無色透明と有色人外
この想いは誰も気がついちゃいけないよ。
「お前って無色透明」
あー言うと思ったよ。
彼女可愛いもんね。
人畜無害なんにも知らないような「無色透明」だ。
俯いて微笑む綺麗な横顔に思わず優しくなった。
……で。
「お前は有色人外!」
「はぃぃぃ?」
ゲラゲラ笑う彼。
それにヘッドロックを喰らわす私。
「痛! ギ……ギブギブギブ!!」
あっさり負けを認める彼に「ハッ」と鼻で笑う私。
可愛くない私。
「そういうのが有色で人外! 普通ヘッドロックとかキメるか!?」
目に涙を浮かべる彼。
クスクスやり取りを見ている「無色透明」の彼女。
何故か勝ち誇っている「有色人外」の私。
「はいはいはい。どーせ私はどす黒い人外ですよ」
馬鹿な「有色人外」の私。
裏を返せば、色を纏った人以外。
「無色透明」の彼女とは正反対に攻撃的に彼を狙う。
この想いに誰も気がついちゃいけない。
だって、私は確実に彼を仕留めに動くから。