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金色のカナブン

とある田舎の駅前の百貨店。

その4階の一角に昆虫を取り扱うショップがある。

そこに2人の少年がカブトムシを虫かごに入れてやって来た。


「オス3匹と、メス2匹だから、400円だね」


店員がそう言って、カブトムシと引き換えにお金をくれた。


(やった!)


僕の名前は上村直(うえむらなお)

年は13で、中学1年だ。

この夏、僕は幼馴染の蛍と一緒に、ある壮大な計画を立てていた。







「ナオ、ビッグニュースだ!金色のカナブンを見かけたぜ」


「えっ!マジ!?」


学校の休み時間、教室で蛍が僕に言って来た。

僕らは昆虫ショップに虫を持ち込んで、それを買い取ってもらうというバイトをやっている。

カブトムシのオスが一匹100円。

メスは50円だ。

そして、この昆虫ショップで、「金色のカナブン」に莫大な懸賞金がかかっているのである。

その値段、驚くことに100万である。

だけど、僕らを含め、まだその姿を確認した人はいなかった。


登校途中、蛍は見たらしい。


「道路の脇を歩いてたら、ふわーっとさ、いたんだよ!で、よく見たら、金色のカナブンだったんだよ!」


大きな瞳を丸くして、蛍は興奮気味にそう言った。


「ほんと!?じゃあ、僕らで捕まえて100万円ゲットってこと?」


「そういうこった!」


学校は夏休みに入り、僕らは秘密裏に計画を練ることにした。

蛍は登校中だったから、虫取り網もカゴも持っていなかった。

だから、できるとこまで後を追ったとのことだ。

そのせいでちょっと遅刻して来たけど……


そのカナブンの向かった先、それは禁断の森と呼ばれ、普段は立ち入れないようになってる森だった。

何で禁断の森なのか。

それは、あまりに広大で舗装された道もないため、一度踏み入ったら遭難必死であるからだ。

コンパスもまともに使えないし、電波も入らないらしい。


「そんなとこ行ったら、戻ってこれなくなっちゃうんじゃない?」


「そのために、ナイフを持ってくんだよ」


蛍の考えでは、遭難しないよう木に傷をつけていって目印を作っていけばいい、とのことだった。


「この方法なら一発で引き返せるだろ。で、日が暮れたら引き返して、またその傷の先から探索を始めればいいってことさ」


遭難しない方法は分かった。

そしたらあとはひたすらカナブンを探すだけだ。


「蛍、おやつはいくらまで持ってきていいの?」


「俺はケチな先公と違うからな、あえて制限は設けないぜ」


「さすが蛍っ、よっ、大統領!」


なんか古臭いやりとりをした後、僕らは別れてお互いの家に帰っていった。


事件はその日に起こった。

蛍が車にひかれて死んだのである……



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