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女神様が願いを叶えてくれるというので、僕を女神にしてもらった@ターン制な異世界の日本  作者: いずみ
3章 女神入りハーレム?パーティーが征く(Turn843)
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3-4 失われた僕を探して 隣の危険な女神様

「ハンスと一緒に?」

「姉さんと一緒に?」


 おー、さすが姉弟。以心伝心。


「ダメかな?」

「ダメです。俺は男湯に入ります」

「なら僕も男湯かな」


 だって、さっきマルレーネに言われちゃったし。


「何を考えて居るんじゃ、お主は」

「やめてください。色々困ります」

「こう言ってるけど、マルレーネ。僕は女湯のほうが良いかな?」


 作戦通り。男湯に入れとは言えないでしょう?


「一緒に入るのは無し。ハコネさん、いやハコネも女の子として見るのはまだ抵抗あるし」

「ほれ、すぐに慣れるものじゃないじゃろ。いじめてやるな。(われ)と二人で我慢せい」


 ハコネに嗜められるのは珍しいパターン。距離を縮めるには裸の付き合いってのが定番なのにね。


--------


 その夜の、マルレーネとハンスの部屋。


「姉さんがあんなに怒ったのは、初めて見た」

「子供のころからの想いが暴走しちゃったわね」

「最初にハコネさんを好きだったって言っちゃうし」


 そのあとの衝撃で忘れて居たのに、ハンスはしっかり覚えていた。そう、暴発した私はそうと気付かず、本人の前でハコネさんが好きだと言ってしまった。


「忘れなさい!」


 でも、女になってしまったら好きじゃなくなる? まだ整理がつかない。


--------


 翌朝、ギードさんとイーリスさんにパーティー結成の報告。


「そうか。俺は良いと思うぞ」

「私もこれまでよりも安心だわ」


 二人とも大賛成の様だ。高レベル冒険者と一緒だから安心って感じなのかもしれないけど、僕は実経験は1年もないから実際は一番ひよっこ。


「龍神を倒しに行くとか上級魔族を倒しに行くなんてのよりは安心だ。無理はするんじゃないぞ」

「そういう無茶は無しで行くわ。ハコネとサクラが居れば魔族なら倒せちゃうけど」

「龍神とも魔族とやりあう予定無いので、安心せい」




 まずはハコネの冒険者ギルド登録が必要なので、小田原に向かう。何度も行き来したこの道は、温泉街に向かう人が増えているのか、轍があったり僕らが作った看板が更新されてたり、立派に維持されてる。


「女神様って神殿で会うものだと思ってましたけど、出歩くことも出来るんですね」

「そうじゃ。我以外にゴテンバも町に出て居るようだし、この前はミシマも温泉に入りに来て居ったぞ」

「女神3柱が浸かった湯とか、ご利益がありそうね」


 あ、柱か。あまりに人の姿で見慣れてるから、僕らは(にん)で数えてしまう。マルレーネもハンスもまだ人になったり柱になったりしてる。


「この女神2柱となら、いつでも入れるぞ」

「それはまだ良いですって」


 僕らが女として扱われるようになったら、マルレーネとは入れるかな。まだって言ってるけど、ハンスは永遠に一緒に入らない気がする。

 4人で小田原に向かうけど、ゆっくりペース。夕方までに着けば良いからね。


「冒険者のパーティーって、どうやって組む相手見つけるものなの?」

「そうね、同郷の知り合いでって人達は居たわね。あと、家族でってのも」

「ギード一家とかバランス良さそうだね」


 パワー系の父、剣技の息子、攻撃魔法の娘、治療の母。幼児たちは余るけど。


「男女混成ってのは多い?」

「あんまり多くないわね。長持ちしないと聞いたわ」

「愛が芽生えたメンバーがパーティーから離れたり、1人を取り合ってパーティーが崩壊とか」


 ドロドロになるのか。あっちの世界のバンド活動に似てる。まあ生身の人間だからね。そういうことはあるでしょう。でもバンドでボーカルが抜けて困るってのみたいに、パーティーで治療薬が抜けて困るなんてのもありそうだ。


「このパーティーは、(はた)から見たらハンスのハーレムパーティーよね」

「姉さん!」

「そうじゃない? 美少女3人に囲まれてるのよ」


 ハコネに飛びつき腕を絡める、自称美少女のマルレーネ。


「そんな事言っても、その3人は姉、元男、元男でしょ」

「聞き捨てならぬな。サクラはともかく、我は元の元は女じゃぞ」

「その元男の僕と一緒のお風呂を嫌がったくせに……」


 僕も一緒になって弄る側に回る。ハンスごめん、弄られ役は君に決定だ。


「やっかみは受けるじゃろうから、それを跳ね除けるだけ強くならんとな」

「はいっ!」

「魔法を絡めるのも良いじゃろう。母譲りの力がありそうじゃからな」


 単純な前衛は僕とハコネで足りてしまうからね。




「マルレーネちゃんとハンス君、そちらの二人は?」

「サクラです。久しぶりですが証明はまだ有効ですか?」

「もう一人は、未登録ですが父の兄弟子です」

「兄弟子?」

「いや、姉弟子です」


 小田原の入り口はちゃんとチェックをしてる。昔と門番さんが交代したんだろう。巫女姿の僕を見ても分からない様だし。

 ハコネは兄弟子とまで言われて不審者度合いがアップ。


「まあ二人が連れて来るんだから大丈夫なんだろうけど、念の為に調べさせてもらうよ」


 僕とハコネは別室で確認作業。


「サクラさん、オダワラには10年ぶりですね」

「はい。旅から戻ってきました」

「有効期限はありませんから、このままで結構ですよ」


 詰所の外に出ると、マルレーネとハンスが待って居た。ハコネは僕よりも時間が掛かってる。どうしたんだろう?


「ちょっと見てきます」


 様子を見に行くハンス君。何か面倒な事になったのかな。


「なんだった?」

「手配が掛かってたみたいで」


 手配? ハコネは指名手配犯?


「オダワラの女神神殿から手配されてた人物の魔素の特徴が、ハコネさんと一致したそうで」

「あー、なるほど」


 シスコン女神のオダワラさんが、ハコネが姿を見せないのに痺れを切らしてやっちゃったみたいだ。


「神殿に使いを送ったので、少しお待ちください」


 待っていると、猛ダッシュで大通りを走ってくる人が。そのままの勢いて、詰所に入っていった。あまりの速さに顔もよく見えなかったけど、なんとなく誰なのか予想が付いた。




「こら、離さんか!」

「やっとこの姿に戻れたというのに私に会いに来ないような姉さんは、しばらく私に捕まってれば良いのです」

「みっともない、やめんか」


 やっぱりそうだった。どうも最近女神の受肉をよく見かけるけど、流行ってるんだろうか? 僕らが流行らせた?


「おや、サクラさんも居たのですか。姿はそのままなのですね」

「どうも」


 ハコネに抱きつきながらというシチュエーションにちょっと引く。


「お願いはちゃんとこなして下さってる様で、良かったですわ。姉さんの姿を借りたままというのは引っ掛かりますが、姉さんが元に戻りましたのでその点はどうでも良いですわ」


 僕の方はどうでもいいらしい。


「ハコネの妹さん? それって、えっ!?」


 そうなるよね。神殿でお参りしてた女神様が、こんなシスコン欲望垂れ流しの姿を見せてたら、信仰心も薄れるよね。


「ここは目立ちますから、神殿に行くってのはどうですか?」

「一旦離すのじゃ。分かった、逃げぬから」

「逃げたら閉じ込めますわよ?」


 抱きつくのはやめたが、手は握ったまま。シスコン女神にヤンデレまで加わった日には、もう邪教に指定されそうな気が。




 神殿には正面からでなく裏口から入った。神殿で見たことのない部屋だけど、場所はちゃんと現世だ。


「そちらのお二人もご一緒に。申し遅れましたが、私はオダワラです。信者の皆様にはいつもお世話になっております」

「ほ、本当に女神様なのですか?」

「そうですよ。たまにこうして降りて来ているのですが、気付かれないものですね」


 ちょっと猫かぶりモード。姉成分を補給して、壊れてたのが治ったらしい。


「姉のハコネを連れて来て下さって、ありがとうございます。ずっと心配していたんです。サクラさん諸共、龍神にやられたとゴテンバから聞きまして。当時の姉は人の姿でしたから、復活できるのかも分かりませんでしたし」


 女神だったら復活が当たり前だけど、あの時のハコネは人間だった。確かにそのまま天国行きでもおかしくない。これはまた怒られるモードかな?


「龍神にはきつーくお仕置きしておきましたが、無事で何よりでした」

「あの龍神に、お仕置き?」

「はい、お仕置きです」


 オダワラさんって、実はすごく強い?


「まあ今のオダワラならそうなるか」

「そうか、あの龍神より強いのか……」

「何を言ってますの。神の強さは信者の質と数で決まります。10万の信者を持つ私が眷属を数百持つだけの龍神如き、恐るるに足らずですわ」


 そういう物なのか。信者2人の女神とは違うんだね。


「さて、もう良いか? 冒険者ギルドに行って、この姿で登録したいのじゃ。暗くなる前に行きたいので、離してもらえんか?」

「冒険者ギルド? そんな事、要りますか? 姉さんは女神なのですよ?」

「いや、まだやらねばならぬことがじゃな……」


 ハコネが僕の体を探してる件を説明し、この4人のパーティーで旅をする事を伝えると、オダワラさんの表情が曇る。


「そんな事は良いではありませんか。なんなら龍神に探させて、天高くに捨ててこさせますわ」

「捨てないで!」


 確かに僕の体は不死身で厄介な存在かもしれないけど、大気圏外に捨てるのとかやめて欲しい。

 どこかの究極生命体じゃあるまいし。


「それに、姉さんはずっとここで暮せば良いのではないですか?」

「いや、我はハコネの女神じゃからあの地を栄えさせねば」

「その女神が二人になったのです。その役目はサクラさんに任せて、ここに居たって良いでしょう」


 あれ? そういうの、ありなの?


「女神が増えたというのは創造主の時代以来初めての出来事です。前例がないのですから、前例は私達が作れば良いのですわ。姉さんの土地に二人よりは、女神の仕事が多いこちらに二人の方が良いではないですか。もしこの町に愛着があるようでしたら、この町は姉さんにお任せして、私は城都の方でもいいですわ」


 もしかして本気で、ハコネが取られる?


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