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9-24 敵要塞を攻略せよ

 隣でリンが萌えてるのだけど、それは良いとして。

 箱根でゴーラが撃墜したのと似た空中砲台と比べ、そのサイズはあまりに巨大。そして、丸い。

 巨大空中戦艦と呼ぶのが正しいのか、あるいは空中要塞か。


「ゴーラ! 出番じゃ!」


 ハコネの呼びかけにゴーラが駆け付け、ハコネを載せようとハッチを開く。


「ロボで巨大空中戦艦と戦うとか、最高! 私も行く!」


 ダメモードのリンはゴーラに乗ろうとするも、ハコネと一緒に行きたいダメモードのオダワラさんにゴーラから投げ出される。ダメワラさんは、ダメリンより強いと。


「サクラ! あの巨大空中戦艦に、私も行きたい!」


 今度は、僕に何とかしてくれと言うリン。いや、僕に言われても。


「いや、あれ、空中戦艦? むしろ、空中要塞?」


 僕と同じ疑問が、みさきちから。戦艦とは何か? 要塞とは何か? 動いたら戦艦で動かないなら要塞と呼ぶなら、あれは戦艦。いや待てよ、移動機構を付けられた宇宙要塞ってのもあった。要塞対要塞。

 形から言えば、球状で戦艦と呼ぶのはイメージに合わないか。球状の戦闘施設と言えば、イ○ルローン要塞とか、デ○・スターとか、要塞と呼ばれる事の方が多いと思う。


「そうか、要塞か。ならば戦闘機で乗り込み、内部で動力炉を爆破すれば破壊出来るな。いやでも、無事なまま奪取も捨てがたい……」


 リンは巨大戦艦説を放棄、デ○・スター説で行くらしい。直径120kmとか無いけど、300mくらいはあるだろうか。

 デ○・スターにせよイ○ルローン要塞にせよ、その名を知られる強力な要塞砲が備え付けられている。この要塞にもそう言う物があるとしたら、例の巨大砲みたいなのが付いてたりするのか? あの巨大砲と同じだけの射程があると…… ここから箱根はもちろん、小田原、熱海、御殿場と僕らの拠点都市全てがその射程に入る事になる。要するに、大変危険。そんな兵器が付いてるか、早々に確認しないと。

 ただし、僕らが生身で突撃してもダメであろう事は予想が付く。空中砲台でさえ、そうだったのだから。


「ハコネ! アレには巨大砲があるかも知れない。周囲を確認して、あったらすぐ知らせて」

「見つけたら、壊してしまっても構わんのじゃろう?」


 そのフラグは要らない!


「戦闘機、戦闘機、材料は…… そうだ、アレを再利用すれば」


 こっちはこっちで、何かやろうとしてる。本当に戦闘機が作れたら、リンがやろうとしてる事が出来るだろうか?

 どこかに侵入出来る入口があるのなら、そこへ無事にたどり着く方法があれば。

 デ○・スターへはどこから侵入した? 換気ダクトだっけ? そんなのが有るのか…… いや、もし無いと、小田原で窒息により倒された氏綱の二の舞になるのか。要塞全体が。


「戦闘機というか、どこかにある換気ダクトに僕らが侵入するサポートをする機体が作れない?」

「デ○・スターの倒し方は、換気ダクトに魚雷。そうだ、その魚雷に人が乗り込めば」


 なんだか特攻兵器みたいなコンセプトだけど、生きて帰れない攻撃をするつもりはない。内部は安全、換気ダクトに突入したら中から出られる仕掛けを持った、突入用兵器。そういうのにして欲しい。

 金属と一体化し、意思を持つスライムなら、単なる金属には出来ない事も出来る。突入時の衝撃により変形しても、即座に自らの形を回復して、内部のスペースを守る事が可能。本当に何でも出来るな、このは○れメタルは。


 巨大砲だったスライム達は、戦闘機と突入兵器、そしてゴーラの追加装甲として再配置された。ゴーラの能力を過信して、ハコネ達にもしもの事があってはいけないから。


 要塞を偵察するゴーラを見送り、戦闘機と突入兵器のデザインを 僕とリンで考える。デザインの原型は、僕の部屋でネットから探す。リンは早速、デ○・スターを破壊した 可変翼機を真似しようとしたけど、そもそも可変翼どころか機体全体が可変なんだし、もっと尖った発想でも良いんじゃない?


「地上では背中にエンジンを背負った人型形態、空を飛ぶ時には戦闘機の形になるとか」


 参考資料は、宇宙人を歌で洗脳しちゃうアレである。そんな僕らが生まれるずっと前に登場した作品からインスパイアされた、ヘンテコな機体。エンジンも、風を司る魔法で推力を得る方式に魔改造して、武装は特になし。戦闘機と呼ぶのかも怪しい。

 そして、突入用の兵器は……結局そのまんま、魚雷型スライム。

 理に適ってるんだけど、何だか僕は魚雷の炸薬になった気分。まあ、ちゃんと目的地に届けてくれるなら、文句は無いんだけどね。

 それにリンは、本当は自身も真っ先に要塞内部に突入したいのを、我慢してくれた。まあ、1番乗りを譲るって程度だけど。




「準備は?」

「オッケー」


 戦闘機とロボットが一体化したような機体に乗り込む。ロボットのとんがった頭に当たる先頭部分に僕が入り、胴の部分にリンが搭乗。

 全体を覆うスライムは、一部に透明な個体を配置して、僕やリンが周囲を見える様にしてある。でもそこが弱点にならない様に、攻撃を受けそうになったらメタルなスライムが覆う様になっている。その辺はスライムの自律的な動きにお任せ。何度でも言う。スライム万能。


「まずは旋回して、ダクトを探す」

「了解」


 僕の魔法で浮上し、そこでリンが制御する風を司る魔法で勢いを得る。機体は変形して、戦闘機寄りの形状に。一気に要塞が近くなり、偵察のはずが攻撃を加えてるゴーラを発見。


「やっぱりね」

「まあ、いいじゃないか。アレに陽動を任せて、私達は侵入口を探そう」


 球体表面をなぞる様に、何周も飛ぶ。あまり表面近くを飛ぶと、視野を過ぎていく光景が早すぎて見づらいが、離れて飛ぶと要塞からの狙いを付けられ撃たれやすそうだ。

 やがて最上部に近付いた時、円周状に溝らしき場所があるのを発見した。換気ダクトだろうか。


「あれ、そうかな?」

「全体がでは無いだろうが、あのどこかにあるのだろう」


 速度を落としてさらに1周すると、2箇所の侵入口があるのが分かった。 


「じゃあ、よろしく」

「心得た!」


 さらに速度を落とした次の周回で、目標の換気ダクトらしき場所に接近し、半ロボット形態に転換。要塞開口部へと、僕が乗る先頭部分を突っ込む。無事に刺さった様だ。

 そこで僕が入っている魚雷もどきの外装が変形し、鎧として僕を覆う。予定通りの動作で、ミッションを完了。本当にダクトの様で、外へ向けて強い風が吹いている。そしてダクトは狭く、立って歩ける程の高さが無い。


 こんな風に侵入しても、ジョージBの戦略ビューで僕の居場所が分かっては意味が無い。しかしそれに関しては、戦略ビューを役立たずにしてしまう方法を採っているから、回避出来てると思う。それは、地上に居る多くの兵士達。

 戦略ビューは、表示が2次元という欠点がある。地下の敵も、地上の敵も、空の敵も、全て同じ様に光点が表示される。この要塞の真下に多数の兵士を配置すれば、要塞に侵入している僕の光点も紛れて見つからなくなる訳だ。


 這って少し進むと、回転する大きなファンが行く手を遮る。このダクトを通して排気するためにあるのだろう。そんなファンを、回避するでも無く強行突破。メタルなスライムの鎧は、こんな物では傷も付かない。


「とは言え、直しておくか。リカバリー」


 強行突破で壊れた換気ファンに、修復の魔法を掛ける。換気が止まれば、異常に気付かれてしまいそうだから。


 さらに進むと、底面が網になり光が差し込む部分がある。のぞき込むと、部屋か通路の様だ。戦略ビューには、付近に敵勢力の反応無し。これはチャンスだ。


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