西に居たので」


 彼らの10年間についてはあまり聞いてないけど、強くなるために頑張ったとは聞いてる。御殿場にもまた行ってみようか。ハコネもカレーが食べたいだろうし。


「この町、おかしい。建物に誰も居ない。蜘蛛の巣だらけ。まるで滅んだ町みたいだ」


 でも戦略ビューで見ると、青い点が多数ある。人がいるみたいだけど?

 町に少し入ったところまで行ってみると、確かに誰も見当たらない。


「ハコネどう思う?」

「戦略ビューにはマーカーがあるのじゃ。どこかにおるはずじゃが…… 下か?」


 そう言って地面を見る。そうなんだろうか。


「言わなくても気付くってさすがですね。そう、地下に町があります」


 アリサちゃんが戻って来た。黒髪で尖った耳の少女を連れて。


「良くぞ参られた! えっと、お父さん?」


 なぜかハンスが挨拶される。あ、この一行で見た目が男は彼だけか。


「マリ、詳しい事はうちで話そう。ちなみにお父さんはその人じゃなくて、こっちだから」

「お父さんが、女!?」




 ハコネの事情をアリサちゃんに教えた程度に説明すると、マリテヘダさんは落胆気味だ。お父さんであって欲しかったのかな。

 地下への入り口として階段に連れて行くのかと思ったら、路地裏の公園のような場所に行く。そこには円形の石畳がある。


「さあ、この円の中に入ってください」


 アリサちゃんの案内で皆でそこに入る。皆が入り終わったら、アリサちゃんが円の周りに図形を書き足していく。これって魔法陣ってやつ?

 テレポートの魔法とか発動するの?


「さあ、行きますよ」


 すると、足元の石畳が沈み込んだ。


「「「「えっ!?」」」」


 数mを降りる6人。エレベーターの様だ。衝撃も無く乗っていた地面は地下の部屋に着地する。


「さあ、降りてください。戻しますので」


 全員が下りると、石畳がまた持ち上がって行く。


「どうでした? 驚きました?」

「まさか動くとは、びっくりした」


 地下街の様な通路を進む。床や壁は古い学校を感じさせる木造。天井は白く光る板が覆っている。左右に入口があり、看板には何屋か示す絵がついている。町の人々はアリサちゃんたちよりも耳が長い明確なエルフ。


「ハコネが以前来た時はここじゃなかったの?」

「地下に引っ越したてまだ2年です。ハコネさんが見たのはまだ地上に町があって、魔物に襲われたりなんてことがあった時代ですね。今は地上には誰も住んでいません。変なのが住み着かないように、壊した方が良いと思うんですが、残したいって人が多いのです」


 アリサじゃない方の子、マリテヘダさんだっけ。彼女が何か言いたそうにしてる。


「良く地下にこれほどの町を作ったものじゃな」

「マリが持ち込んだ魔法が活躍しました。照明やエレベーター、目立たないところでは空調や防災設備はマリの魔法があったから実現できました」

「そう、私の手に掛かれば、この様な魔法の道具を作る事など朝飯前。ハダノの賢者マリテヘダとは私の事だ」


 バサッと黒いマントを翻して語る。なんか痛い子な感じがするけど、自称じゃなく本当に賢者と呼ばれているらしいから、痛賢者。


「女神より、異世界から魔法をインストールする力を与えられた私は、この世界を新しい時代に導く運命があるのだ!」


 そうだった、魔法がある日本から来た子って聞いてたんだった。


「その他の世界ってのは日本だと聞いたけど」

「日本を知っている? あなたも転生者か?」


 違う日本から来たらしいことを伝える。アリサちゃんと話した時の様に。


「概念としての日本は無数にあるのだろう。あるいは平行世界か。同郷でありながら異郷。そこに居た人々が、世界に集まると言うのも面白い」

「今のところ、ハコネに関係する人ばかりだけどね」


 遺伝的な意味での僕の子供が、転生者の受け皿になる。これは何か理由があるように思う。この世界に彼女たちを転生させたと言う、ハダノの女神様に聞いてみようか。

 そして僕の子供全てが転生者の受け皿として働くとすれば、行方不明の僕の体は、転生者を次々と呼び込んでしまうかもしれない。




 案内されたのは、アリサちゃんの家。


「アリサ、沢山の人を連れて来たわね」


 出迎えてくれた眼鏡のお嬢さんは、アリサのお母さん。ということで、まずはハコネに色々話をしてもらおう。


「しばらくぶりじゃ。(われ)はハコネ。姿が変わったが、分かるかのう」

「あら、本当に同一ね。お久しぶり。途中で性別が変わった人族なんて初めて見た」


 えらくあっさり。聞くと、彼女の眼鏡は鑑定の効果があるそうだ。これもマリテヘダさん開発。


「さて、我が家に来てもらったのは、マリ、どうぞ」

「左様。まずはハダノ来訪を歓迎する。私はこの町の3賢者の1人。アリサに父ハコネを探してもらったのには訳がある。ハコネが残した子、私とアリサの事だが、2人とも異世界からの転生者だ。私は異世界の魔法を持ち込んだし、アリサは農業に関する知識で貢献があった。その様に、転生者が増える事は、大きな利益がある」


 まあ、それは分かるけど、そこから導き出される話が予想付いてしまった。


「ぜひともこの町で、沢山の子を持って欲しかった」


 見た目は少女、肩書は賢者。そして中身はこんな事を言う子。


「それにハーフが転生者なら、4分の3だったらどうなるのかにも興味がある」


 4分の3、ハーフと100%の子。って事は……


「その実験台に名乗り出る気で居たんだが」


 お父さんとの子供が欲しいの、って事? この子、とんでもない。


「しかし以前のハコネの体は行方は分からない。一行はその体を探す旅の途中だとか」

「そうじゃ。勇者の力を持つ体じゃ。悪用されては溜まらん」


 僕らは頷く。


「無事に見つけたら、ここに連れてきて欲しいのだが」

「その目的は?」

「さっき言った通り」

「なら駄目」


 なぜ駄目なのか? 子供に劣性遺伝がどうとか色々理由は付けられてるけど、そういうのを禁止する文化で僕が育ったからだ。この世界も人族は近親婚を禁止してるようだけど、エルフは違うのだろうか。


「遺伝病については私が回避させます。魔法に私のバイオテクノロジーを組み合わせて、非破壊で遺伝子を解析する方法を作りましたので、危険な因子の重複は排除します」


 痛賢者の陰で目立たなかったけど、アリサも痛科学者マッドサイエンティストだったのか。でも健康上の問題が無く、彼女らの文化がそれを妨げないなら、駄目という理由は無いのだろうか。


「それはともかく、他の転移者が見つかれば、近親でも無く最適だ。見つけたら連れて来てくれないか?」


 どうしたものかと思うけど、そっちは特に問題は無いか。本人の意思次第だけど。




「これ、どうなって! おお、切り替わった!」


 アリサさん宅で夕食をごちそうになり、自室へ戻ると言うところで、マリテヘダさんエキサイト。僕の部屋にとても興味があるらしい。勢いに押されて、ご招待した結果が、この状態。さっきからパソコンをいじってる。


「どれだけ膨大な情報が詰まってるんだ、この機械には。外部から取り込んでいるのか? 異世界と常時接続!?」


 最初の願いが構築した情報伝達経路は、不思議な事に稼働中。


「完全に機械のみでこれだけのものが出来るのか。魔法を付け加えたら、面白い事になりそうだ」


 何かを解析する眼鏡を装備して、ケースを開けられてしまった僕のパソコンが観察されている。壊さないでよ。


「よし、これを作ろう!」

「えっ!?」


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